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第5章 大絶滅―グレートダイイング―
197 最後の抵抗
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数男は言った。
「にしても、これからどうする。やはりもう落とされていると、どうにもならないだろ。」
しかし誠治は、綺瑠を見てから微笑む。
「いえ、一人だけ隕石を止められる者がいるはずです。」
誠治の言葉に、みんなは首を傾げた。
アンジェルは言う。
「そんなの、落とした本人であるミンスしかできなくない?」
「そうです。彼女の事です。」
「味方に引き入れられるとでも?」
数男が聞くと、誠治は強く頷いた。
「上手く行けば。」
一同が不可能ではないかと考えていると、綺瑠は先日の話も兼ねて作戦をみんなに話すのだった。
作戦を一通り話を聞き終えると、数男は言う。
「本当に上手く行くか?」
「しかし今は手段を選んでいる場合ではありません。正面で戦うよりかは勝機はあります。」
誠治は冷静に言い、それを聞いた数男は「…そうだな。」と認めた。
「頑固な数男さんが認めた。」
サチ言うと、数男は言う。
「ここまで来たのならもうどうにでもなれって話だ!」
どうやら思考を捨てたようだ。
それを聞いた誠治は微笑む。
「ありがとうございます。」
一同がその作戦に了解したところで、ハジメは苦笑しつつも言う。
「改心作戦。まあ無力な僕達ができる最大の抵抗だね。上手くいくように手を尽くそう。」
そう言い、誠治の前に来る。
誠治は微笑むと、ハジメは目に涙を溜めた。
「え!?」
誠治が驚くと、ハジメは誠治の腕を引っ張った。
「待ってじっとしてろ!」
誠治は気持ちは落ち着けないながらも行動を落ち着けていると、ハジメは誠治の手のひらに涙を一滴落とした。
すると、誠治は何か不思議な力を感じた。
「あれ…?」
誠治はそう言ってから笑顔を見せた。
「クロマからかけられた不思議な魔法が解けた!かもです!」
誠治が言うので、一部のメンバーは驚く。
「それって能力を封じられてたやつ?」
守が聞くと、誠治は頷いた。
ハジメは笑って言う。
「今の僕には、このくらいしかしてあげられないから。」
それを聞いた数男も自らの腕を切って血を流した。
相変わらず、自分の痛みには鈍感らしい。
「そうだな。それならお前達にも力をやらないと。」
「いや結構です!」
とサチ。
「いいから貰え。最後だから。」
数男にそう言われ、渋々血を貰いに行くサチ。
三笠とシュンも順番を待つのであった。
周囲が盛り上がっている最中、誠治は仲間外れになっている綺瑠の元へ向かった。
綺瑠は既にお祝いが終わった後なのか、しんみりした様子になっている。
「不安ですか?」
誠治が優しく聞くと、綺瑠は表情を一切変えずに誠治を見上げる。
「覚悟は出来てるの?誠治は。」
「ええ。」
そう言われると、綺瑠は誠治から視線を逸らした。
「…誠治は不死身だけど、もしハジメちゃんや守くんの命が奪われたら…誠治の不死身が解けて死んじゃうかもしれないんだよ。それでも、怖くないの?」
誠治の心は言われるより前に決まっているのか、真摯な様子を浮かべる。
「本当だったらあの日、失われていた命です。生き返った時、私は大きな運命を感じました。しかし不死身になってから、私は何をしてきたでしょう?」
そう聞かれると綺瑠は誠治が人々の為に演説をしたり、はたまた植物人間を処分していたことを思い出した。
誠治は深く目を閉じて続ける。
「憎悪から戻るはずの命を焼却し、正義を盾に人々を犠牲にしてきました。…これでは、植物人間なら誰でも殺害してしまうクロマと何ら変わりないでしょう。…間違った選択だったのです。」
「いいや、それは人類の出来る精一杯の抵抗だったよ。」
