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第四十一話 離島からの警鐘
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時間:独立起業一年目(凛の復帰ライブから二ヶ月後)
場所:伊豆諸島・八丈島(東京から287kmの離島)
狂ったような暴風が、海に浮かぶこの孤島を、鬼の泣き声みたいに引き裂いていた。台風「海神(トリトン)」の進路ど真ん中。
澄原龍立は、いつもの東京の暖かいCEOオフィスにはいない。全身ずぶ濡れになった黒いレインコートのフードを深くかぶり、ボロボロの漁港の岸壁に立っていた。彼が視察しているのは、澄心物流がようやく開通させたばかりの「離島生活物資ライン」だった。
「社長! 風速四十メートル超えてます!」
吉岡俊介は、風に声をさらわれないよう喉が裂けるほど叫ぶ。
「こんな天候、ヘリどころか、普通のフェリーも全部欠航ですって! 俺たち、完全に足止めですよ!」
龍立が顔の雨をぬぐい、何か言おうとしたその時――反対側の桟橋から、悲鳴混じりの騒ぎが飛んできた。
「誰か来てくれ! 大介のおっちゃんが倒れた!」
「うそだろ……血、吐いてる!!」
真っ黒に日焼けした漁師たちが、簡易担架に乗せた中年男を抱えて、豪雨の中を駆けてくる。担架の上の男は、顔面が紫色に変色し、両手で胸をつかみ、獣みたいなうめき声をあげていた。
「急げ! 村の診療所だ! あの“変人医者”を呼べ!」
龍立は、ほとんど反射で走り出していた。
◇
村立簡易診療所。
それは、風が吹けばすきま風どころか雨も入ってくるような、小さな平屋にすぎなかった。台風のせいでとっくに停電しており、部屋の中は、非常用ライトの白い光だけが、頼りなく揺れている。
「仰向けにして! 動かすな!」
ボサボサの髪、伸び放題の無精ひげ。黄ばんだ白衣にビーチサンダルという、医者らしからぬ出で立ちの男が飛び出してきた。南方 仁(みなかた・じん)、四十歳。彼は聴診器もなしに、耳を男の胸にぴたりと当てる。三秒。顔を上げたとき、その目は刃物のように鋭くなっていた。
「急性大動脈解離。スタンフォードB型だ」
看護師が半泣きで叫ぶ。
「先生、降圧剤が……もう切れてます! 先週の補給船、台風で来なかったから……。それに、この島にはCTも、血管造影の設備も……手術なんて、とても……!」
「CTがないなら、手探りでやるしかない。薬がないなら、物理的に血圧を落とす」
南方仁の声は、あまりに冷静で、逆に怖かった。彼は引き出しの奥から、医療用ですらない、消毒しただけの工作用カッターブレードを取り出す。
「押さえろ。死なせたくなければ、絶対に動かすな」
龍立は思わずスマホを取り出し、懐中電灯のアプリを最大まで明るくして、手術台に向けた。
――そこから先の十数分で、龍立は「神業」という言葉が安っぽく感じられるものを目撃することになる。
揺れる非常灯と、スマホの白い光。その中で、南方仁の指先は、まるで死神が弾くピアノの鍵盤のように、迷いなく動いた。画像装置など一切ない状況で、彼は指の感触だけを頼りに、股動脈を探り当て、切開し、カテーテルを挿入し、バルーンで血流を一時遮断する。人体構造に対するその「掌握」は、見ているだけで頭皮がしびれるほどだった。
「血圧下降。破綻部、いったん封じた」
南方仁は、汗まみれの白衣のまま床に座り込み、ポケットから安物の焼酎のボトルを取り出し、喉に流し込んだ。
「命は拾った。だが――このまま大病院に転送して根治手術をしなけりゃ、三日は持たん」
龍立は、この男をまじまじと見つめる。
「このレベルの“ブラインド操作”ができるのは、日本中で五人もいない。あんた……東都大学附属病院時代、『マジシャン』と呼ばれた心臓外科のエース――南方仁教授だな?」
南方仁は、顔を上げ、自嘲気味に笑った。
「教授? そんな肩書きはもう消えたよ。今の俺は、医師会から追放された流刑囚さ。このボロ島で漁師たちの命をつないでるだけのな」
「なぜここに?」
龍立は問う。「その腕がありながら、どうしてこんな場所に落とされた?」
南方仁は、焼酎の瓶を強く握りしめ、関節が真っ白になるほど力を込めた。
「俺が、“空気が読めない”医者だったからさ」
「三年前――財前院長は、日本医師会会長選挙の票を集めるために、国産ステントグラフト『ゼウス(Zeus)』を開発した。従来の開胸手術の代わりに、胸部大動脈瘤に対してTEVAR(胸部大動脈ステントグラフト内挿術)を前面に押し出して、“国産最先端医療”という看板を取りたかった」
