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10 シャガ:決心
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ワレリーは家に向かう途中、足を止めた。
ワレリーの脳裏に、いつも教会にやってくる時のガリーナが思い浮かぶ。
ガリーナは天使の羽を生やし、黄金の環を頭の上に浮かべていた。
天使の姿で、ひたすら涙を流して悲しみを語るガリーナを。
その度に自分が教会の裏で不祝儀に襲われた事を。
ワレリーは深く目を閉じた。
(あなただけが、神にいつも悲しみを語っている…。
そしてあの日は、特別悲しみが強かった…。)
あの日とは、ガリーナが命を絶つことを知らせた日。
――「神様…私…怖いんです…。
今日、息子のニコライがまた近所の子供に噛み付いたんです…。
全く言う事を聞かなくって…!」
教会にガリーナの声が響く。
ガリーナは涙を流しつつ、窓を見上げた。
色とりどりのガラスから優しい光が差し、ガリーナの美しい瞳は涙と共に窓ガラスを映し出す。
それをワレリーは教会の窓の裏から見ていた。
ワレリーは切ない表情で、彼女の美しい瞳を見つめている。
その瞬間、教会のトラップの槍が発動。
ワレリーは間一髪でそれを避けると、教会にその音が響いた。
それを聞いたガリーナは驚いて、状況を察したのか言った。
「ごめんなさい!私が泣いたからきっと、窓の向こうの神様にも不祝儀が…!」――
(あなたは生きている限り、涙の不祝儀の罪悪感で延々と苦悩し続ける…。)
――「今夜、私は命を絶ちます。…息子と共に、近くの谷で…。
神様お許しを…みんなの為なんです……
…今までありがとうございました。」――
ワレリーは深く閉じた目を開くと、再び走り始める。
(それがあなたの望みならば、私は叶えてあげたい。)
=================
パーヴェルとガリーナは保育園にやってくる。
保育園の前では子供達の点呼が取られており、ガリーナはニコライを探した。
ちなみに保育園の建物はガタはきているようだが、無事であった。
「ニコライがいない…!?」
ガリーナはそう言うと、保育園の建物に向かって走った。
しかしそれをパーヴェルが腕を掴んで止める。
「揺れが起こった後なんですよ?危ないから行くのはやめなさい。」
「でも!ニコライが…!」
ガリーナはそう言ったが、教会でのパーヴェルを思い出す。
そんなパーヴェルを思い出すと、これ以上言葉が出なかった。
(パーヴェルくんは…ニコライが嫌いなのよね…。
きっと…助ける気もないんだわ…)
ガリーナはパーヴェルの顔を見つめると、パーヴェルはあまり緊張感のない顔をしていた。
それを見たガリーナは悔しくなってくる。
(ニコライを愛してあげられるのも…!助けられるのも…!きっと私しかいないわ!)
そこに保育園の先生がやってくる。
「一部の部屋の扉が開かなくなったのです。多分その一室にニコライくんが…」
それを聞いたガリーナは大声でニコライを呼ぶ。
「ニコライ!ニコライぃ!いたら返事をしてぇッ!」
声を裏返すほどガリーナは叫んだ。
ガリーナは叫ぶと、一度黙り込んで返事がないか耳を澄ませる。
(私…私だけがニコライを救えるの…!)