綺瑠は呆然とそう言ってフォローするが、誠治は首を横に振った。
「しかしまだ、戻る命があるのも確かです。だから私は奪ってきた命の分、命を護る為にミンス達と戦います。
…それが私に勇気をくれる償い…最期の抵抗ですから…。」
そう言って誠治は微笑みを浮かべる。
綺瑠はその笑みを見て、不死身になる前の優しい誠治を思い出した。
思わず目を丸め、やがて綺瑠も笑みを浮かべる。
「…やっぱ君は凄いよ誠治…。僕はそんな立派になれない。」
綺瑠はそう言って、誠治を見上げて笑顔を向けた。
「見習うよ。」
そう言われると、誠治は照れるのか困った様子に。
「え?いやそんな、私なんかを見習っても…」
「もう、謙遜しすぎ。」
綺瑠の笑い声がサチ達の方まで伝わり、視線が向かう。
どうやら血は与え終わった様で、興味が誠治達の方へ向くと誠治がサチ達の方を見た。
すると誠治はハッと思い出した顔を浮かべる。
「あの皆さん!」
「ん?」
ハジメが反応すると、誠治は言った。
「お願いがあります!」
守は眉を潜めて言った。
「また悪魔の囁きだ!」
するとシュンは
「キターーーーー!」
となぜか喜んでいた。
そんな賑やかな最中、空の向こうにある隕石は徐々に地球に近づいていた。
第二故郷病院の会議室。
第二故郷病院にいた患者や医者は既に全員避難している。
今、この建物にいるのは一人、会議室のど真ん中に寝かされているサウザだけ。
サウザは何かを感じ取り、布団から出てくる。
そして久坂が割った窓のブルーシートを退かして空を見上げた。
空に見える大きな隕石。
ミンスが落とそうとしている隕石をサウザは見つめる。
サウザは眉を潜めた。
(みんなには力がもうないって嘘ついちゃったけど…)
そう思って自分の手を見つめた。
(俺が倒れてるって思われている今が、最初で最後のチャンスなんだ…!)
すると、サウザは深呼吸をした。
(止める。絶対に…!)
サウザは空に向けて叫ぶ。
「俺はできる!!」
そしてサウザは、腹の痛みを我慢して外に出た。
「にしても、これからどうする。やはりもう落とされていると、どうにもならないだろ。」
しかし誠治は、綺瑠を見てから微笑む。
「いえ、一人だけ隕石を止められる者がいるはずです。」
誠治の言葉に、みんなは首を傾げた。
アンジェルは言う。
「そんなの、落とした本人であるミンスしかできなくない?」
「そうです。彼女の事です。」
「味方に引き入れられるとでも?」
数男が聞くと、誠治は強く頷いた。
「上手く行けば。」
一同が不可能ではないかと考えていると、綺瑠は先日の話も兼ねて作戦をみんなに話すのだった。
作戦を一通り話を聞き終えると、数男は言う。
「本当に上手く行くか?」
「しかし今は手段を選んでいる場合ではありません。正面で戦うよりかは勝機はあります。」
誠治は冷静に言い、それを聞いた数男は「…そうだな。」と認めた。
「頑固な数男さんが認めた。」
サチ言うと、数男は言う。
「ここまで来たのならもうどうにでもなれって話だ!」
どうやら思考を捨てたようだ。
それを聞いた誠治は微笑む。
「ありがとうございます。」
一同がその作戦に了解したところで、ハジメは苦笑しつつも言う。
「改心作戦。まあ無力な僕達ができる最大の抵抗だね。上手くいくように手を尽くそう。」
そう言い、誠治の前に来る。
誠治は微笑むと、ハジメは目に涙を溜めた。
「え!?」
誠治が驚くと、ハジメは誠治の腕を引っ張った。
「待ってじっとしてろ!」
誠治は気持ちは落ち着けないながらも行動を落ち着けていると、ハジメは誠治の手のひらに涙を一滴落とした。
すると、誠治は何か不思議な力を感じた。
「あれ…?」
誠治はそう言ってから笑顔を見せた。
「クロマからかけられた不思議な魔法が解けた!かもです!」
誠治が言うので、一部のメンバーは驚く。
「それって能力を封じられてたやつ?」
