カナダに追放された財閥の三男が帰国しました:父が「搾取は伝統だ」と言うので、「あらゆる手段」を使ってこの1兆円規模のブラック巨艦を完全ホワイ

RyuChoukan

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第一百四十六話 長い夜の果てと、自由の暴動

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時刻:同日 午前 11:00

場所:聖母精神病院・全面戦場

病院の正門前は、すでに戦場だった。

三上弁護士が、日本最高峰の弁護団と、百社を超えるメディア記者を率い、正門を隙間なく包囲している。

「御子柴院長! 開門まで十分! 応じなければ、こちらは強制的に立ち入る!」

フラッシュが狂ったように瞬き、ドローンが上空を旋回する。

病院側の警備は全員、正門の対応に吸い取られ、内部の守りは一気に空洞化した。

「やれ」

山外の指揮車で、龍立がモニターを見ながら冷たく命じた。

吉岡俊介がエンターキーを叩く。

「全館、停電」

次の瞬間、病院は闇に沈んだ。

その一秒前——すべての電子錠が同時に“パチン”と弾けるように解錠された。

地下室

闇が落ちた瞬間、劉立が動いた。

手足は縛られている。だが筋力の爆発で、いきなり身体を反らし、椅子ごと後方の御子柴へ叩きつけた。

「ドン!」

御子柴の鼻梁が折れ、悲鳴とともに転がる。

劉立は椅子の肘掛けに、汗で湿った手首を擦りつける。

そして骨格の“ずらし”を使う(GIGAのモーションキャプチャ技術で叩き込んだやり方だ)。手錠を強引に抜き取った。

御子柴が落としたスタンガンを拾い、駆け込んできた護工へ向ける。

「さあ、今度は俺が“治療”してやる」

暴動、開始

解錠と同時に、抑圧され続けた数百人の“患者”が檻から溢れ出た。

劉立は放送室へ突入し、院内放送のスイッチを入れる。

「門が開いた! 生きたい奴は、外へ走れ!!」

声は野火のように燃え広がり、院内は瞬く間に地獄の混乱へ変わった。

強攻

「ドゴォン——!!」

病院の裏壁が、轟音とともに吹き飛んだ。

重改造された防暴仕様の大型オフロード車が、壁を粉砕して中庭へ突入する。

ドアが開く。

龍立は防弾のタクティカルベストを着込み、伸縮式のタクティカルバトンを手に、先頭で飛び降りた。

背後には、完全武装の「澄心・安保特勤組」三十名。動きは揃い、瞬時に各通路を制圧する。

「特勤、A隊は中控室を確保! B隊は地下で教授を救出!」

「抵抗する者は全員、行動不能になるまで叩け!」

龍立の声は、混乱の中で“定海神針”だった。

地下二階の手術準備室。

特勤組は、手術台に縛られた佐伯教授を発見した。

メスは教授の額から、わずか数センチの位置にあった。

龍立は麻酔医を一撃で昏倒させ、拘束帯を外す。

「先生! 来ました!」

佐伯教授は、かつての教え子を見つめ、涙を溢れさせた。

終局

龍立は廊下の突き当たりで、密道から逃げようとする御子柴を塞いだ。

御子柴は銃を握り、震える腕で龍立へ向ける。

「来るな! 金ならある! お前らが欲しがる秘密だって全部やる!」

龍立は一歩ずつ詰める。

眼は氷のように冷たい。銃口など見ていない。上位者が虫けらを見るときの、無関心な蔑視だ。

「お前は俺の恩師を狂人扱いし」

「俺の兄弟をモルモットにした」

「金は棺桶を買うのに取っておけ」

劉立が背後から歩み寄り、御子柴の銃を蹴り飛ばした。

龍立の拳が御子柴の顔面へ叩き込まれる。

金縁眼鏡が砕け、床に散った。

「この一発は——理性を壊された全員の分だ」

警視庁のヘリが着陸する

数百人の被害者が、白い牢獄から外へ出た。

龍立は彼らを一時的に澄心療養院へ保護する。

陽光が、傷だらけの劉立の顔に落ちる。

劉立はどこからか取り戻した眼鏡を押し上げ、龍立へ笑いかけた。

「うちの社長。今回、労災扱いだよな? 上乗せ頼む」

龍立は劉立の背を叩いた。声が少し掠れている。

「上げる。ゼロを一つ足してやる」

一週間後

吉岡が御子柴の暗号化HDDを破った。

「プロメテウス計画」の背後は、単なる保険金詐欺ではなかった。

「いかに手術で人間の自由意志を抹消するか」——その実験データが、リアルタイムで日本国内の匿名サーバへ送信され続けていたのだ。

暗号層は異常に深い。特定の政府系イントラネットでなければアクセスできないレベル。

劉立はモニターを見つめ、顔を硬くした。

「これは御子柴ひとりの悪じゃない」

「誰かが、システマティックに“人間を支配する”データを集めている。御子柴はただの手袋だ」

「誰がこんなデータを必要とする?」

「誰がいちばん、人間が自由意志を持つことを恐れる?」

龍立は窓外、国会議事堂の方角を見た。眼差しは深い。

国内の膿は、想像よりずっと深い。

「奴らが影に隠れるなら、こっちは灯りを全部点ける」

「次は——“見えない手”を、叩き斬る」
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