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第5章 大絶滅―グレートダイイング―
192 本人はとっくに諦めたのに…
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誠治と綺瑠は秋田の家に来ていて、資料が他にないか見に来た。
綺瑠は目を丸くした。
「父さんの家…初めて来たんだけど…」
綺瑠はそう言ったが、部屋をあれらこれら見ていると言う。
「なんだろう、来た事がある気がする。」
それを聞いた誠治は険しい表情を見せる。
(見覚えはあるが、来た事がない。もしかしたら、他の人格でここにやってきた可能性が…
という事は奈江島さんはここでも秋田さんから…)
誠治はそう思いながら一つ一つ部屋を確認する。
するとガムテープで塞がれた扉を発見。
誠治は全て剥がして中へ入った。
中は気味の悪い事に、保存された血痕のついたシーツが沢山飾ってある。
誠治は顔を真っ青にしてそのシーツを確認。
日付が一つ一つのシーツに付けられており、時期的に秋田が飾ったものだろう。
誠治は気分を悪くしながらも部屋の外へ。
綺瑠は言った。
「何か見つかった?部屋はどうだった?」
「え、な、何もなかったです!」
誠治は慌てて言うので、綺瑠は怪しく誠治を見つめる。
しかしすぐにその表情をやめて言った。
「ならいいんだけど。」
あっさりスルーした綺瑠に、誠治は心底安心する。
綺瑠は別の部屋へ歩きながら言った。
「流石に父さんが残した資料は無いか。石っ子ちゃんが処分したのかも。」
綺瑠が言うと、誠治は難しい顔をする。
「どこか隠し扉とかないですかね。」
綺瑠は思わず笑った。
「もうアニメの見すぎでしょ!誠治ったらそういうお茶目なところがあるからなぁ~」
思わず誠治は満面の笑み。
「いつも芙美香の付き添いでアニメ散々見せられてましたから…」
「そっか、誠治も芙美香ちゃんを亡くしてるんだよね。」
綺瑠は溜息をついてしまう。
誠治も虚しい顔を見せた。
「そのせいか、強い復讐心に駆られています。
私がハジメの力を受けて、感情の起伏が激しくなると言われ…。今その大変さを身に染みて理解してます、抑えるので手一杯です。」
「確かに最近はずっとブッチョしてるもんね。ほら!なんかアニメのキャラのモノマネしてみて!」
綺瑠は唐突に言い出す。
誠治は一瞬困ったが、すぐに立ち上がって片手を前に出した。
「光の妖精…輝け!勇気のアイドル!」
誠治はそう言って一回転。
綺瑠は「ブッ!」と吹いてショックを受ける。
そして男性には見合わない女の子らしいポーズをとって誠治は言った。
「勇気のひと欠片、くるるマリン!」
綺瑠は笑顔を作るのに必死になっていたが、誠治は照れながら言う。
「芙美香が好きなアイドルさんなんです。誕生日とか、父にねだってそのアイドルさんの変身衣装を買ってもらってましたよ。」
綺瑠は苦笑して言った。
「衝撃なんだけど。」
「そうですか?可愛らしいじゃないですか。」
綺瑠は誠治の物真似に衝撃を受けていたのだが、どうやら誠治は芙美香の衣装購入についての話だと思っているようだ。
それを見た綺瑠は微笑んだ。
「誠治、やっぱり今の状況に切羽詰まってるんだね。昔の話するとすぐにケロッと優しい顔する。」
誠治は照れた顔を見せてから更に言った。
「芙美香もカッコイイロボットアニメとか見ますよ!
