朝から晩まで癒して

マール

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事の起こりは冒険者と

目に光を

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 廃棄物処理場って言や聞こえがいいが、魔獣使いテイマーがいなけりゃ単なるゴミの山だ。

 この町は小さくてスライム使いも雇えない。まあ、俺みたいな食い詰めた冒険者やスラムの連中には宝の山だな。
 あちこちの街で集めたゴミの中にクズ魔石が紛れ込んでいることがある。魔石は使い切ると消えて無くなる。使い捨てだ。大方、金持ちが魔力が切れかけた魔石を捨てたんだろう。そんな小さくなった魔石のクズを拾って懐中灯トーチ水筒水腐れ防止の魔石の足しにする。ちりも積もればってことでかなりの節約になる。

 チリリと何かの気配を感じて背負ったゴミの籠を下ろし、腰の剣に手をかけた。辺りを警戒する。ゴミ漁りの魔獣やスライムかも知れない。どちらも討伐対象で、宝探しのライバルだ。

 
「……」
 呼ばれた気がした。

 レンガの欠片や生ゴミ瓦礫に目を凝らす。
 注意深く探れば、そこには小柄な子供のようなものが布袋から半身飛び出していた。

「……愛玩人形ゴーレム? 死体?」
 精巧なゴーレムなら壊れていても高く売れるが、死体なら憲兵を呼ばなくてはいけない。面倒だ。天と地程に差のある扱いに俺は空を仰いだ。

「見るしかねぇか」

 恐る恐る袋を破って髪を掴んで上を向かす。

 小さな顔にバランスの良い小柄な体。白磁のような白い肌。均整の取れた顔立ち。太くも細くもない整った眉。影を落とす長い睫毛。腕も胸も薄い。愛玩人形の可能性が高いな。思った以上に柔らかい肌に内心ドキリとしながら、まぶたをこじ開けてトーチをかざす。

 ゴーレムの瞳は宝石が使われていることが多く瞳が光る。死体は光らず、濁った目をしている。そして、これはそのどちらでもなく瞳孔がキュッと縮まった。

「っっっ」
 正直腰を抜かしかけた。
 
 こいつ、生きている。生きた人間を布袋に入れて捨てるなんて、事件性が高非常識がすぎる。俺みたいな食い詰め冒険者が下手に手を出さない方がいい。裏に何があるか恐ろしい。丸投げしよう。そうしよう。

 俺はそいつを担いで冒険者ギルドへ駆け出した。


 
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