私の守護霊さん

Masa&G

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第36話 繋がる想い②

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翌日――

ハンドボール部の練習が終わり、体育館には夕方特有の静けさが戻り始めていた。
床に残る靴音と、片付けの気配だけが、まだ微かに空気を揺らしている。

「桜木。ちょっといいか?」

タオルを首にかけたままの西川が声をかける。

「うん。どうしたの?」

「ちょっと。」

短くそう言って、西川は手招きした。二人は体育館の脇を抜け、上の広場へと向かう。

広場に出ると、沈みかけた夕日が視界いっぱいに広がっていた。低くなった光が、校舎の壁と二人の影を長く伸ばしている。

西川はフェンス越しに外を見たまま、しばらく口を開かなかった。

「何かあったの?」

桜木がそう尋ねると、

「宮司ちゃんの話だ。」

「宮司さん?何かあったの?」

「……ああ。」

西川は一度だけ息を吐き、沙織から聞いた話を、すべて桜木に話した――。

「彩乃…さん…」

桜木の口から、かすれるように名前がこぼれる。

「ああ。俺たちのそばに、ずっといたんだ…彩乃ちゃんは…」

「宮司ちゃんは、彩乃ちゃんを失った。」 

「どれだけ…つらいか…」

西川はこぶしを強く握る。抑えていたはずの感情が、肩の震えとなって現れていた。

「もう…わかるよな? 俺が言いたいこと…」

「うん…。わかるよ…」

「お前しかいねぇんだよ…宮司ちゃんを…」

西川の声が震える。

「くそ…うまく言えねぇ…」

「埋められるのは、お前しかいねぇんだ…」

沈黙が落ちる。
夕日が、さらに低くなっていく。

「ラクロス部は…さっき終わったばっかだ。」

「今なら、間に合うぞ…」

その言葉を聞いた瞬間、桜木は迷わず走り出した。

(頼むぞ…桜木…)

西川は、その背中を見送った。

――――――――――

夕日が沈みかける頃……。

彩音はバッグを肩にかけ、帰ろうとしていた。

一日の終わりを告げるように、風がグラウンドを横切り、砂をわずかに舞い上げる。

「宮司さん!」

背後から名前を呼ばれ、彩音は思わず足を止めた。振り返ると、夕日の逆光の中に、桜木の姿があった。

「桜木さん…どうしたんですか?」

「はぁ…はぁ…はぁ…」

「僕は…」

一瞬、言葉が途切れる。

(過去は過去だ…) 

(僕は…宮司さんが好きだ…)

沈みかけた夕日が、二人の間に長い影を落としていた。
彩音は、何も言わず、ただ桜木をじっと見つめている。

「宮司さんが好きだ。」

言葉は短く、飾り気もない。

「……」

「だから…僕と付き合ってほしい…」

声は震えていたが、視線は逸れなかった。

「……」

彩音の頬を、一筋の涙が静かに伝う。

彩音は、唇をきゅっと噛みしめたまま、視線を落とす。
 こぼれそうになるものを必死に堪えるように、肩がわずかに震える。

そして――

小さく、何度か。 言葉にならない返事をするみたいに、そっと、うなづいた。

ゆっくり顔を上げ、桜木を見上げた…


「……はい。」
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