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【花言葉には頼らない】
最終話【ナデシコの花言葉は『純愛』】
しおりを挟む翌日の、閉店後。
「待って待って。送るよ」
いつもと変わらず、帰ろうとする鳥羽井を田塚が引き留めた。
「ですから、何度も何度もお伝えしていますけど。店長は私のことを心配せず、しっかり休んでください」
「だから。僕はスーパーで買い物があるんだって」
普段と変わらない笑みを浮かべて、田塚は鳥羽井の隣に立つ。
そんな田塚を見上げて、鳥羽井は俯く。
「なるほど。では、メインは私ではなくお買い物……と」
昨晩、お花扱いをされたのが相当気にかかっていたらしい。思わず呟いた子供っぽい言葉に、鳥羽井は自分でガッカリした。
すると、田塚は肯定。
「──いや。メインは『もう少しキミと一緒にいたい』って下心、かな」
──せず、否定した。
驚く鳥羽井は、自分より背の高い田塚を見上げる。すると視線の先で、珍しいものを見た。
「──ごめん。あんまり、見ないでほしい」
──それは、頬を赤く染めている田塚だ。
つられて、鳥羽井も顔を赤くする。
すかさず俯いた鳥羽井に気付き、田塚は顔を覗き込む。
「あれ? もしかして、照れてる?」
「っ! みっ、見ないでほしいって言ったのはそっちじゃないですかっ! だから私は、そのっ。……目を、逸らしてあげているだけですっ!」
「じゃあ、こっち見て?」
「さっきと矛盾していますっ!」
田塚から顔を背け、鳥羽井はそそくさと歩き出す。
そんな鳥羽井を後ろから追い、田塚はすぐに隣へ並んだ。
「ごめんごめん。謝るから機嫌直し──ちょ、速い速いっ! 待ってよ!」
「別に、置いていっているわけではありません。私の足が速いだけです。……若いので」
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慌てて追いかけると、すぐにその距離は縮まった。
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決して、放したくないからではない。……鳥羽井は自分にそう、言い聞かせた。
【花言葉には頼らない】 了
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