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3.兄たちの妻と会ったら
歓迎されないということぐらいわかっていた。
けれど己の現状がどうにかならないかと、きっかけを探していたことも確かだった。
兄たちの妻は、ある日兄の床の上に落ちてきたという。異世界からの住人で、更に童貞のまま30歳を迎えた”天使”だと聞いた。
この世界の者たちは、30歳になった時童貞だと”天使”という存在になる。”天使”は魔力を全て失っているので妊娠できない。そして極端に身体が弱くなり、精液を身体の奥で受け止めないと三日と経たず死んでしまうというのだ。だからこの世界の者たちは「抱かれる身体」であってもまず童貞を捨てようとする。
兄嫁のいた世界では”天使”になる者はいなかったから、30歳でも童貞という者は多少はいたと話してくれた。そして兄嫁は30歳になる前に兄たちに抱かれて妊娠していたから、”天使”だというのに一人子を産んでいた。
だがもう兄嫁は子を成すことはないだろう。そのことについて尋ねたら、兄たちは笑った。
「私たちにはすでに子がいるのだから、妻が”天使”であっても何も問題はない。皇太子夫妻にも子は沢山いる」
兄はきっぱりと私にそう答えた。
そうして、愛しくてならないという目で兄嫁を眺めた。
私の夫たちはそんな風に私を見てくれたことはあっただろうか。
考えてはみたがわからなかった。私は自分のことでいっぱいいっぱいで、夫たちをはっきりとは見ていないような気がする。
そうでなくとも夫たちは素敵で、私があの夫たちに釣り合うとは到底思えないのだ。子を産む以外何の役にも立たない私を、夫たちは疎ましく思っているに違いなかった。
兄たちに愛され、抱き上げられて移動するのが当然な兄嫁を羨ましいと思ってしまった。
産卵した後は一週間共に夜は過ごさないと決めたものの、身体の疼きは治まっていないのだ。それを振り払う為に兄夫婦のところへ邪魔しにきたのである。
夫たちは私に侍従を付けるだけで、簡単に私を兄夫婦のところへ行かせた。
「やはり……子さえ成せばいいのだろうか」
移動中にそっと私は呟いた。
妊娠している間は、身体は魔力を求めるから夫たちにずっと抱かれている。延々と続く快感に涙し、時には嫌だ、やめてと悲鳴を上げても夫たちは私を離したりしない。
私の身体の疼きは妊娠しているからだと夫たちはわかっているからだ。
妊娠さえすれば夫たちは私をずっと抱いてくれる。
だから産卵後はまた早く妊娠しなければと思うのだ。
昼間から甘く抱かれた兄嫁とやっと話すことができた時、私は兄嫁のことを羨ましいと、夫たちももっと強引に私に迫ってくれればいいのにとつい愚痴を零してしまった。
そうしたら何故か、そこにいないはずの夫の一人が現れた。
「……え?」
彼は兄弟である夫たちのうちの、一番年下である智明だった。
何故智明がここにいるのだろうと戸惑ったけれど、私はそのまま智明に攫われて、あれよあれよという間に館に戻っていた。
そして、
「勇志、貴方があんなことを考えていたなんて知らなかった。これからはどんなに貴方が嫌がっても、私は貴方を愛そう!」
そんなことを言ったかと思うと、彼は戸惑う私に甘く愛撫を施し、激しく抱いたのだった。
日が陰った頃、やっと私は一度解放された。
昨日産卵したばかりではないかとか、一週間触れるなといった約束はとか、とりとめもないことばかり浮かんだ。
抱かれすぎてぼうっとしている私を、夫たちの中でも一番年長である智軒が優しく抱きしめてくれた。
「勇志、かわいい……とても愛しくてたまりません。貴方を一目見た時から、ずっとこんな風に抱きたくてたまりませんでした……」
唇が重ねられる。
「んっ……」
まさか、と思った。
もしかして、夫たちは私の言ったことを律儀に守ってくれていただけだったのだろうか?
「んっ、んっ……」
智軒は長い舌で私の舌を絡め取り、何度も軽く引っ張った。結婚してから約四年が経つが、私は数える程しか夫たちと口吸いをしたことがなかった。
一番の理由は、ただ口を吸うだけだというのに頭がぼうっとしてしまうからだった。ぼうっとしてしまうと、何かあらぬことを口走ってしまいそうだったからしたくなかったのだ。
今だって気持ちよくてすでにぼうっとなってしまっている。
「んんっ……ぁっ……」
しかもまた身体の奥が疼いてしまって……。
私は無意識のうちにもじもじと腰を揺らしていたらしい。智軒に腰を抱き寄せられて、尾てい骨を撫でられたことでびくっと震えた。
「私はいったい貴方の何を見ていたのでしょう……」
智軒はそう自嘲するように呟くと、私の身体を愛で始めた。
私はいったいどうしたらいいのだろう?