これは奈江島さんの年代なんじゃないですかね…。」
そう言って、誠治は指を三本立ててポーズを決める。
「町、世界、地球、宇宙をも救う史上最強のロボット!我等の綺羅星、ダイナスペース号!発進!!」
それを聴いて、綺瑠は笑顔を見せた。
「あ!それ小さい頃は見てたよ。本当に大好きなアニメで…」
と言った時だった。
秋田のリビングのコタツから地響きに近い大きな物音がした。
二人は驚いてコタツの下を確認すると、なんと地下に続く階段がある。
綺瑠は思わず苦笑。
「まさか…誠治の掛け声で開いたとかないよね。」
「下は空き部屋なはずなんですが…」
「行ってみよう!」
綺瑠は真っ先に下へ降りた。
誠治も後から続くと、そこは小さな書斎であった。
「書斎…!この家には書斎がないと思っていたんです!」
誠治はそう言って、本棚を調べ始める。
すると誠治は、机の上にある謎の設計図を拾った。
綺瑠は呆れたように苦笑しつつ呟いた。
「こんな掛け声で開くようなシステム作ったの父さんしかいないよね。
もう、父さんも意味のわからない人だ…」
しかしそれを思うと心が温かくなって、急に虚しくなる。
誠治は綺瑠の傍に来て微笑んだ。
「いいお父さんですね。息子の大好きなアニメのセリフを、合言葉にするんですから。」
そう言って誠治は、綺瑠に設計図を渡した。
綺瑠はそれを見ると目を剥いて口を塞いだ。
それはロボットの設計図で、中途半端ながらも設計が進んでいる。
綺瑠はそれを見て、涙が目から滲んだ。
綺瑠が本当に幼い頃に言った「ロボットに乗る」夢を叶えようとしてくれたのだろう。
この設計図を悩みながらも描く秋田の様子が目に浮かんでくるようだった。
そして思わず微笑む。
「そうだね…。まだロボット諦めてなかったのかな…
…本人はとっくに諦めたってのにさ…」
綺瑠はそう言い、俯いてしまう。
綺瑠は秋田が死ぬ直前の事を思い出していた。
――綺瑠は泣きながら、悔しい顔をしていた。
「もう信じられないよ…父さんの愛なんてっ…!!」
それに対し、秋田は深く目を閉じた。
「気づけなくてごめん、綺瑠。
そして、普通の愛だけを与えられなくてごめん…。
でもね、私は誰よりも綺瑠を愛している…これだけは……これだけは信じて欲しい。」――
綺瑠は頭を抱え、クスッと笑ってしまった。
頬が赤くなり、表情も笑いから悲しい顔へと変わる。
(ごめん……最期に信じてあげられなくて…)
綺瑠は目を丸くした。
「父さんの家…初めて来たんだけど…」
綺瑠はそう言ったが、部屋をあれらこれら見ていると言う。
「なんだろう、来た事がある気がする。」
それを聞いた誠治は険しい表情を見せる。
(見覚えはあるが、来た事がない。もしかしたら、他の人格でここにやってきた可能性が…
という事は奈江島さんはここでも秋田さんから…)
誠治はそう思いながら一つ一つ部屋を確認する。
するとガムテープで塞がれた扉を発見。
誠治は全て剥がして中へ入った。
中は気味の悪い事に、保存された血痕のついたシーツが沢山飾ってある。
誠治は顔を真っ青にしてそのシーツを確認。
日付が一つ一つのシーツに付けられており、時期的に秋田が飾ったものだろう。
誠治は気分を悪くしながらも部屋の外へ。
綺瑠は言った。
「何か見つかった?部屋はどうだった?」
「え、な、何もなかったです!」
誠治は慌てて言うので、綺瑠は怪しく誠治を見つめる。
しかしすぐにその表情をやめて言った。
「ならいいんだけど。」
あっさりスルーした綺瑠に、誠治は心底安心する。
綺瑠は別の部屋へ歩きながら言った。
「流石に父さんが残した資料は無いか。石っ子ちゃんが処分したのかも。」
綺瑠が言うと、誠治は難しい顔をする。
「どこか隠し扉とかないですかね。」
綺瑠は思わず笑った。
「もうアニメの見すぎでしょ!誠治ったらそういうお茶目なところがあるからなぁ~」
思わず誠治は満面の笑み。