しかし声は聞こえない。
ガリーナは怖くなって目に涙を浮かべると、ワレリーの言葉を思い出す。
――「泣いてはなりませんッ!あなたの涙で、ニコライが死んだらどう始末をつけてくれるのですかっ!」――
ガリーナは歯を食いしばってぐっと涙を堪えた。
パーヴェルはその様子に、ガリーナのいつもと違う雰囲気を感じる。
ガリーナは呼びかけるのをやめない。
「ニコライ!今日はおやつにアップルパイ焼くの!聞こえてるっ!?」
すると即座に聞こえてきた。
「レモンパイ!」
建物からニコライの声。
ガリーナはニコライの声を聞くと、涙を止めてパーヴェルの手を振り切る。
そして保育園内に入ると、ニコライの声を頼りに部屋を探した。
パーヴェルはガリーナを心配して共に向かうと、ニコライの声が聞こえる。
「レモンパイ!」
ガリーナは部屋に目星がついたのか立ち止まると、ドアノブを確認した。
「ダメ、建物が傾いてるせいか開かないわ…!」
「どれ。」
パーヴェルはガリーナの前に来て、思い切って引くが開かない。
「くっ、ビクともしませんねこの扉。」
「レモンパイー!」
ニコライの声が、確かにその部屋から聞こえる。
ガリーナは反射的にドアノブを掴んで引くと、なんとガリーナの怪力で開いた。
「うっそ…!」
パーヴェルは驚いていたが、ガリーナはすぐに部屋に入ってニコライを発見する。
ニコライは部屋の真ん中で立っていて、窓から入る陽に当たっていた。
ちなみにニコライの右目の眼帯は解けていた。
ガリーナはニコライに駆け寄ってを抱きつくと、ニコライは両腕を挙げる。
「レモンパイ!マーマ!」
ガリーナは力強くニコライを抱きしめ、頭を撫でると言った。
「もう…!…あなたが無事で良かった…」
ニコライはガリーナに強く抱きしめられて動けなくなっている。
パーヴェルはそれを黙って見ていると、ガリーナはニコライから体を離した。
ガリーナはニコライを見つめ、ニコライもガリーナの真似をしているのか見つめる。
そしてニコライの両腕を掴みながらも、ニコライに笑みを向けて言った。
「ニコライ。
私だけは、あなたが何者であろうと愛しているからね。」
そう言ってからニコライの手を握ると、ニコライは急に大人しくなって握られた手を見つめる。
大人の手に包まれた、小さな小さな子供の手。
ガリーナの熱がニコライに伝わり、逆にガリーナにもニコライの熱が伝わる。
ガリーナは急に大人しくなったニコライを変に思うと、ニコライはガリーナの手の中で自分の手をぬくぬくと動かす。
ガリーナはそれをくすぐったくて微笑んでしまうと、ニコライはガリーナの顔を見た。
温かい笑顔だ。
するとニコライも不器用ながらも、ガリーナの様に微笑んでみせる。
窓から差し込む陽のお陰か、不器用でも明るい笑顔に見えた。
いつも無表情で叫ぶだけのニコライが、ガリーナに笑ったのだ。
ガリーナは驚いて目を丸くする。
勿論それを見ていたパーヴェルも驚いていた。
ガリーナはその尊い笑顔を見ると、数日前にワレリーから言われた事を思い出す。
――「あなたは今、心に暗雲を抱えているのです。
それが晴れた時、あなたはニコライの命をどう思うでしょうか?
…きっと強く、尊く愛らしいものだと気付くはずです。」――
(私…数日前は、この子の命を奪おうって考えてたんだ…。
こんなに尊くて…愛らしい笑顔を私っ…。)
ガリーナはニコライに微笑むと、ニコライの頭を撫でた。
ニコライはぼーっとガリーナの伸ばした腕を見上げる。
(私、まだ命を捨てられないわ。私には、まだニコライがいるもの…)
ニコライはいつもの無表情に戻ると、自分の眼帯をガリーナに突き出して言った。
「そと!マーマ!そとー!」
ニコライに急かされて、ガリーナは慌てて眼帯をニコライに付ける。
すると、ニコライはまた一人で走って外に向かうのであった。
「待ってニコライ!」
ガリーナはニコライを追いかけようと走ると、ふとパーヴェルの方を見る。
パーヴェルは教会にいた時の冷たい目を薄ら浮かべてニコライを見ていた。
ガリーナはそれに虚しそうな表情を浮かべると、パーヴェルには何も言わずニコライを追いかけた。
