私の守護霊さん

Masa&G

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第10話 交流会①~期待と緊張~

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夕暮れ―― 

練習が終わるころには、冬の空は濃い群青に沈み、グラウンドの照明だけが白い光を落としていた。吐く息は白く、指先はじんと冷える。

遠くを見ると、西川ともう一人がフェンス越しにこちらを見ていた。
気づいた瞬間、二人が軽く手を振ってきた。

彩音は荷物を抱えて駆け寄る。

「お疲れ宮司ちゃん」 

「お疲れさま。」

夕方の寒さの中でも、二人の声はどこか温かかった。

「西川さんお疲れです。」

自然と頬がゆるむ。
 
「桜木さんも…」 

ほんの少し胸がざわつく。

「ラクロス部の練習量すごいね。僕らも見習わなきゃね。西川。」 

「おい…それ以上言うな…」 

「ふふふっ。」

彩音が微笑む。

そして、パタパタと駆けてくる足音。守護霊さんが白く光るような姿で近づいてくる。

「みんな忙しそうだから宮司ちゃん、交流会に来る人に伝えといてくれる?」 

「はい、わかりました。」

「宮司さん、よろしくね。その日楽しみにしてる。」

「え…あ、はい……」

守護霊さんが首をかしげ、彩音の反応をじっと見つめる。

――場面は彩音の部屋へ。

「はぁぁ……」

暖房の効いた部屋で、彩音はソファに倒れ込むように座り、クッションに顔を埋める。

守護霊さんは心配そうに覗き込む。

「ん?…体調悪いとかじゃないよ…」

こくり、と静かにうなづく。

「もしかしたら…」

「これは…恋なのか…気になるだけなのか…」

守護霊さんは目を丸くし、そのまま距離ゼロの勢いで覗き込む。

「ち、近いよ…」

「誰だかわかる?」 

「?」 

「……桜木さん…」

守護霊さんは深い悟りのように、こくんとうなづく。

「緊張して話せないかも……」

「だからさ…守護霊さんにはそばにいてほしい。交流会の時…」

自分を指差し、首をかしげる。

「うん。お願い。」

守護霊さんは親指をぐっと立てる。 

「ありがとう…」

----------

当日――冬18時集合・場所は鍋屋さん

冬の夜の空気は冷たく、街灯の光が白く滲んでいた。集合時間は18時。けれど彩音は、17時にはすでに到着していた。

店の前の暖簾はまだ準備中の静けさをまとい、扉の隙間からはかすかに出汁の香りが漂ってくる。

「少し…早かったかな…」

胸の奥がずっとそわそわしている。
寒さ以上に、心臓の鼓動のほうが身体に響いていた。

「はぁ…やばい…心臓バックバクだ…」

「守護霊さん…私の視界に居てね…」

守護霊さんはうなづき、気合を入れる。

それから15分後―― 

冷たい風が吹く道の向こうから、足音が近づいてくる。

「あれ?宮司さん、早いね。」

振り返ると、街灯に照らされる桜木の姿。

「さ、桜木さん!」

「そういう僕も早く来ちゃうんだけどね。」

くすっと笑うその声が、やけに近く感じる。

「ちょっと先に入れるか聞いてみるよ。外だと寒いしね。」

「はい…」

(ど、ど、どうしよう…) 

(二人っきりだ…)

守護霊さんが横で、胸に手を当てて深呼吸のお手本を見せる。

「すぅー…はぁ…」 
(落ち着けーわたしー…) 
「すぅー…はぁ…」

その瞬間、店の玄関がガラガラと開く。

「宮司さん、入れるって。」

「はひ!?」

「は、はい…」

「先に入ってよ。」

「は…はい…」

鍋屋の中から漂う温かい出汁の香りと湯気が、彩音達をじんわり包み込んだ。

そして、頬を赤くしながら、席へと向かう――

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