「いつも芙美香の付き添いでアニメ散々見せられてましたから…」
「そっか、誠治も芙美香ちゃんを亡くしてるんだよね。」
綺瑠は溜息をついてしまう。
誠治も虚しい顔を見せた。
「そのせいか、強い復讐心に駆られています。
私がハジメの力を受けて、感情の起伏が激しくなると言われ…。今その大変さを身に染みて理解してます、抑えるので手一杯です。」
「確かに最近はずっとブッチョしてるもんね。ほら!なんかアニメのキャラのモノマネしてみて!」
綺瑠は唐突に言い出す。
誠治は一瞬困ったが、すぐに立ち上がって片手を前に出した。
「光の妖精…輝け!勇気のアイドル!」
誠治はそう言って一回転。
綺瑠は「ブッ!」と吹いてショックを受ける。
そして男性には見合わない女の子らしいポーズをとって誠治は言った。
「勇気のひと欠片、くるるマリン!」
綺瑠は笑顔を作るのに必死になっていたが、誠治は照れながら言う。
「芙美香が好きなアイドルさんなんです。誕生日とか、父にねだってそのアイドルさんの変身衣装を買ってもらってましたよ。」
綺瑠は苦笑して言った。
「衝撃なんだけど。」
「そうですか?可愛らしいじゃないですか。」
綺瑠は誠治の物真似に衝撃を受けていたのだが、どうやら誠治は芙美香の衣装購入についての話だと思っているようだ。
それを見た綺瑠は微笑んだ。
「誠治、やっぱり今の状況に切羽詰まってるんだね。昔の話するとすぐにケロッと優しい顔する。」
誠治は照れた顔を見せてから更に言った。
「芙美香もカッコイイロボットアニメとか見ますよ!
これは奈江島さんの年代なんじゃないですかね…。」
そう言って、誠治は指を三本立ててポーズを決める。
「町、世界、地球、宇宙をも救う史上最強のロボット!我等の綺羅星、ダイナスペース号!発進!!」
それを聴いて、綺瑠は笑顔を見せた。
「あ!それ小さい頃は見てたよ。本当に大好きなアニメで…」
と言った時だった。
秋田のリビングのコタツから地響きに近い大きな物音がした。
二人は驚いてコタツの下を確認すると、なんと地下に続く階段がある。
綺瑠は思わず苦笑。
「まさか…誠治の掛け声で開いたとかないよね。」
「下は空き部屋なはずなんですが…」
「行ってみよう!」
綺瑠は真っ先に下へ降りた。
誠治も後から続くと、そこは小さな書斎であった。
「書斎…!この家には書斎がないと思っていたんです!」
誠治はそう言って、本棚を調べ始める。
すると誠治は、机の上にある謎の設計図を拾った。
綺瑠は呆れたように苦笑しつつ呟いた。
「こんな掛け声で開くようなシステム作ったの父さんしかいないよね。
もう、父さんも意味のわからない人だ…」
しかしそれを思うと心が温かくなって、急に虚しくなる。
誠治は綺瑠の傍に来て微笑んだ。
「いいお父さんですね。息子の大好きなアニメのセリフを、合言葉にするんですから。」
そう言って誠治は、綺瑠に設計図を渡した。
綺瑠はそれを見ると目を剥いて口を塞いだ。
それはロボットの設計図で、中途半端ながらも設計が進んでいる。
綺瑠はそれを見て、涙が目から滲んだ。
綺瑠が本当に幼い頃に言った「ロボットに乗る」夢を叶えようとしてくれたのだろう。
この設計図を悩みながらも描く秋田の様子が目に浮かんでくるようだった。
そして思わず微笑む。
「そうだね…。まだロボット諦めてなかったのかな…
…本人はとっくに諦めたってのにさ…」
綺瑠はそう言い、俯いてしまう。
綺瑠は秋田が死ぬ直前の事を思い出していた。
――綺瑠は泣きながら、悔しい顔をしていた。
「もう信じられないよ…父さんの愛なんてっ…!!」
それに対し、秋田は深く目を閉じた。
「気づけなくてごめん、綺瑠。
そして、普通の愛だけを与えられなくてごめん…。
でもね、私は誰よりも綺瑠を愛している…これだけは……これだけは信じて欲しい。」――
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