オーデション〜リリース前

のーまじん

文字の大きさ
94 / 208
パラサイト

虫探偵

しおりを挟む
  シケイダ3301…
  その言葉をきいて、私は、『砂金』と言う本のカバーに注目した。
  それは、元々の本のカバーではない。パソコンで印刷した自家製のものだった。

  「これは、かなちゃんの謎かけかもしれないな。」
北城の台詞に私も同意した。

  この辺りのイベントで、自然に関しての謎かけものは長く続いていた。
  私も、1999年の虫探偵シンゲンをやらされた。
  失踪したのが、7年前の今頃なら、ちょうど、夏祭りのイベントを考える頃だ。
  この時は、きっと、この屋敷を探検するような話を考えたのかもしれない。

  そうだとしたら、私が書斎で見つけた、しおりについても合点(がてん)が行く。
  私は、意図せず雅苗さんの謎の一部を見つけてしまったのだろう。

  そう考えると、なんだか切ない気持ちになった。
  「そうだな、私もそう思うよ。3301って素数だろ?」
私が北城に聞くと彼は頷いた。

  やはり、この時のテーマは素数ゼミだ!

  「何か、分かったのか?」
北城は、怪訝そうに固い顔になる。
  その顔を見ていると、町会などには、縁がなさそうなこの男の人生が思い浮かぶ。

「ああ、これは雅苗さんが、ここに来た人間に向けてメッセージだと思う。
  ポイントは素数ゼミ。」
私の話を北城は黙って聞いていた。そして、難しい顔でこう聞いてきた。
「シケイダ…の謎を模倣したのか?」
と。私は、良く分からない海外ドラマを引き合いに出してくる北城に少し憤慨した。
  確かに、世界的…と、言わないまでも、日本としても、シケイダの方が認知度は高いのかもしれない。が、この小さな町では、そんなものよりも、地元の青年が代々繋いできたヒーローの方が上なのだ。
  だから、言ってやった。
  「虫探偵シンゲンだよ。
そんな、外国のドラマじゃなくて。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

それなりに怖い話。

只野誠
ホラー
これは創作です。 実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。 本当に、実際に起きた話ではございません。 なので、安心して読むことができます。 オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。 不定期に章を追加していきます。 2025/12/27:『ことしのえと』の章を追加。2026/1/3の朝8時頃より公開開始予定。 2025/12/26:『はつゆめ』の章を追加。2026/1/2の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/25:『がんじつのおおあめ』の章を追加。2026/1/1の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/24:『おおみそか』の章を追加。2025/12/31の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/23:『みこし』の章を追加。2025/12/30の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/22:『かれんだー』の章を追加。2025/12/29の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/21:『おつきさまがみている』の章を追加。2025/12/28の朝8時頃より公開開始予定。 ※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...