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第2章 ゴリ

(後編)夕方 中

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 ショタの純粋無垢な瞳が、ゴリを映す。けれどゴリは……その瞳に、応じられなかった。


「俺は、どうにも……駄目だな」


 会議室のデスクに腕を乗せ、両手を握る。
 そんなゴリを見ながら、ショタは小首を傾げた。


「そういうのって、ボクじゃなくてBBセンパイに話した方がいいんじゃないですか?」


 ゴリとBBは、恋人同士……それは、ショタも知っている。ショタの言い分は、正しいと思われた。

 ――しかしゴリは、首を横に振る。


「ケンカ中ですか?」


 至極当然の問いに、ゴリは片手で顔を隠しながら、小さな声で呟いた。


「アイツに、幻滅されたくないんだ……」


 それを聞いたショタは、目を丸くする。
 誰と体を重ねようと、ゴリには一つだけ……譲れないことがあった。

 ――ゴリは、BB以外とキスをしない。

 ゴリなりのケジメを、付けているつもりなのだ。それ程、ゴリはBBを愛していた。

 ――だからこそゴリは、BBに情けない姿を見せたくないと、思ってしまう。

 すると突然、ショタが椅子から立ち上がった。そのままショタはゴリの隣に立つと……先程ゴリが締め直したばかりのネクタイに、手を掛ける。


「ゴリ課長って、案外BBセンパイのこと……どうでもいい感じですか?」
「は?」
「ボクは、マグロクンの考えてること……ボクが一番知っていないと、イヤだなって思っちゃうんですよね」


 独り言のように呟くショタは、どこか悲し気な表情で、そう呟く。

 ゴリのネクタイを緩めたショタは、露わになったゴリの首筋に唇を寄せると……力任せに、吸い上げた。
 一瞬の痛みに、ゴリが眉を寄せる。

 ゴリの首筋に付いた赤い痕を見て、ショタは楽しそうに笑う。


「さぁ、セックスしましょう、今すぐに!」
「お、おい、ショタ――」
「一緒に気持ち良くなりましょうよ~」
「随分と勝手なことを言うんだな」


 ワイシャツのボタンを外すショタに、ゴリは文句のように呟く。
 それを聞いたショタは、ゴリの露わになった胸元を見ながら、呟きで返した。


「悩みを打ち明けてもいないのに、BBセンパイに幻滅されるって……そう思い込んでるゴリ課長は【勝手】じゃないんですか?」


 ショタの返答に……ゴリは、目を丸くする。

 ワイシャツのボタンを全て外され、ベルトにまで手を掛けられながら……ゴリはショタの小さな頭部を見つめた。
 暫く目を丸くしていたが……やがて諦めたかのように、ゴリは溜め息を吐く。

 そして……自分のことを脱がすのに集中している部下を、デスクの上に押し倒したのだ。


「わっ!」


 突然押し倒されたショタは小さな悲鳴をあげた後、不思議そうにゴリを見上げた。

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