短編集[作:ヘタノヨ コヅキ]

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

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【残念イケメンVS残念イケメン(仮)?!】

3話【小野賀様はモテモテ?】

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 それは、数日後。ある日の昼休みのことだった。


「あっ、小野賀──ん?」


 廊下の窓。その向こうに、我之は小野賀の姿を見つける。

 毎朝足しげく教室に顔を出してくれる以外だと、我之は小野賀と話す機会は少ない。別のクラスで洗濯授業も違うのだから、当然と言えば当然のことだが。

 だからこうして、偶然でも小野賀の顔を見られるのは嬉しい。すぐに我之は普段の冷涼な表情を作って、小野賀に声を掛けようとした。

 ……だが、小野賀は一人で外にいるわけではないようだ。その事実に気付くと、我之は窓を開けようとした手をピタリと止めてしまった。

 小野賀は、一人ではない。……女生徒と、一緒にいるのだ。


「──っ!」


 頬を赤らめた女生徒と、いつも以上に誇らしげな表情をしている小野賀を見て……恋愛においてポンコツな我之でも、察する。

 窓の鍵に伸ばしていた手を、プラリと下ろす。それから我之は窓に背を向けて、ポツリと呟いてしまった。


「……そ、っか。小野賀は、格好いいからね。……そう、だよね」


 ──小野賀は今、あの女生徒に告白されたのだと。そう、気付いてしまったから。


 * * *


 それから数時間後の、放課後。


「「──あっ」」


 廊下でバッタリと、我之は小野賀に会ってしまった。
 内心では『今日も格好いい無理好き泣きそうっ!』と騒ぎつつも、我之は涼やかな笑みを浮かべる。


「やぁ、小野賀。昼休み、偶然ここから見てしまったのだが……キミ、随分と可愛い子に告白されていたじゃないか」
「ン? ……あぁッ! フフーン、まぁなッ! 俺様のカッコ良さをもってすれば女子からの告白は仕方のないことだッ!」

「そうかい、そうかい。……あれだけ可愛い子だったんだ。当然、返事は『イエス』だろう?」
「返事だと?」


 瞬間、我之は心の中で自分を殴った。
 涼しい笑みを浮かべつつも、内心では『本当にイエスだったらどうするんだ私のばかぁあっ!』と叫ぶ。

 けれど、発言してしまった言葉は消えない。どれだけその先の答えを聞きたくないと叫んだって、もう遅いのだ。

 我之からの問いを受けて、小野賀は一瞬だけ目を丸くした。だがすぐに、ムンと胸を張った。


「ハーッハッハッ! なにを言うかと思えば……我之ッ! 俺様は特定のファン一人のものになったり、誰か特定のファンだけをお姫様にしてやったりはしないぞッ! ……確かに、可愛い女子ではあったがなッ!」


 小野賀の言葉に、今度は我之が目を丸くする。


「……小野賀。もしかしてキミ……可愛い子が好き、なのかい?」
「ハァッ?」


 なぜか目を丸くしている我之に驚き、小野賀は声を張り上げた。


「当たり前だろうッ! そもそも、男なら当然だと言っても過言ではないことだぞッ!」
「そ、そうなのかい……?」

「なにを驚いている? ……相変わらず変な奴だな、お前は」
「そう、かな。いや、うん? そう、なのかも?」


 どこか不思議そうにはしているものの、小野賀はこの手の会話が得意ではないのだろうか。まるで『話は終わった』と言わんばかりに、小野賀は立ち去った。

 ……それから数分後。我之はその場に、崩れ落ちた。


「──しっ、知らなかったっ! 小野賀、可愛い女の子の方が好みだったんだっ!」


 しかし、恋する乙女に立ち止まっている暇はない。我之はすぐさま、ポケットの中から携帯を取り出す。
 連絡する相手は……当然、皆葉だ。


『杏歩! 明日、私を可愛くしてくれ!』


 そんなメッセージを送り、我之は立ち上がる。


「待っているがいい、小野賀! うんと可愛くなって、絶対にキミを振り向かせてみせる!」


 ──そう。我之白華は、恋に対して真っ直ぐなのであった!




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