「俺は、その臨床試験の責任者だった。だが、『ゼウス』の形状記憶合金は、高度に石灰化し、ねじれた血管内では金属疲労で折損し、最悪、大動脈を内側から突き破るリスクが高いとわかった。だから、適合証明書にサインを拒否した」
「財前は欠陥を隠すためにデータを書き換え、逆に俺がリベートを受け取って医療事故を起こしたとでっち上げ、病院からたたき出した」
その時だった。龍立のプライベート用スマホが鳴る。画面に表示された名前は――「澄原 澪」。
「姉さん? どうした」
スピーカー越しに聞こえたのは、悲鳴のような泣き声と、病院のアラームの騒音だった。
『三弟(さんてい)……早く帰ってきて……。お母さんが……検査で巨大な胸部大動脈瘤が見つかったの……!』
『財前院長が“明日の朝一で手術しないと危ない”って……。お父さん、もう同意書にサインしちゃった……!』
『それで財前が言うの。“最先端の国産技術で、世界で一番いい治療を”って……お母さんに使うのは――“ゼウス・ステント”だって!!』
轟音のような雷鳴が、窓ガラスを震わせた。龍立の手から、スマホが滑り落ちそうになる。
床に座っていた南方仁が、「ゼウス」という単語を聞いた瞬間、飛び上がるように立ち上がり、握っていた瓶を床に叩きつけた。
「今なんて言った?! お前の母親に、ゼウスを入れるだと!?」
南方仁は龍立の胸ぐらをつかみ、血走った目で詰め寄る。
「お母さんは何歳だ! 血管の状態は!」
「六十二歳……。血管壁が生まれつき脆い家系だ」
「狂ってる!! 自殺行為だ!!」
南方仁の怒号が、雷鳴をかき消した。
「ゼウスが一番やっちゃいけないのが、そのタイプの薄くてねじれた血管だ! 俺が署名を拒否した臨床シミュレーションの“ハイリスクモデル”――まさに、その症例を想定したパターンだったんだぞ!!」
「ステントを展開した瞬間、あの馬鹿みたいな張力で、お前の母親の大動脈は確実に裂ける! あれは手術じゃない。公開処刑だ!」
龍立は通話を切り、窓の外の暴風雨をにらみつけた。瞳に宿る殺気は、台風よりもなお凶暴だった。
「吉岡!」
龍立は叫ぶ。
「澄心物流の管制センターに回線つなげ! 『ポセイドン号』を出せ! 東京湾をひっくり返してでもいい。一時間以内に、この島を出る!」
場所:伊豆諸島・八丈島(東京から287kmの離島)
狂ったような暴風が、海に浮かぶこの孤島を、鬼の泣き声みたいに引き裂いていた。台風「海神(トリトン)」の進路ど真ん中。
澄原龍立は、いつもの東京の暖かいCEOオフィスにはいない。全身ずぶ濡れになった黒いレインコートのフードを深くかぶり、ボロボロの漁港の岸壁に立っていた。彼が視察しているのは、澄心物流がようやく開通させたばかりの「離島生活物資ライン」だった。
「社長! 風速四十メートル超えてます!」
吉岡俊介は、風に声をさらわれないよう喉が裂けるほど叫ぶ。
「こんな天候、ヘリどころか、普通のフェリーも全部欠航ですって! 俺たち、完全に足止めですよ!」
龍立が顔の雨をぬぐい、何か言おうとしたその時――反対側の桟橋から、悲鳴混じりの騒ぎが飛んできた。
「誰か来てくれ! 大介のおっちゃんが倒れた!」
「うそだろ……血、吐いてる!!」
真っ黒に日焼けした漁師たちが、簡易担架に乗せた中年男を抱えて、豪雨の中を駆けてくる。担架の上の男は、顔面が紫色に変色し、両手で胸をつかみ、獣みたいなうめき声をあげていた。
「急げ! 村の診療所だ! あの“変人医者”を呼べ!」
龍立は、ほとんど反射で走り出していた。
◇
村立簡易診療所。
それは、風が吹けばすきま風どころか雨も入ってくるような、小さな平屋にすぎなかった。台風のせいでとっくに停電しており、部屋の中は、非常用ライトの白い光だけが、頼りなく揺れている。
「仰向けにして! 動かすな!」
ボサボサの髪、伸び放題の無精ひげ。黄ばんだ白衣にビーチサンダルという、医者らしからぬ出で立ちの男が飛び出してきた。南方 仁(みなかた・じん)、四十歳。彼は聴診器もなしに、耳を男の胸にぴたりと当てる。三秒。顔を上げたとき、その目は刃物のように鋭くなっていた。
「急性大動脈解離。スタンフォードB型だ」
看護師が半泣きで叫ぶ。
「先生、降圧剤が……もう切れてます! 先週の補給船、台風で来なかったから……。それに、この島にはCTも、血管造影の設備も……手術なんて、とても……!」
