カナダに追放された財閥の三男が帰国しました:父が「搾取は伝統だ」と言うので、「あらゆる手段」を使ってこの1兆円規模のブラック巨艦を完全ホワイ

RyuChoukan

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第一百二十三話 帰郷の道

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 時間:12月末、初雪

 場所:神去村・村役場

 外は雪が舞い、室内は暖かい。龍立は吉岡に指示し、巨大な金庫を開かせた。かちり。中に並ぶのは、新札の束。インクの匂いがする。

 合計六千万。干し柿と新そば、ひとシーズンの純利益だった。金色の灯りに照らされた札束が眩しく、人の目を惑わせる。

「こ…これは…」村長の呼吸が止まる。土を掘って生きてきた人生で、こんな金を見たことがない。

「皆の配当だ」龍立は札束を老人たちの前へ押し出した。

「原価を引いて、一世帯二百万。家を直し、冬を越えるのに十分だ。地を売って得た“汚い金”より、ずっと多い。そして何より…清い」

 村長は震える手で札を抱えた。それは施しではない。彼ら自身の手で、土地で、祖先の技で稼いだ金だ。

「若様…俺たちは…まだ…役に立つ…」村長は顔を覆い、泣崩れた。涙が札を濡らす。「織田家に恥はかかせていない…守り切った…」

 源田もその姿を見て、目の奥が熱くなるのを隠せなかった。老人は廃品ではない。道具があれば、彼らはまだ社会の柱でいられる。

 終幕。神去村は、生き返った。「日本で最も安全な有機村」「干し柿の里」。若者の流入が始まり、廃校の小学校も再開した。早苗は神社の前で、賑わう村を見つめ、龍立に微笑んだ。

「龍立さん…山神さま、残りました。皆も残りました」

 龍立は山を見上げる。胸に、久しくなかった静けさが満ちた。母の故郷を守り、老齢化問題を解く鍵も掴んだ。

 そのとき。私用スマホが、突如として鳴った。平穏を切り裂くように。弁護士の三上からだった。普段は飄々としている男が、今は焦りと恐怖、そして吐き気すら混ざった声を出している。

「社長…今すぐ東京へ戻ってください。…大変なことが起きました。新宿・歌舞伎町の巡回中、公益安保隊が…東宝ビル裏のゴミ山で…女の子を保護しました。14歳です。澄心グループの、亡くなった社員の“家族証”を持っていました。でも意識が朦朧としていて…全身に注射痕と煙草の火傷が…。下半身が…血だらけで…。“貧困ビジネス(Hinkon Business)”の支配下にいた被害者です。組織のコードネームは“深淵”」

「家出した子どもを狙って、ウイルスみたいに東京の地下へ広がっています」

 龍立の指が、スマホを握り潰すように力を込めた。関節が白くなる。瞳から温もりが消える。そこに宿ったのは、冬より冷たい殺意。修羅の目だった。

 彼は一度、背後の村を振り返った。あまりにも清く、穏やかな光景。そして迷いなく背を向け、路肩のマイバッハへ大股で歩く。

「源田。荷物をまとめろ。最も純粋な村から、次は…最も汚い街へ行く。今度は“深淵”を…埋める」

【次回予告】

「神は、ネオンの下で腐る子どもを救わない。だが俺は救う」

 歌舞伎町に巣食い、未成年を食い物にして金を生む“暗夜帝国”。東横キッズを狩る捕食者たち。龍立は“夜巡隊”を率い、その光怪陸離な闇へ踏み込む。

「手を出せ。…家に帰るぞ」
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