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25 キョウチクトウ:危険
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パーヴェルは牧師服を纏い、ガリーナの元へ向かった。
家の前に着くと、パーヴェルはふと思う。
(その一、ニコライの存在を認めてあげる事。
その二、ニコライに暴力を奮わない事。
…兄様からの言いつけだけど、あまりにも少なすぎないか?
いつもなら山の様にルールを押し付けてくるのに。)
パーヴェルは上の空でそんな事を考えていると、顔を下ろしてニッコリ。
「まあいいや!ただいまガリーナ!」
扉を開いて家の中に入ると、ガリーナはリビングにニコライと一緒にいた。
ガリーナはパーヴェルの方を見ると、パーヴェルは眉を困らせて笑う。
「パーヴェルですよ。」
その言葉を聞いて、ガリーナはパーヴェルに抱きついた。
「おおっ!」
パーヴェルは驚くと、ガリーナは言う。
「おかえり…」
「…ごめんね、今まで騙してて。勿論!レギーナとは一切疚しい事してないぞ!」
パーヴェルが言うと、ガリーナは首を横に振った。
「そういう事は気にしてないわ。だって私、パーヴェルくんの事信じてるもの。」
「ガリーナ…!」
パーヴェルは嬉しくなってガリーナを抱きしめると、頭を撫でる。
「戻ってきた!俺のガリーナが!俺のガリーナ~!」
ガリーナはパーヴェルの無垢な笑顔に微笑み、クスクスと笑った。
ニコライはそんな二人を不思議そうに見つめると、ニコライは言う。
「パーパ」
パーヴェルは驚いてニコライを見ると、ニコライは笑って楽器を鳴らした。
ガリーナはつい笑顔になってしまうが、パーヴェルはニコライを見て顔を引き攣ってしまう。
(ダメ、やっぱりニコライを人間として見るだなんて俺には…)
「パーヴェルくん?」
パーヴェルはふとガリーナに呼ばれ、ガリーナの顔を見た。
ニコライの事で表情を歪めているのをわかっているのか、ガリーナは切ない表情をしている。
「ごめん。でも兄様にある程度言われてるから、少しはマシになると思う。」
パーヴェルがそう言うと、ガリーナは俯いた。
「そうなんだ…。
ねえ、ワレリーさんどうだった?
私、勢いで怒っちゃって…ワレリーさんを傷つけてしまったかもしれないの。」
パーヴェルは眉を困らせる。
「うん…確かに落ち込んでいました。
元気になって欲しくて俺も色々言ったんですが…なかなか。」
「今どうしてる?」
「え?俺の家にいるんじゃないかなぁ。
あ!そうだ!二人でなんかサプライズしたら元気になるかも!」
パーヴェルの案に、ガリーナは目を輝かせた。
「そうね!何しましょう!」
するとパーヴェルは深く考え込むが、考えている途中で頭をクシャクシャとしてしまう。
「あーダメです!わからない!」
「ワレリーさんが落ち込んだ時、いつもどうしてた?」
ガリーナが質問すると、パーヴェルは落ち着いた様子になって思い出す。
パーヴェルはゆっくりと首を傾げると言った。
「そっとしておくのが一番だったなー。」
それを聞くと、ガリーナは苦笑。
「え…それサプライズして機嫌損ねたりしないよね…?」
「大丈夫!兄様は寛大なお方ですからね!」
パーヴェルは胸を張って言うと、ガリーナは笑ってしまう。
ガリーナを見てパーヴェルは目を丸くすると、ガリーナは言った。
「パーヴェルくん、ワレリーさんの話になると自分の事の様に話すわよね。
ワレリーさんの事大好きなんだ!」
パーヴェルはそう言われると、満天の笑顔を見せる。
「当たり前です!勿論、ガリーナも大好き!」
二人は笑ってしまうと、ふと思い出す。
「あ、ワレリー兄様へのサプライズ。」
「えっと…どうしましょう。」
ガリーナも考え始めたが、パーヴェルは秒で言った。
「とりあえず俺の家に行きましょう!兄様に会ってしまえば何か思いつくはず!」
それを聞いたガリーナは冷汗。
「何も考えなかったら何も思いつかないままなんじゃ…」
「そんな事ないない!俺にも神様の声が聞こえるはずです!」
ガリーナは満面の笑みを崩さずに、家を出るパーヴェルの後ろをついていった。
ニコライもガリーナに手を引かれ、三人でパーヴェルの家に向かう事になった。
==============================
ワレリーはトラックの積荷から、村宛ての手紙を取り出す。
それを見てワレリーは眉を潜めた。
「パーヴェル…手紙を受け取ったのなら村の者に配るよう言ったのに…。