=========================================
パーヴェルの家では、ワレリーが部屋の扉を見つめていた。
傍にはレギーナが難しい顔をして建物を見ている。
「殆どが開きにくくなってますね…今後住めるかどうか…」
ワレリーがそう言うと、近くにいたレギーナは言う。
「もう、せっかく同棲するって話をしてたのに…建物にガタ来ちゃうなんて…」
「ごめん、治るまでもうちょっと待っててくれますか?同棲。」
レギーナは不機嫌そうに頬を膨らませたが、溜息をついてから言った。
「いい…けど…。」
「ありがとう。」
ワレリーはそう言って微笑むと、レギーナは相手が愛おしくなったのか抱きつく。
急に抱きついてきたレギーナにワレリーは軽く驚いた顔を見せると、レギーナは言った。
「大好き、パーヴェル。」
それを聞いたワレリーは空かさず相手をハグすると、頭を撫でて言う。
「俺もだよ…」
しかし、ワレリーはレギーナを見ていなかった。
ただ、窓の外の遠くを見つめていた。
ワレリーの脳裏に、いつも教会にやってくる時のガリーナが思い浮かぶ。
ガリーナは天使の羽を生やし、黄金の環を頭の上に浮かべていた。
天使の姿で、ひたすら涙を流して悲しみを語るガリーナを。
その度に自分が教会の裏で不祝儀に襲われた事を。
ワレリーは深く目を閉じた。
(あなただけが、神にいつも悲しみを語っている…。
そしてあの日は、特別悲しみが強かった…。)
あの日とは、ガリーナが命を絶つことを知らせた日。
――「神様…私…怖いんです…。
今日、息子のニコライがまた近所の子供に噛み付いたんです…。
全く言う事を聞かなくって…!」
教会にガリーナの声が響く。
ガリーナは涙を流しつつ、窓を見上げた。
色とりどりのガラスから優しい光が差し、ガリーナの美しい瞳は涙と共に窓ガラスを映し出す。
それをワレリーは教会の窓の裏から見ていた。
ワレリーは切ない表情で、彼女の美しい瞳を見つめている。
その瞬間、教会のトラップの槍が発動。
ワレリーは間一髪でそれを避けると、教会にその音が響いた。
それを聞いたガリーナは驚いて、状況を察したのか言った。
「ごめんなさい!私が泣いたからきっと、窓の向こうの神様にも不祝儀が…!」――
(あなたは生きている限り、涙の不祝儀の罪悪感で延々と苦悩し続ける…。)
――「今夜、私は命を絶ちます。…息子と共に、近くの谷で…。
神様お許しを…みんなの為なんです……
…今までありがとうございました。」――
ワレリーは深く閉じた目を開くと、再び走り始める。
(それがあなたの望みならば、私は叶えてあげたい。)
=================
パーヴェルとガリーナは保育園にやってくる。
保育園の前では子供達の点呼が取られており、ガリーナはニコライを探した。
ちなみに保育園の建物はガタはきているようだが、無事であった。
「ニコライがいない…!?」
ガリーナはそう言うと、保育園の建物に向かって走った。
しかしそれをパーヴェルが腕を掴んで止める。
「揺れが起こった後なんですよ?危ないから行くのはやめなさい。」
「でも!ニコライが…!」
ガリーナはそう言ったが、教会でのパーヴェルを思い出す。
そんなパーヴェルを思い出すと、これ以上言葉が出なかった。
(パーヴェルくんは…ニコライが嫌いなのよね…。
きっと…助ける気もないんだわ…)
ガリーナはパーヴェルの顔を見つめると、パーヴェルはあまり緊張感のない顔をしていた。
それを見たガリーナは悔しくなってくる。
(ニコライを愛してあげられるのも…!助けられるのも…!きっと私しかいないわ!)
そこに保育園の先生がやってくる。
「一部の部屋の扉が開かなくなったのです。多分その一室にニコライくんが…」
それを聞いたガリーナは大声でニコライを呼ぶ。
「ニコライ!ニコライぃ!いたら返事をしてぇッ!」
声を裏返すほどガリーナは叫んだ。
ガリーナは叫ぶと、一度黙り込んで返事がないか耳を澄ませる。
(私…私だけがニコライを救えるの…!)
