カナダに追放された財閥の三男が帰国しました:父が「搾取は伝統だ」と言うので、「あらゆる手段」を使ってこの1兆円規模のブラック巨艦を完全ホワイ

RyuChoukan

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第五十九話 眠る血管と鋼鉄レゴ

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 時刻:賭けに勝ってから三日間

 場所:F区工事現場

鬼島は撤いた。だが工夫を全員引き上げ、資材の流通を断った。

「三日? 笑わせるな。地下は産業廃棄物の塊だ。片付けと配管だけで半年。どう建てる?」

――だが、鬼島は龍立の底札を見誤った。資本と技術が噛み合ったとき、時間は“買える”。

一日目:地下都市を起こす。
吉岡がレーザーカッターで、数十年封鎖されていた点検口を切り開いた。
「社長!マスクが渡した地質図、当たりです!」
地下には昭和最高規格の産業共同溝が生きていた。排水管と電力ケーブルのトンネル骨格が、そのまま残っている。「内側にライニング管を入れて補修すれば、これは既製の血管です!半年分の掘削が消える!」

二日目:海上突破。
二か月前から仕込んでいた電力プランが、この瞬間に機能する。東京湾に、澄心物流の青い旗を掲げた巨大貨物船が現れ、小林の指揮でF区へ座礁するように接岸した。ハッチが開く。出てきたのは資材ではない。白い巨大コンテナが幾つも。テスラのMegapack蓄電所。「基建だと聞いたエロンが、カリフォルニアの在庫から回した。これも出資扱いだ」龍立は設備を見上げる。「これで東都電力の顔色は要らない。工業電で満充電すれば、工区全体を動かすには十分だ」

三日目:降次打撃。
鬼島が待っていた“泥濘の地獄”は来ない。現場に舞うのは粉塵ではなく、巨大クレーンが繰り広げる精密な“テトリス”だった。

龍立は、Boxabl(マスクが投資する折り畳み住宅会社)の実質的大株主。技術一式のライセンスを握っていた。源田鉄男の精工工場がフル稼働し、数千の標準モジュールを吐き出す。ひとつひとつはコンテナサイズ。だが展開すれば、60㎡の内装済みワンルーム、あるいは90㎡のファミリーモジュールになる。

床、壁紙、キッチン、浴室、スマートホーム――すべてプレインストール済み。

「吊り込み開始!」

モジュールが吊られ、魔法のように展開し、接続端子に寸分違わず合わさってロックされる。給排水。通電。一階……五階……十階……。コンクリの養生は要らない。一時間で一階。

三日後。朝陽が東京湾を照らすとき、廃土の上に、白い外壁と未来的な輪郭を持つ30階建ての集合住宅が三棟、すでに屹立していた。

鬼島の双眼鏡が手から落ち、砕ける。彼の眼の血走りが限界まで赤くなる。

「妖術……!こんなの妖術だ!全員集めろ!建ったなら、壊せ!ブルドーザーを持って来い!突っ込め!」
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