「CTがないなら、手探りでやるしかない。薬がないなら、物理的に血圧を落とす」
南方仁の声は、あまりに冷静で、逆に怖かった。彼は引き出しの奥から、医療用ですらない、消毒しただけの工作用カッターブレードを取り出す。
「押さえろ。死なせたくなければ、絶対に動かすな」
龍立は思わずスマホを取り出し、懐中電灯のアプリを最大まで明るくして、手術台に向けた。
――そこから先の十数分で、龍立は「神業」という言葉が安っぽく感じられるものを目撃することになる。
揺れる非常灯と、スマホの白い光。その中で、南方仁の指先は、まるで死神が弾くピアノの鍵盤のように、迷いなく動いた。画像装置など一切ない状況で、彼は指の感触だけを頼りに、股動脈を探り当て、切開し、カテーテルを挿入し、バルーンで血流を一時遮断する。人体構造に対するその「掌握」は、見ているだけで頭皮がしびれるほどだった。
「血圧下降。破綻部、いったん封じた」
南方仁は、汗まみれの白衣のまま床に座り込み、ポケットから安物の焼酎のボトルを取り出し、喉に流し込んだ。
「命は拾った。だが――このまま大病院に転送して根治手術をしなけりゃ、三日は持たん」
龍立は、この男をまじまじと見つめる。
「このレベルの“ブラインド操作”ができるのは、日本中で五人もいない。あんた……東都大学附属病院時代、『マジシャン』と呼ばれた心臓外科のエース――南方仁教授だな?」
南方仁は、顔を上げ、自嘲気味に笑った。
「教授? そんな肩書きはもう消えたよ。今の俺は、医師会から追放された流刑囚さ。このボロ島で漁師たちの命をつないでるだけのな」
「なぜここに?」
龍立は問う。「その腕がありながら、どうしてこんな場所に落とされた?」
南方仁は、焼酎の瓶を強く握りしめ、関節が真っ白になるほど力を込めた。
「俺が、“空気が読めない”医者だったからさ」
「三年前――財前院長は、日本医師会会長選挙の票を集めるために、国産ステントグラフト『ゼウス(Zeus)』を開発した。従来の開胸手術の代わりに、胸部大動脈瘤に対してTEVAR(胸部大動脈ステントグラフト内挿術)を前面に押し出して、“国産最先端医療”という看板を取りたかった」
「俺は、その臨床試験の責任者だった。だが、『ゼウス』の形状記憶合金は、高度に石灰化し、ねじれた血管内では金属疲労で折損し、最悪、大動脈を内側から突き破るリスクが高いとわかった。だから、適合証明書にサインを拒否した」
「財前は欠陥を隠すためにデータを書き換え、逆に俺がリベートを受け取って医療事故を起こしたとでっち上げ、病院からたたき出した」
その時だった。龍立のプライベート用スマホが鳴る。画面に表示された名前は――「澄原 澪」。
「姉さん? どうした」
スピーカー越しに聞こえたのは、悲鳴のような泣き声と、病院のアラームの騒音だった。
『三弟(さんてい)……早く帰ってきて……。お母さんが……検査で巨大な胸部大動脈瘤が見つかったの……!』
『財前院長が“明日の朝一で手術しないと危ない”って……。お父さん、もう同意書にサインしちゃった……!』
『それで財前が言うの。“最先端の国産技術で、世界で一番いい治療を”って……お母さんに使うのは――“ゼウス・ステント”だって!!』
轟音のような雷鳴が、窓ガラスを震わせた。龍立の手から、スマホが滑り落ちそうになる。
床に座っていた南方仁が、「ゼウス」という単語を聞いた瞬間、飛び上がるように立ち上がり、握っていた瓶を床に叩きつけた。
「今なんて言った?! お前の母親に、ゼウスを入れるだと!?」
南方仁は龍立の胸ぐらをつかみ、血走った目で詰め寄る。
「お母さんは何歳だ! 血管の状態は!」
「六十二歳……。血管壁が生まれつき脆い家系だ」
「狂ってる!! 自殺行為だ!!」
南方仁の怒号が、雷鳴をかき消した。
「ゼウスが一番やっちゃいけないのが、そのタイプの薄くてねじれた血管だ! 俺が署名を拒否した臨床シミュレーションの“ハイリスクモデル”――まさに、その症例を想定したパターンだったんだぞ!!」
「ステントを展開した瞬間、あの馬鹿みたいな張力で、お前の母親の大動脈は確実に裂ける! あれは手術じゃない。公開処刑だ!」
龍立は通話を切り、窓の外の暴風雨をにらみつけた。瞳に宿る殺気は、台風よりもなお凶暴だった。
「吉岡!」
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