たまに私の指令を忘れるのですよね…」
小言を吐きつつ、手紙を全て手に持って家に戻る。
家に戻るとワレリーは、配達する前に仕分けを始めた。
ワレリーは仕分けをしていると、一通の手紙に目がつく。
『ナターリヤ・ポポフ ワレリー・ポポフ パーヴェル・ポポフ 様へ』と書かれた手紙。
ワレリーは眉を潜めると、差出人の名前を見た。
『アンドレイ・ポポフ』。
ワレリーは手紙を開封して読むと、険しい表情を見せる。
手紙を読み終え、手紙をその場に置いてしまうと、村人への手紙も持たずに出かける準備をした。
ワレリーは腰に付けていた赤いダガーに目をやると、すぐに家を出ていった。
そこに入れ違いになるようにパーヴェル達が来ると、パーヴェルは扉を開ける。
「パーヴェルあ~…あれ?」
パーヴェルは家に入ると、部屋を一つ一つ確認。
ガリーナも一緒に入ると、リビングの机に手紙が十数枚置いてあるのを発見した。
「ねえ、パーヴェルくん、これ!」
パーヴェルはリビングまでやってくると、手紙を見て苦笑。
「あっちゃ。言いつけ忘れて手紙配達するの忘れてた!」
そう言ってパーヴェルは手紙を仕分けしようとすると、一通の手紙に目がつく。
「これ…!」
パーヴェルは驚いた顔で手紙を見ると、ガリーナも一緒に見る。
「宛先が…ワレリーさんにパーヴェルくん、このナターリヤさんって?」
「俺達を育ててくれた祖母です、村の外れに住んでます。」
「じゃあ、このアンドレイさんって?」
パーヴェルは少し黙ると言った。
「確か…お父様の名前だったはず…。」
ガリーナは目を丸くすると、パーヴェルは手紙を開きながら言う。
「お父様は軍人であまり家に居られず、お母様は異端な人だった為に俺達二人は祖母に引き取られたらしいです。
俺は両親の事も、昔住んでた町の事も覚えてないけど…」
「確かワレリーさんが四歳の時にここに引っ越して来たのよね?」
「うん。」
パーヴェルはガリーナの質問に返事をすると、手紙を見て驚いた。
「え!?近々、海外に引っ越す予定だから、最後に会いに来るって!?」
「おお…!」
ガリーナは感心すると、パーヴェルは目を輝かせる。
「一度でもいいからお父様とお母様に会ってみたかったんだよな~!」
「良かったねパーヴェルくん!」
パーヴェルは笑顔になりながらも手紙の続きを読んでいると、手紙の内容で驚愕した。
「え~!?しかも今日、家族全員じゃないけど挨拶に来るって!祖母の家まで!」
「おおお…!」
ガリーナも目を光らせると、パーヴェルは手紙を持ってガリーナの手を引っ張る。
「こうしちゃいられない!俺達もおばあ様の家に行こう!」
「ええ。」
ガリーナはニコライを抱え、三人でパーヴェルの祖母の家に向かった。
パーヴェルはあまりにも急か急かと走るので、ガリーナは言う。
「ぱ、パーヴェルくん、ちょっと速い…!」
「え~!?歩いている内に両親が帰っちゃったらどうするんだ!」
「そんなすぐ帰るかな…?ワレリーさんが向かったってなら止めてくれそうだけど…」
ガリーナは疲れつつそう言うと、パーヴェルは口をへの字に曲げた。
「いや、ワレリー兄様は昔から親の話をしたがりません。もしかしたら早々と帰らせるかもしれないです!」
「えぇ~…!?」
ガリーナは疲れきってそう言ってしまうと、パーヴェルは近くの茂みに視線が行く。
茂みからは茎でも木の枝でもない、謎の物体が小さく顔を出していた。
(なんだあれ…)
パーヴェルはそう思っていると、その物体の正体に気づく。
パーヴェルはガリーナに小声で言った。
「ガリーナ、俺が合図を出したらその場で伏せるんだ。わかったか?」
「え…?」
ガリーナは急に言われて目が点になると、パーヴェルは横目でその物体を見つめている。
パーヴェルが見つめていたその物体は、なんと銃口。
銃はこちらを向いていた。
銃を構える者が引き金に指をかけた時、パーヴェルはガリーナに言った。
「今です!」
二人はその場に飛び込むようにして伏せると、銃口から弾が放たれる。
銃声が空に響くと、ガリーナは呆然とした。
パーヴェルのお陰で撃ち抜かれなかったものの、ショックが強いのかガリーナは動けない。
ニコライは音の根源をキョロキョロと探していると、茂みから人が出てくる。
パーヴェルやワレリーと同じ髪色をした青年。
パーヴェルは立ち上がると、その青年を睨んだ。
家の前に着くと、パーヴェルはふと思う。
(その一、ニコライの存在を認めてあげる事。
その二、ニコライに暴力を奮わない事。
…兄様からの言いつけだけど、あまりにも少なすぎないか?
