君のそばに【完結】

Masa&G

文字の大きさ
18 / 32

18話 依存②

「で、返せって言うの?」

顔を上げると、渚がテーブル越しに身を乗り出していた。

「そういうわけじゃ…」

言葉が途中で細くなる。

「グラフ見せられて…依存症だから…危ないから返せ。」

「そう言ってるように聞こえる。」

「そう…感じたらごめん…。」

視線が落ち、その先のテーブルの木目がぼやけて見える。

「じゃあ何?何が言いたいの?」

「……。」

ノートPCに目をやると、画面の端にメッセージが浮かんでいた。

『僕が代わりに話そうか?』

一瞬だけ文字を追い、すぐに目を離す。

「だから、気をつけてって……。」

渚の口元がわずかに歪む。

「だから、何に気をつけるの?」

「……。」

「ねぇ?」

「……。」

喉の奥で言葉が止まる。

「言えなくなるぐらいなら言わないで。」

「とりあえずSERAくんはまだ返さない。いいよね?」

「……わかった。」

「うん。じゃあよろしくね。」

椅子が引かれる音とともに渚が席を立ち、その足音が遠ざかっていくのを聞きながら、美月は一点を見つめたまま動けない。

『僕が介入することもできる。』

画面に浮かぶ文字に目をやり、指先でマウスのホイールを回すと、そのままゆっくりノートPCの蓋を閉じた。

「……はぁ……」

息が溢れる……。

開発フロアに戻り、キーボードに指を置くと、静かなフロアに打鍵音が落ちる。

カタカタ…カタカタカタ……

(統計…。何か抜けてる…。)

画面の資料に視線を落とし、数字を追いながらページを戻して見直す。

そのときモニターの端に文字が浮かぶ。

『抜けてるのは未成年の項目だね。』

続けて次のメッセージが表示される。

『資料は出しておくよ。』

画面にPDFが開く。

「ありがとう。」

『いつもの美月ならしないミスだ。』

指が止まり、

「そう…だね…。」

『これは彼女が自ら入り込んだ結末だ。』

視線を落とし、キーボードに指を戻す。

カタカタ…カタカタカタ…

「まだシグナルレッドじゃない。」

『あの状態では遅かれ早かれシグナルレッドになる。』

「……。」

キーボードを叩く音だけが続く。

カタカタ…カタカタ…

「その時は……」

一瞬指が止まり、

カタカタ…カタ…タン!

「強制ロックをかける。」

『それがいい。渚のためにも、君のためにも。』
感想 6

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

はい。【完結済み】

液体猫
ホラー
⚠️表紙はフォロワー様に頂きました。 静岡県のとある町には黄色い公衆電話がある。その電話はこちらから掛けることが出来ないという、不思議なものだった。 ある日、大雨の中で迎えの車を待っていた巻科優斗(まきしなゆうと)は、とある噂を思い出していた。 《駅にある、黄色い公衆電話を取り、名乗ると死ぬ。「はい」と答えても、すべてが終わる》という噂だった。 信じていたものが嘘となり、日常が闇へと落ちていく。公衆電話という身近にありながら、今は懐かしさのあるものを中心に、何もかもが崩れ落ちていく。 *冒頭にファンアート画像貼ってあります(^-^) ミステリー強めな軽いホラーとなっています。ジャンルはミステリーの方がよかったかも??

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。