死んだ幼馴染が僕の元へと帰って来ました

淳平

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2話 前編

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「何さっきからボケーっと私の顔見て。 あ、もしかして何かついてる?」

 沙希はそう言って自分の顔に手をやる。

「いやそういうわけじゃなくてな」
「何? どうしたのあっくん?」

 戸惑っている俺とは対照的に沙希は自分がここにいるのが当たり前かのように尋ねる。

「これってさ、何かのドッキリか?」
「ドッキリって?」
「いやだってさ……お前、一年前に死んだはずだよな?」
「うん、死んだよ」

 沙希はまるで他人事のように答える。
 それがどうしたのかといった感じだ。

「やだなあ。 あっくんそんなことも忘れたの?」
「……ならお前は何なんだ? ……幽霊だってのか?」
「うーん、それも違うかな。 強いて言うなら生まれ変わりかな」
「……は?」
「ほら、私小さい頃から猫になりたいって言ってたでしょ? そういうこと」
「…………」
「でも視界は狭いし人間は意地悪だしあまりいいことがないかな」
「何がどうなってるんだ? どうして……死んだはずの沙希がここにいるんだ」
「うーん、じゃあ順を追って説明しましょう」

 沙希はそう言うと何故死んだはずの自分がここにいるのかを話し始めた。
 それはひどく非現実的でにわかにも信じられない内容だった。
 まず沙希は一年前の夏、事故で亡くなった。
 それは揺るぎない事実として僕の記憶に残っている。
 忘れられない記憶として。
 それは分かるのだが沙希はにわかにも信じがたいことを語り始めたのだ。
 どうやら天国には学校があるらしい。
 そこには学生のうちに自分の意思とは裏腹に死んだものが集められるという。
 その学校で年に一度最も優秀な成績を収めたものに願い事を一つだけ叶えることができる権利が与えられる。
 そこで沙希は「生まれ変わり」を願ったのだそうだ。

「凄いでしょ! 生きてた頃はあんなに勉強できなかった私が一番の成績だったんだよ」

 沙希はえっへんと言わんばかりに誇らしげな顔をする。
 このにわかにも信じられないことを言う女の子を前に僕はただ唖然としていた。
 ああそうか。 きっとこれはドッキリか何かなのだろう。
 きっともうすぐカメラを持ったテレビ局の人が説明しに来るのだろう。
 目の前にいる女の子も沙希のそっくりさんに違いない。
 それにしてもこんなドッキリは酷すぎる。
 そう思うとだんだんと腹が立ってきた。

「ん? あっくんもう寝るの?」

 ベッドに潜り込み僕は寝る態勢へと入った。 頼むから早く種明かしをしてくれ。 僕はそんなに暇じゃないんだ。

「むー、だんまり決め込んじゃって」

 沙希はそう言うと布団に潜り込んできた。 沙希の足が僕の足に触れた。
 それからしばらくの間お互い黙ったまま布団にくるまっていた。
 どれくらいの時間が経ったのだろうか、しばらくすると沙希は突然歌を歌い始めた。
 声の聞こえ方的に僕らは今互いに反対方向を向いているらしい。
 と、そんなことはどうでもよくて、気付けば僕は沙希の歌に聞き入ってしまっていた。

「……この歌って」

 思わず僕は振り返り沙希に尋ねると、

「懐かしいでしょ」

 と笑った。
 沙希が歌っている歌は僕が沙希に作ったものだった。
 そしてこの歌は沙希しか知らないはずだった。

「本当に沙希なのか?」
「やっと信じてくれたんだね」

 沙希はそう言うとやっぱり笑った。
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