いつもなら山の様にルールを押し付けてくるのに。)
パーヴェルは上の空でそんな事を考えていると、顔を下ろしてニッコリ。
「まあいいや!ただいまガリーナ!」
扉を開いて家の中に入ると、ガリーナはリビングにニコライと一緒にいた。
ガリーナはパーヴェルの方を見ると、パーヴェルは眉を困らせて笑う。
「パーヴェルですよ。」
その言葉を聞いて、ガリーナはパーヴェルに抱きついた。
「おおっ!」
パーヴェルは驚くと、ガリーナは言う。
「おかえり…」
「…ごめんね、今まで騙してて。勿論!レギーナとは一切疚しい事してないぞ!」
パーヴェルが言うと、ガリーナは首を横に振った。
「そういう事は気にしてないわ。だって私、パーヴェルくんの事信じてるもの。」
「ガリーナ…!」
パーヴェルは嬉しくなってガリーナを抱きしめると、頭を撫でる。
「戻ってきた!俺のガリーナが!俺のガリーナ~!」
ガリーナはパーヴェルの無垢な笑顔に微笑み、クスクスと笑った。
ニコライはそんな二人を不思議そうに見つめると、ニコライは言う。
「パーパ」
パーヴェルは驚いてニコライを見ると、ニコライは笑って楽器を鳴らした。
ガリーナはつい笑顔になってしまうが、パーヴェルはニコライを見て顔を引き攣ってしまう。
(ダメ、やっぱりニコライを人間として見るだなんて俺には…)
「パーヴェルくん?」
パーヴェルはふとガリーナに呼ばれ、ガリーナの顔を見た。
ニコライの事で表情を歪めているのをわかっているのか、ガリーナは切ない表情をしている。
「ごめん。でも兄様にある程度言われてるから、少しはマシになると思う。」
パーヴェルがそう言うと、ガリーナは俯いた。
「そうなんだ…。
ねえ、ワレリーさんどうだった?
私、勢いで怒っちゃって…ワレリーさんを傷つけてしまったかもしれないの。」
パーヴェルは眉を困らせる。
「うん…確かに落ち込んでいました。
元気になって欲しくて俺も色々言ったんですが…なかなか。」
「今どうしてる?」
「え?俺の家にいるんじゃないかなぁ。
あ!そうだ!二人でなんかサプライズしたら元気になるかも!」
パーヴェルの案に、ガリーナは目を輝かせた。
「そうね!何しましょう!」
するとパーヴェルは深く考え込むが、考えている途中で頭をクシャクシャとしてしまう。
「あーダメです!わからない!」
「ワレリーさんが落ち込んだ時、いつもどうしてた?」
ガリーナが質問すると、パーヴェルは落ち着いた様子になって思い出す。
パーヴェルはゆっくりと首を傾げると言った。
「そっとしておくのが一番だったなー。」
それを聞くと、ガリーナは苦笑。
「え…それサプライズして機嫌損ねたりしないよね…?」
「大丈夫!兄様は寛大なお方ですからね!」
パーヴェルは胸を張って言うと、ガリーナは笑ってしまう。
ガリーナを見てパーヴェルは目を丸くすると、ガリーナは言った。
「パーヴェルくん、ワレリーさんの話になると自分の事の様に話すわよね。
ワレリーさんの事大好きなんだ!」
パーヴェルはそう言われると、満天の笑顔を見せる。
「当たり前です!勿論、ガリーナも大好き!」
二人は笑ってしまうと、ふと思い出す。
「あ、ワレリー兄様へのサプライズ。」
「えっと…どうしましょう。」
ガリーナも考え始めたが、パーヴェルは秒で言った。
「とりあえず俺の家に行きましょう!兄様に会ってしまえば何か思いつくはず!」
それを聞いたガリーナは冷汗。
「何も考えなかったら何も思いつかないままなんじゃ…」
「そんな事ないない!俺にも神様の声が聞こえるはずです!」
ガリーナは満面の笑みを崩さずに、家を出るパーヴェルの後ろをついていった。
ニコライもガリーナに手を引かれ、三人でパーヴェルの家に向かう事になった。
==============================
ワレリーはトラックの積荷から、村宛ての手紙を取り出す。
それを見てワレリーは眉を潜めた。
「パーヴェル…手紙を受け取ったのなら村の者に配るよう言ったのに…。
たまに私の指令を忘れるのですよね…」
小言を吐きつつ、手紙を全て手に持って家に戻る。
家に戻るとワレリーは、配達する前に仕分けを始めた。
ワレリーは仕分けをしていると、一通の手紙に目がつく。
