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無口な百合はデートをする①
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百合は電車に乗っていた。
具体的に言えば、百合と2人で隣同士座って手を繋いで電車に乗っていた。
――『今から24時間、ずっと私と手を繋いでね?』
その言葉から始まった土曜日の朝9時。
百合は右手を、末樹は左手を差しだし互いの小さな手を握り合っていた。
1人の少女は手も相手の顔も見ずに顔を赤くし、1人の少女は手と相手の顔を見て太陽の様にニコニコ顔だった。
「どこに…行くの…?」
「んー、内緒!」
学校の近くの駅で集合と言われた時は24時間学校に拘束されるのかと思っていた。
もしくは学校の近くにあるらしい末樹と未久の家。
ただ意外にもと言うべきか当たり前と言うべきか、駅で合流した後、
手を繋ぎそのまま電車に乗ったのだ。
行き先は知らされていないので若干の恐怖がある。
…と言えば嘘になるかもしれない。なぜなら繋いだ手の温かさが恐怖を和らげるのだから。
「……」
普段制服姿しかお互いに見ないのだが今日は土曜日。私服である。
末樹の格好は白のインナーに黒のレディースカーディガン、青のジーンズと意外にもシンプルで落ち着きのある格好だった。
その姿はこの電車に乗っている誰よりもオシャレに映っている。
「百合ちゃんの私服可愛いね!」
百合の視線に気付いたのだろうか、末樹は笑顔で百合の服装への感想を口にした。
百合の格好は若干桃色のかかった白のインナーに青のデニムジャケット、茶色のスカート。
その私服をまじまじと末樹が見つめてくるため、また百合は顔を赤らめ目を逸らした。
「この前も思ったけど…百合ちゃんっておっぱい大きいね」
「おっぱ…!?」
急いでジャケットで胸を隠す。が、片手は末樹と手を繋いでいる為、片手でしか隠すことが出来ず余計にいやらしくなる。
末樹の隠す気のない声に周りの――特に男の人達の視線が集まった気がして長い髪で顔を無理やり隠す。
「駄目だよー顔を隠したら」
だがその必死の抵抗は末樹が百合の髪の毛をわける事で無意味となる。
「百合ちゃんが下着姿の時さー身体がびくって揺れる度におっぱいが揺れてて羨ましいなーって思ってたんだよねー」
周りの人達が少しザワつき始めたのは気のせいではないと思う。
「みっ…末樹ちゃん…!」
末樹の笑顔はこころなしかうっとりしていて、それがまた周りの妄想をかぎたててしまう。
無理に話しを変える様な抵抗はこの24時間はできない。
せめて話の邪魔をしない程度に話題を変えなければ。
「末樹ちゃんって…そ、その…胸とかっ…触らないよね……意外と…」
「胸とか?」
末樹は一瞬驚いた様な顔をした後にまた太陽な様な天使の笑顔を見せて問う。
「胸『とか』って、他はどこ?」
違う、悪魔だ。
「えっ……」
「ねえ、胸と…どこ?」
末樹は手を繋いだまま百合の顔を覗き込むように顔を近づける。
電車の周りの乗客が途端静かになり、息をのむ音が聞こえる。気がする。
「だ…だからっ…胸とか………」
「んー?」
周りの乗客の視線が集まる。
「お…」
百合がすぐ目の前で優しく微笑み、手を握る。
「おっ…おま……」
電車はの走る音は百合のか細い声をかき消さない。
こんなところでそんな言葉を、女性の秘部をさす言葉を口にするなんて出来ない。
でも24時間は末樹の命令は絶対だ。
末樹が質問しているのだから正直な答えなければ。
恥ずかしい。
でも、口にする。
「おまたっ……!とか……」
―――言ってしまった。
「うーん……」
少し困った様な顔で微笑みながら百合はまた席にもたれかかる。