しかし声は聞こえない。
ガリーナは怖くなって目に涙を浮かべると、ワレリーの言葉を思い出す。
――「泣いてはなりませんッ!あなたの涙で、ニコライが死んだらどう始末をつけてくれるのですかっ!」――
ガリーナは歯を食いしばってぐっと涙を堪えた。
パーヴェルはその様子に、ガリーナのいつもと違う雰囲気を感じる。
ガリーナは呼びかけるのをやめない。
「ニコライ!今日はおやつにアップルパイ焼くの!聞こえてるっ!?」
すると即座に聞こえてきた。
「レモンパイ!」
建物からニコライの声。
ガリーナはニコライの声を聞くと、涙を止めてパーヴェルの手を振り切る。
そして保育園内に入ると、ニコライの声を頼りに部屋を探した。
パーヴェルはガリーナを心配して共に向かうと、ニコライの声が聞こえる。
「レモンパイ!」
ガリーナは部屋に目星がついたのか立ち止まると、ドアノブを確認した。
「ダメ、建物が傾いてるせいか開かないわ…!」
「どれ。」
パーヴェルはガリーナの前に来て、思い切って引くが開かない。
「くっ、ビクともしませんねこの扉。」
「レモンパイー!」
ニコライの声が、確かにその部屋から聞こえる。
ガリーナは反射的にドアノブを掴んで引くと、なんとガリーナの怪力で開いた。
「うっそ…!」
パーヴェルは驚いていたが、ガリーナはすぐに部屋に入ってニコライを発見する。
ニコライは部屋の真ん中で立っていて、窓から入る陽に当たっていた。
ちなみにニコライの右目の眼帯は解けていた。
ガリーナはニコライに駆け寄ってを抱きつくと、ニコライは両腕を挙げる。
「レモンパイ!マーマ!」
ガリーナは力強くニコライを抱きしめ、頭を撫でると言った。
「もう…!…あなたが無事で良かった…」
ニコライはガリーナに強く抱きしめられて動けなくなっている。
パーヴェルはそれを黙って見ていると、ガリーナはニコライから体を離した。
ガリーナはニコライを見つめ、ニコライもガリーナの真似をしているのか見つめる。
そしてニコライの両腕を掴みながらも、ニコライに笑みを向けて言った。
「ニコライ。
私だけは、あなたが何者であろうと愛しているからね。」
そう言ってからニコライの手を握ると、ニコライは急に大人しくなって握られた手を見つめる。
大人の手に包まれた、小さな小さな子供の手。
ガリーナの熱がニコライに伝わり、逆にガリーナにもニコライの熱が伝わる。
ガリーナは急に大人しくなったニコライを変に思うと、ニコライはガリーナの手の中で自分の手をぬくぬくと動かす。
ガリーナはそれをくすぐったくて微笑んでしまうと、ニコライはガリーナの顔を見た。
温かい笑顔だ。
するとニコライも不器用ながらも、ガリーナの様に微笑んでみせる。
窓から差し込む陽のお陰か、不器用でも明るい笑顔に見えた。
いつも無表情で叫ぶだけのニコライが、ガリーナに笑ったのだ。
ガリーナは驚いて目を丸くする。
勿論それを見ていたパーヴェルも驚いていた。
ガリーナはその尊い笑顔を見ると、数日前にワレリーから言われた事を思い出す。
――「あなたは今、心に暗雲を抱えているのです。
それが晴れた時、あなたはニコライの命をどう思うでしょうか?
…きっと強く、尊く愛らしいものだと気付くはずです。」――
(私…数日前は、この子の命を奪おうって考えてたんだ…。
こんなに尊くて…愛らしい笑顔を私っ…。)
ガリーナはニコライに微笑むと、ニコライの頭を撫でた。
ニコライはぼーっとガリーナの伸ばした腕を見上げる。
(私、まだ命を捨てられないわ。私には、まだニコライがいるもの…)
ニコライはいつもの無表情に戻ると、自分の眼帯をガリーナに突き出して言った。
「そと!マーマ!そとー!」
ニコライに急かされて、ガリーナは慌てて眼帯をニコライに付ける。
すると、ニコライはまた一人で走って外に向かうのであった。
「待ってニコライ!」
ガリーナはニコライを追いかけようと走ると、ふとパーヴェルの方を見る。
パーヴェルは教会にいた時の冷たい目を薄ら浮かべてニコライを見ていた。
ガリーナはそれに虚しそうな表情を浮かべると、パーヴェルには何も言わずニコライを追いかけた。
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パーヴェルの家では、ワレリーが部屋の扉を見つめていた。
傍にはレギーナが難しい顔をして建物を見ている。
「殆どが開きにくくなってますね…今後住めるかどうか…」
ワレリーがそう言うと、近くにいたレギーナは言う。
「もう、せっかく同棲するって話をしてたのに…建物にガタ来ちゃうなんて…」
「ごめん、治るまでもうちょっと待っててくれますか?同棲。」
レギーナは不機嫌そうに頬を膨らませたが、溜息をついてから言った。
「いい…けど…。」
「ありがとう。」
ワレリーはそう言って微笑むと、レギーナは相手が愛おしくなったのか抱きつく。
急に抱きついてきたレギーナにワレリーは軽く驚いた顔を見せると、レギーナは言った。
「大好き、パーヴェル。」
それを聞いたワレリーは空かさず相手をハグすると、頭を撫でて言う。
「俺もだよ…」
しかし、ワレリーはレギーナを見ていなかった。
ただ、窓の外の遠くを見つめていた。
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