守が聞くと、誠治は頷いた。
ハジメは笑って言う。
「今の僕には、このくらいしかしてあげられないから。」
それを聞いた数男も自らの腕を切って血を流した。
相変わらず、自分の痛みには鈍感らしい。
「そうだな。それならお前達にも力をやらないと。」
「いや結構です!」
とサチ。
「いいから貰え。最後だから。」
数男にそう言われ、渋々血を貰いに行くサチ。
三笠とシュンも順番を待つのであった。
周囲が盛り上がっている最中、誠治は仲間外れになっている綺瑠の元へ向かった。
綺瑠は既にお祝いが終わった後なのか、しんみりした様子になっている。
「不安ですか?」
誠治が優しく聞くと、綺瑠は表情を一切変えずに誠治を見上げる。
「覚悟は出来てるの?誠治は。」
「ええ。」
そう言われると、綺瑠は誠治から視線を逸らした。
「…誠治は不死身だけど、もしハジメちゃんや守くんの命が奪われたら…誠治の不死身が解けて死んじゃうかもしれないんだよ。それでも、怖くないの?」
誠治の心は言われるより前に決まっているのか、真摯な様子を浮かべる。
「本当だったらあの日、失われていた命です。生き返った時、私は大きな運命を感じました。しかし不死身になってから、私は何をしてきたでしょう?」
そう聞かれると綺瑠は誠治が人々の為に演説をしたり、はたまた植物人間を処分していたことを思い出した。
誠治は深く目を閉じて続ける。
「憎悪から戻るはずの命を焼却し、正義を盾に人々を犠牲にしてきました。…これでは、植物人間なら誰でも殺害してしまうクロマと何ら変わりないでしょう。…間違った選択だったのです。」
「いいや、それは人類の出来る精一杯の抵抗だったよ。」
綺瑠は呆然とそう言ってフォローするが、誠治は首を横に振った。
「しかしまだ、戻る命があるのも確かです。だから私は奪ってきた命の分、命を護る為にミンス達と戦います。
…それが私に勇気をくれる償い…最期の抵抗ですから…。」
そう言って誠治は微笑みを浮かべる。
綺瑠はその笑みを見て、不死身になる前の優しい誠治を思い出した。
思わず目を丸め、やがて綺瑠も笑みを浮かべる。
「…やっぱ君は凄いよ誠治…。僕はそんな立派になれない。」
綺瑠はそう言って、誠治を見上げて笑顔を向けた。
「見習うよ。」
そう言われると、誠治は照れるのか困った様子に。
「え?いやそんな、私なんかを見習っても…」
「もう、謙遜しすぎ。」
綺瑠の笑い声がサチ達の方まで伝わり、視線が向かう。
どうやら血は与え終わった様で、興味が誠治達の方へ向くと誠治がサチ達の方を見た。
すると誠治はハッと思い出した顔を浮かべる。
「あの皆さん!」
「ん?」
ハジメが反応すると、誠治は言った。
「お願いがあります!」
守は眉を潜めて言った。
「また悪魔の囁きだ!」
するとシュンは
「キターーーーー!」
となぜか喜んでいた。
そんな賑やかな最中、空の向こうにある隕石は徐々に地球に近づいていた。
第二故郷病院の会議室。
第二故郷病院にいた患者や医者は既に全員避難している。
今、この建物にいるのは一人、会議室のど真ん中に寝かされているサウザだけ。
サウザは何かを感じ取り、布団から出てくる。
そして久坂が割った窓のブルーシートを退かして空を見上げた。
空に見える大きな隕石。
ミンスが落とそうとしている隕石をサウザは見つめる。
サウザは眉を潜めた。
(みんなには力がもうないって嘘ついちゃったけど…)
そう思って自分の手を見つめた。
(俺が倒れてるって思われている今が、最初で最後のチャンスなんだ…!)
すると、サウザは深呼吸をした。
(止める。絶対に…!)
サウザは空に向けて叫ぶ。
「俺はできる!!」
そしてサウザは、腹の痛みを我慢して外に出た。
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