ーーーーー
注:巨人族の妊娠期間は約半年です。
けれど己の現状がどうにかならないかと、きっかけを探していたことも確かだった。
兄たちの妻は、ある日兄の床の上に落ちてきたという。異世界からの住人で、更に童貞のまま30歳を迎えた”天使”だと聞いた。
この世界の者たちは、30歳になった時童貞だと”天使”という存在になる。”天使”は魔力を全て失っているので妊娠できない。そして極端に身体が弱くなり、精液を身体の奥で受け止めないと三日と経たず死んでしまうというのだ。だからこの世界の者たちは「抱かれる身体」であってもまず童貞を捨てようとする。
兄嫁のいた世界では”天使”になる者はいなかったから、30歳でも童貞という者は多少はいたと話してくれた。そして兄嫁は30歳になる前に兄たちに抱かれて妊娠していたから、”天使”だというのに一人子を産んでいた。
だがもう兄嫁は子を成すことはないだろう。そのことについて尋ねたら、兄たちは笑った。
「私たちにはすでに子がいるのだから、妻が”天使”であっても何も問題はない。皇太子夫妻にも子は沢山いる」
兄はきっぱりと私にそう答えた。
そうして、愛しくてならないという目で兄嫁を眺めた。
私の夫たちはそんな風に私を見てくれたことはあっただろうか。
考えてはみたがわからなかった。私は自分のことでいっぱいいっぱいで、夫たちをはっきりとは見ていないような気がする。
そうでなくとも夫たちは素敵で、私があの夫たちに釣り合うとは到底思えないのだ。子を産む以外何の役にも立たない私を、夫たちは疎ましく思っているに違いなかった。
兄たちに愛され、抱き上げられて移動するのが当然な兄嫁を羨ましいと思ってしまった。
産卵した後は一週間共に夜は過ごさないと決めたものの、身体の疼きは治まっていないのだ。それを振り払う為に兄夫婦のところへ邪魔しにきたのである。
夫たちは私に侍従を付けるだけで、簡単に私を兄夫婦のところへ行かせた。
「やはり……子さえ成せばいいのだろうか」
移動中にそっと私は呟いた。
妊娠している間は、身体は魔力を求めるから夫たちにずっと抱かれている。延々と続く快感に涙し、時には嫌だ、やめてと悲鳴を上げても夫たちは私を離したりしない。
私の身体の疼きは妊娠しているからだと夫たちはわかっているからだ。
妊娠さえすれば夫たちは私をずっと抱いてくれる。
だから産卵後はまた早く妊娠しなければと思うのだ。
昼間から甘く抱かれた兄嫁とやっと話すことができた時、私は兄嫁のことを羨ましいと、夫たちももっと強引に私に迫ってくれればいいのにとつい愚痴を零してしまった。
そうしたら何故か、そこにいないはずの夫の一人が現れた。
「……え?」
彼は兄弟である夫たちのうちの、一番年下である智明だった。
何故智明がここにいるのだろうと戸惑ったけれど、私はそのまま智明に攫われて、あれよあれよという間に館に戻っていた。
そして、
「勇志、貴方があんなことを考えていたなんて知らなかった。これからはどんなに貴方が嫌がっても、私は貴方を愛そう!」
そんなことを言ったかと思うと、彼は戸惑う私に甘く愛撫を施し、激しく抱いたのだった。
日が陰った頃、やっと私は一度解放された。
昨日産卵したばかりではないかとか、一週間触れるなといった約束はとか、とりとめもないことばかり浮かんだ。
抱かれすぎてぼうっとしている私を、夫たちの中でも一番年長である智軒が優しく抱きしめてくれた。
「勇志、かわいい……とても愛しくてたまりません。貴方を一目見た時から、ずっとこんな風に抱きたくてたまりませんでした……」
唇が重ねられる。
「んっ……」
まさか、と思った。
もしかして、夫たちは私の言ったことを律儀に守ってくれていただけだったのだろうか?
「んっ、んっ……」
智軒は長い舌で私の舌を絡め取り、何度も軽く引っ張った。結婚してから約四年が経つが、私は数える程しか夫たちと口吸いをしたことがなかった。
一番の理由は、ただ口を吸うだけだというのに頭がぼうっとしてしまうからだった。ぼうっとしてしまうと、何かあらぬことを口走ってしまいそうだったからしたくなかったのだ。
今だって気持ちよくてすでにぼうっとなってしまっている。
「んんっ……ぁっ……」
しかもまた身体の奥が疼いてしまって……。
私は無意識のうちにもじもじと腰を揺らしていたらしい。智軒に腰を抱き寄せられて、尾てい骨を撫でられたことでびくっと震えた。
「私はいったい貴方の何を見ていたのでしょう……」
智軒はそう自嘲するように呟くと、私の身体を愛で始めた。
私はいったいどうしたらいいのだろう?
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注:巨人族の妊娠期間は約半年です。
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