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第12話 遺跡②
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遺跡内部――
小さな穴を抜けた先、暗く、広い空間へと足を踏み入れた。
ランプを掲げても、光は壁の途中で闇に吸い込まれる。足音を立てるたび、低く反響し、空間の広さだけが伝わってくる。
(かなり広いな…音に反響がある。)
空気が、外とは明らかに違っていた。湿り気とも冷たさとも違う、説明しがたい重さ。
(それになんだ…ここだけ空気が違う…)
(まるで…別世界のような…)
「班長、ランプを持ってきてくれ。中はかなり広い。」
「はい!」
穴の向こうから声が返る。しばらくして、班長が二つのランプを手に持ち、やってきた。
「すまない。」
「広いですね…」
「ああ。かなりの広さだ。」
二人の声は、静かな遺跡の中で何度も反響した。
ランプを一つ、入口のそばに置き、二人は分かれて周囲を調べ始める。退路を示すように残された光が、闇の中でかすかに揺れていた。
ランプの光が壁を照らす。粗い石肌が浮かび上がり、ところどころに刻まれた痕跡が見える。
ランクスが壁に手を触れる。
(人工的な作りだ…)
自然に削られたものではない。意図をもって積まれ、削られた跡。
壁伝いに視線を上へ向ける。
(天井も高い…)
思っていた以上に、この空間は大きい。
「ランクスさん!」
班長の声が、再び遺跡に響いた。
「どうした?」
「これ…見てください…」
ランクスは声のした方へ向かう。
二人で壁を照らす。
ランプの光が、壁一面を映し出した。
「これは…」
壁には、見慣れない文字が刻まれていた。
「文字…」
均等に並び、まるで何かを伝えようとするかのように、丁寧に刻まれている。
そのまま、壁伝いに歩く。
「?」
文字ではない。描くように刻まれた線。
ランクスは壁から一歩離れ、全体を見るようにランプをかざした。
「これは…ドラゴン…」
暗闇の中、たった一つの光に照らされ、巨大なドラゴンの壁画が浮かび上がる。
「ランクスさん…こっちにも。」
さらに奥の壁を、班長が照らしていた。
ランクスは遠巻きに、その壁を見る。
そこにも同じように文字が刻まれ、そして――見覚えのある剣の形があった。
「…ドラゴンスレイヤー…」
その剣の壁画の真上には、雫のようなものが描かれている。
「雫…」
「剣に雫が落ちる…」
(何を意味している…)
しばし沈黙が落ちる。
「向こう側も調べましょうか?」
「いや、とりあえず報告が先だ。ここは広い。」
「わかりました。」
ランクスは羊皮紙を取り出し、壁に刻まれた一文を書き写す。文字も、配置も、できる限りそのままに。
「よし、王に報告しよう。」
「すべてそのまま、穴もそれ以上大きくしないように皆に伝えて欲しい。」
「はい。わかりました。」
二人は、再び入口の小さな穴へと向かった。
(この壁画で…すべてが繋がるかも知れない…)
――――――――
一方、城。
ブランの部屋――
静かな室内で、ブランがふと口を開く。
「なぁ…モニカ。」
「はい。」
「俺を噂してるの誰だろうな…」
(さぁ…さすがに知りません!)
「ブラン様は有名ですから。噂の一つや二つありますよ。」
ブランが、ふぅーっと深く息を吐いた。
「有名ね…」
「……。」
(あなたは有名。紛れもなく。)
小さな穴を抜けた先、暗く、広い空間へと足を踏み入れた。
ランプを掲げても、光は壁の途中で闇に吸い込まれる。足音を立てるたび、低く反響し、空間の広さだけが伝わってくる。
(かなり広いな…音に反響がある。)
空気が、外とは明らかに違っていた。湿り気とも冷たさとも違う、説明しがたい重さ。
(それになんだ…ここだけ空気が違う…)
(まるで…別世界のような…)
「班長、ランプを持ってきてくれ。中はかなり広い。」
「はい!」
穴の向こうから声が返る。しばらくして、班長が二つのランプを手に持ち、やってきた。
「すまない。」
「広いですね…」
「ああ。かなりの広さだ。」
二人の声は、静かな遺跡の中で何度も反響した。
ランプを一つ、入口のそばに置き、二人は分かれて周囲を調べ始める。退路を示すように残された光が、闇の中でかすかに揺れていた。
ランプの光が壁を照らす。粗い石肌が浮かび上がり、ところどころに刻まれた痕跡が見える。
ランクスが壁に手を触れる。
(人工的な作りだ…)
自然に削られたものではない。意図をもって積まれ、削られた跡。
壁伝いに視線を上へ向ける。
(天井も高い…)
思っていた以上に、この空間は大きい。
「ランクスさん!」
班長の声が、再び遺跡に響いた。
「どうした?」
「これ…見てください…」
ランクスは声のした方へ向かう。
二人で壁を照らす。
ランプの光が、壁一面を映し出した。
「これは…」
壁には、見慣れない文字が刻まれていた。
「文字…」
均等に並び、まるで何かを伝えようとするかのように、丁寧に刻まれている。
そのまま、壁伝いに歩く。
「?」
文字ではない。描くように刻まれた線。
ランクスは壁から一歩離れ、全体を見るようにランプをかざした。
「これは…ドラゴン…」
暗闇の中、たった一つの光に照らされ、巨大なドラゴンの壁画が浮かび上がる。
「ランクスさん…こっちにも。」
さらに奥の壁を、班長が照らしていた。
ランクスは遠巻きに、その壁を見る。
そこにも同じように文字が刻まれ、そして――見覚えのある剣の形があった。
「…ドラゴンスレイヤー…」
その剣の壁画の真上には、雫のようなものが描かれている。
「雫…」
「剣に雫が落ちる…」
(何を意味している…)
しばし沈黙が落ちる。
「向こう側も調べましょうか?」
「いや、とりあえず報告が先だ。ここは広い。」
「わかりました。」
ランクスは羊皮紙を取り出し、壁に刻まれた一文を書き写す。文字も、配置も、できる限りそのままに。
「よし、王に報告しよう。」
「すべてそのまま、穴もそれ以上大きくしないように皆に伝えて欲しい。」
「はい。わかりました。」
二人は、再び入口の小さな穴へと向かった。
(この壁画で…すべてが繋がるかも知れない…)
――――――――
一方、城。
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「はい。」
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(さぁ…さすがに知りません!)
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ブランが、ふぅーっと深く息を吐いた。
「有名ね…」
「……。」
(あなたは有名。紛れもなく。)
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