カナダに追放された財閥の三男が帰国しました:父が「搾取は伝統だ」と言うので、「あらゆる手段」を使ってこの1兆円規模のブラック巨艦を完全ホワイ

RyuChoukan

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第一百一十四話 切断された血管

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 時刻:午前10時00分

 場所:澄心建設 F区第二期工区

 兄が切断を選んでも、黒鉄厳造の業界支配は息が詰まるほど強い。面子を潰された黒鉄は降伏しない。絶地反撃――“建材封殺令”を放つ。

「澄心にセメント一袋でも売った奴は、俺に喧嘩を売ったと思え」
「鉄筋一本でも流せば、二度と日本の建設で飯は食えない」

 通達は勅令のように業界へ走った。F区工区は瞬時に止まる。全国のセメント工場、鋼材、ガラス。すべてが「設備点検」「能力不足」を口実に一方的に契約破棄。

 空の資材ヤード。重機は沈黙し、作業員は眉を曇らせる。テレビの黒鉄厳造は嘲笑う。

「澄原龍立、お前はパソコンは触れるが、建物は建てられるのか? 俺の材料がなけりゃ、F区でトイレ一つ建てられねぇ! 廃墟の上で破産しろ!」

 F区。龍立は空地に立ち、遠くの山のような瓦礫を見る。鬼島建設の残骸。回収したプラスチック廃材。

「セメントがない?」龍立は笑った。その笑いは、歯の奥で軋む。「なら――ゴミで造る。源田、吉岡。でかいのを出せ」

 轟音。巨大倉庫のシャッターが開き、誰も見たことのない二十メートル級の門型装置が滑り出す。移動する工場のような姿。澄心精工が密かに開発した――「大型3D建築プリンター」。



 従来のセメントはいらない。固化を待つ時間もいらない。供給元の顔色など、最初からいらない。ノズルから吐き出されるのは特殊配合の「高強度複合材」。主成分は粉砕した建設廃材と回収プラスチック、および新型の高分子結合剤。

「印刷開始」龍立の一声。

 巨大なヘッドが動き、歯磨き粉のように材料を押し出す。吐出した瞬間から硬化し、層が層を積む。壁が目に見える速度で成長する。騒音は無い。粉塵も無い。あるのは機械の精密な稼働音だけ。

 二十四時間。蜂の巣状のSFデザイン。強度は従来の鉄筋コンクリを三十%上回る 3Dプリント集合住宅 が、廃墟の上に立ち上がった。日本中のメディアが愕然とし、ヘリが上空で生中継する。

「魔法ですか?!」
「澄心グループがゴミで都市を造っている!」

 黒鉄の封殺令は、その瞬間、完全な笑い話になった。
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