カナダに追放された財閥の三男が帰国しました:父が「搾取は伝統だ」と言うので、「あらゆる手段」を使ってこの1兆円規模のブラック巨艦を完全ホワイ

RyuChoukan

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第七十九話 法の逆鱗

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 時刻:同日 午前 09:40

 場所:国会議事堂

 大門剛造は追い詰められた。龍立に喋らせてはいけない。最後の切り札――法解釈権でねじ伏める。

「ふん。帳簿だと? あれは政治献金だ。合法だ。」大門は無理に平静を作り、抜け穴へ逃げ込む。「澄原龍立。お前に賄賂だと証明できる証拠はない。《政治資金規正法》上、私が“受託収賄”と認めなければ成立しない。」

 日本政治の歪んだ穴。“知らなかった”と言い張れば、罪が立ちにくい。

「そうですか。」龍立は封筒から、小さなICレコーダーを取り出した。「蟻川は慎重な男だった。帳簿だけじゃない。保険として――あなたと料亭で密談した音声を、毎回録っていた。」

 龍立が再生ボタンを押す。雑音はある。だが静まり返った議場では、声が刃のように通る。大門剛造の、あの掠れた声。

「……派遣の賃金を、もっと下げろ。献金さえ積めば、国会で“最低賃金法案”は潰せる。貧乏人は死ね。あいつらは俺たちの燃料だ……」

 核爆弾より醜い一文。政治家の最後の葉っぱを、完全に引き裂いた。画面の向こうで、大島由美が口を押さえて泣いた。彼女が空腹だったのは努力不足じゃない。背後で“どう吸い尽くすか”を計算されていたからだ。

 国民は、この瞬間、皮膚の内側で痛みを理解した。燃える怒りが、すべてを焼けるほどの。

「AI合成だ! 捏造だ!」大門は金切り声を上げ、録音機を奪おうとさえした。

 龍立は冷たく見下ろす。「本物かどうかは、声紋鑑定で三十分です。」

 そして静かに刺す。「大門議員。あなたはさっき、この国会で“真実を述べる”と宣誓した。今のあなたの嘘は、一つ残らず“偽証”だ。」

 龍立は録音機と帳簿を高く掲げ、カメラへ向けた。「国民の皆さん。見えましたか。法を作る者が、法で自分を守り、法であなた方を奪う。今日、私は証人ではない。――告発者だ。」

 その瞬間。「ドン!」議場の扉が、再び乱暴に開いた。

 入ってきたのは衛視ではない。深い紺のスーツ、冷えた顔。胸に「秋霜烈日」の徽章――司法の最鋭。東京地検特捜部。

 先頭の部長が大門の前へ歩み出し、極めて異例の《緊急逮捕状》を提示した。

「大門剛造議員。受託収賄の疑い、ならびに証拠隠滅の重大なおそれにより、緊急逮捕する。――同行願います。」
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