『ナターリヤ・ポポフ ワレリー・ポポフ パーヴェル・ポポフ 様へ』と書かれた手紙。
ワレリーは眉を潜めると、差出人の名前を見た。
『アンドレイ・ポポフ』。
ワレリーは手紙を開封して読むと、険しい表情を見せる。
手紙を読み終え、手紙をその場に置いてしまうと、村人への手紙も持たずに出かける準備をした。
ワレリーは腰に付けていた赤いダガーに目をやると、すぐに家を出ていった。
そこに入れ違いになるようにパーヴェル達が来ると、パーヴェルは扉を開ける。
「パーヴェルあ~…あれ?」
パーヴェルは家に入ると、部屋を一つ一つ確認。
ガリーナも一緒に入ると、リビングの机に手紙が十数枚置いてあるのを発見した。
「ねえ、パーヴェルくん、これ!」
パーヴェルはリビングまでやってくると、手紙を見て苦笑。
「あっちゃ。言いつけ忘れて手紙配達するの忘れてた!」
そう言ってパーヴェルは手紙を仕分けしようとすると、一通の手紙に目がつく。
「これ…!」
パーヴェルは驚いた顔で手紙を見ると、ガリーナも一緒に見る。
「宛先が…ワレリーさんにパーヴェルくん、このナターリヤさんって?」
「俺達を育ててくれた祖母です、村の外れに住んでます。」
「じゃあ、このアンドレイさんって?」
パーヴェルは少し黙ると言った。
「確か…お父様の名前だったはず…。」
ガリーナは目を丸くすると、パーヴェルは手紙を開きながら言う。
「お父様は軍人であまり家に居られず、お母様は異端な人だった為に俺達二人は祖母に引き取られたらしいです。
俺は両親の事も、昔住んでた町の事も覚えてないけど…」
「確かワレリーさんが四歳の時にここに引っ越して来たのよね?」
「うん。」
パーヴェルはガリーナの質問に返事をすると、手紙を見て驚いた。
「え!?近々、海外に引っ越す予定だから、最後に会いに来るって!?」
「おお…!」
ガリーナは感心すると、パーヴェルは目を輝かせる。
「一度でもいいからお父様とお母様に会ってみたかったんだよな~!」
「良かったねパーヴェルくん!」
パーヴェルは笑顔になりながらも手紙の続きを読んでいると、手紙の内容で驚愕した。
「え~!?しかも今日、家族全員じゃないけど挨拶に来るって!祖母の家まで!」
「おおお…!」
ガリーナも目を光らせると、パーヴェルは手紙を持ってガリーナの手を引っ張る。
「こうしちゃいられない!俺達もおばあ様の家に行こう!」
「ええ。」
ガリーナはニコライを抱え、三人でパーヴェルの祖母の家に向かった。
パーヴェルはあまりにも急か急かと走るので、ガリーナは言う。
「ぱ、パーヴェルくん、ちょっと速い…!」
「え~!?歩いている内に両親が帰っちゃったらどうするんだ!」
「そんなすぐ帰るかな…?ワレリーさんが向かったってなら止めてくれそうだけど…」
ガリーナは疲れつつそう言うと、パーヴェルは口をへの字に曲げた。
「いや、ワレリー兄様は昔から親の話をしたがりません。もしかしたら早々と帰らせるかもしれないです!」
「えぇ~…!?」
ガリーナは疲れきってそう言ってしまうと、パーヴェルは近くの茂みに視線が行く。
茂みからは茎でも木の枝でもない、謎の物体が小さく顔を出していた。
(なんだあれ…)
パーヴェルはそう思っていると、その物体の正体に気づく。
パーヴェルはガリーナに小声で言った。
「ガリーナ、俺が合図を出したらその場で伏せるんだ。わかったか?」
「え…?」
ガリーナは急に言われて目が点になると、パーヴェルは横目でその物体を見つめている。
パーヴェルが見つめていたその物体は、なんと銃口。
銃はこちらを向いていた。
銃を構える者が引き金に指をかけた時、パーヴェルはガリーナに言った。
「今です!」
二人はその場に飛び込むようにして伏せると、銃口から弾が放たれる。
銃声が空に響くと、ガリーナは呆然とした。
パーヴェルのお陰で撃ち抜かれなかったものの、ショックが強いのかガリーナは動けない。
ニコライは音の根源をキョロキョロと探していると、茂みから人が出てくる。
パーヴェルやワレリーと同じ髪色をした青年。
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