また、周りの乗客は慌てて視線を逸らし、少し残念そうなため息をあげる。
「まっ、いっか!」
何か違っただろうか。
具体的に言えば、百合と2人で隣同士座って手を繋いで電車に乗っていた。
――『今から24時間、ずっと私と手を繋いでね?』
その言葉から始まった土曜日の朝9時。
百合は右手を、末樹は左手を差しだし互いの小さな手を握り合っていた。
1人の少女は手も相手の顔も見ずに顔を赤くし、1人の少女は手と相手の顔を見て太陽の様にニコニコ顔だった。
「どこに…行くの…?」
「んー、内緒!」
学校の近くの駅で集合と言われた時は24時間学校に拘束されるのかと思っていた。
もしくは学校の近くにあるらしい末樹と未久の家。
ただ意外にもと言うべきか当たり前と言うべきか、駅で合流した後、
手を繋ぎそのまま電車に乗ったのだ。
行き先は知らされていないので若干の恐怖がある。
…と言えば嘘になるかもしれない。なぜなら繋いだ手の温かさが恐怖を和らげるのだから。
「……」
普段制服姿しかお互いに見ないのだが今日は土曜日。私服である。
末樹の格好は白のインナーに黒のレディースカーディガン、青のジーンズと意外にもシンプルで落ち着きのある格好だった。
その姿はこの電車に乗っている誰よりもオシャレに映っている。
「百合ちゃんの私服可愛いね!」
百合の視線に気付いたのだろうか、末樹は笑顔で百合の服装への感想を口にした。
百合の格好は若干桃色のかかった白のインナーに青のデニムジャケット、茶色のスカート。
その私服をまじまじと末樹が見つめてくるため、また百合は顔を赤らめ目を逸らした。
「この前も思ったけど…百合ちゃんっておっぱい大きいね」
「おっぱ…!?」
急いでジャケットで胸を隠す。が、片手は末樹と手を繋いでいる為、片手でしか隠すことが出来ず余計にいやらしくなる。
末樹の隠す気のない声に周りの――特に男の人達の視線が集まった気がして長い髪で顔を無理やり隠す。
「駄目だよー顔を隠したら」
だがその必死の抵抗は末樹が百合の髪の毛をわける事で無意味となる。
「百合ちゃんが下着姿の時さー身体がびくって揺れる度におっぱいが揺れてて羨ましいなーって思ってたんだよねー」
周りの人達が少しザワつき始めたのは気のせいではないと思う。
「みっ…末樹ちゃん…!」
末樹の笑顔はこころなしかうっとりしていて、それがまた周りの妄想をかぎたててしまう。
無理に話しを変える様な抵抗はこの24時間はできない。
せめて話の邪魔をしない程度に話題を変えなければ。
「末樹ちゃんって…そ、その…胸とかっ…触らないよね……意外と…」
「胸とか?」
末樹は一瞬驚いた様な顔をした後にまた太陽な様な天使の笑顔を見せて問う。
「胸『とか』って、他はどこ?」
違う、悪魔だ。
「えっ……」
「ねえ、胸と…どこ?」
末樹は手を繋いだまま百合の顔を覗き込むように顔を近づける。
電車の周りの乗客が途端静かになり、息をのむ音が聞こえる。気がする。
「だ…だからっ…胸とか………」
「んー?」
周りの乗客の視線が集まる。
「お…」
百合がすぐ目の前で優しく微笑み、手を握る。
「おっ…おま……」
電車はの走る音は百合のか細い声をかき消さない。
こんなところでそんな言葉を、女性の秘部をさす言葉を口にするなんて出来ない。
でも24時間は末樹の命令は絶対だ。
末樹が質問しているのだから正直な答えなければ。
恥ずかしい。
でも、口にする。
「おまたっ……!とか……」
―――言ってしまった。
「うーん……」
少し困った様な顔で微笑みながら百合はまた席にもたれかかる。
また、周りの乗客は慌てて視線を逸らし、少し残念そうなため息をあげる。
「まっ、いっか!」
何か違っただろうか。
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