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23.想いを与えられるのは贅沢だ
ここの食事は毎回豪勢だといつも思っているのだが、今回もまた私が大好きな清蒸魚を出されて首を傾げた。
こんなに贅沢をしてもいいのだろうか。
「勇志、どうかしたのか?」
智軒に聞かれて、彼の方を見やる。
「いえ……こんなに大きな魚をよく出していただけるので、贅沢なのではないかと……」
「? この魚は私たちが先ほど獲ってきたものだぞ?」
「ええっ?」
智良に言われて驚いた。魚を獲ってきてくれたのはいいが、仕事はどうしたのだろうか。
「智良……その、お仕事は……?」
「今日は海で水練だったからな。舟を出させてちょっと釣ってきた」
「そ、そう、なのですか……」
「タモ網で私が掬ったのだ」
智明が嬉しそうに言う。よくわからないが、そういうものらしかった。タモ網とはなんだろう。
「今度勇志も釣りをしてみるか?」
智良に言われて嬉しくなった。
「はい、是非連れて行ってください」
「ああ、今度連れて行ってやろう」
今まで私は夫たちと共に何かをしたことがほとんどなかった。
王の家に嫁ぐまでは皇帝の元で暮らしていたから、実は外を歩いたこともほとんどないのである。そう考えると私の世界はなんて狭かったのだろう。剣や魔法の訓練は行っていたし、いろいろな勉強もしてはいたが自分が与えられた領地にも全然行ってはいない。
そのことも恥ずかしいと思った。
夕飯後は侍従長に声をかけられた智軒が嬉しそうに私を抱き上げてくれた。
当たり前のように抱き上げられることに胸が高鳴る。私はそっと智軒の胸に寄り添った。途端に智軒が首を少し斜めに逸らした。
「……勇志、かわいすぎます。くっ……これではとても我慢など……」
苦しそうに言われて頬が熱くなった。もし智軒がよければまた抱いてほしいけど、食堂でそれを言うのは憚られた。
それに、やっぱり恥ずかしすぎておねだりができない。
「智軒、大丈夫、か?」
「大丈夫、とはいえません。貴方が愛しくてたまらない」
それに待ったがかかった。
「智軒哥、そうやって勇志を口説かないでいただきたいです」
「く、口説くって……」
智倫が抗議する。私の方がどうにかなってしまいそうだった。私などを口説いても楽しくないだろうに、それでも口説いてくれるのだろうか。嬉しくてまた胸が疼いてしまう。
「私は一目見た時から勇志に心を奪われているのだ。あの日から勇志を想わない日はない」
「それなら私もです」
「私も勇志を愛しています」
「勇志はかわいくて大好きだ」
次々と夫たちがそんなことを言う。頭に熱が一気に上がって死んでしまいそうである。私の夫たちはみな素敵だからとても心臓に悪い。
私は思わず智軒の胸に顔を伏せた。
「勇志?」
「部屋に、戻りたい、です……」
「ああそうでしたね。すみませんでした。弟たちよ、勇志を抱くのはまた明日だ。明日またどうするか相談しよう」
彼らはしぶしぶ引き下がった。
侍従長がまたこめかみに指を当てていた。智倫たちはまた侍従長に叱られてしまうのだろうか。それはそれでかわいそうに思った。
「侍従長」
「はい、なんでしょう、奥さま」
「その……あまり叱らないでやってほしい」
「……善処しましょう」
それは絶対に検討しない常套句だと聞いたことがあるがどうなのだろうか。藪蛇になっても困るので、私はまた智軒の胸に顔を寄せた。夫たちの中では智倫が一番細いが、他の夫たちに比べてというだけなのでみな逞しい体躯はしている。
智軒の胸板も素敵だと、抱き上げられている間中どきどきしてしまった。
そうしてやっと部屋に運ばれ、床に下ろされた。
「勇志、体調は如何ですか?」
「ええと、立ってみてもよろしいでしょうか?」
そう聞くと智軒は少し悲しそうな顔をした。
「あの……自分の足で立てるかどうか確認したいのです」
「立てればいいのですね?」
「はい」
智軒はしぶしぶだが、私が立つことを許してくれた。
でも立つことにも夫の許可がいるのかと考えて、私はまた頬を染めたのだった。
こんなに贅沢をしてもいいのだろうか。
「勇志、どうかしたのか?」
智軒に聞かれて、彼の方を見やる。
「いえ……こんなに大きな魚をよく出していただけるので、贅沢なのではないかと……」
「? この魚は私たちが先ほど獲ってきたものだぞ?」
「ええっ?」
智良に言われて驚いた。魚を獲ってきてくれたのはいいが、仕事はどうしたのだろうか。
「智良……その、お仕事は……?」
「今日は海で水練だったからな。舟を出させてちょっと釣ってきた」
「そ、そう、なのですか……」
「タモ網で私が掬ったのだ」
智明が嬉しそうに言う。よくわからないが、そういうものらしかった。タモ網とはなんだろう。
「今度勇志も釣りをしてみるか?」
智良に言われて嬉しくなった。
「はい、是非連れて行ってください」
「ああ、今度連れて行ってやろう」
今まで私は夫たちと共に何かをしたことがほとんどなかった。
王の家に嫁ぐまでは皇帝の元で暮らしていたから、実は外を歩いたこともほとんどないのである。そう考えると私の世界はなんて狭かったのだろう。剣や魔法の訓練は行っていたし、いろいろな勉強もしてはいたが自分が与えられた領地にも全然行ってはいない。
そのことも恥ずかしいと思った。
夕飯後は侍従長に声をかけられた智軒が嬉しそうに私を抱き上げてくれた。
当たり前のように抱き上げられることに胸が高鳴る。私はそっと智軒の胸に寄り添った。途端に智軒が首を少し斜めに逸らした。
「……勇志、かわいすぎます。くっ……これではとても我慢など……」
苦しそうに言われて頬が熱くなった。もし智軒がよければまた抱いてほしいけど、食堂でそれを言うのは憚られた。
それに、やっぱり恥ずかしすぎておねだりができない。
「智軒、大丈夫、か?」
「大丈夫、とはいえません。貴方が愛しくてたまらない」
それに待ったがかかった。
「智軒哥、そうやって勇志を口説かないでいただきたいです」
「く、口説くって……」
智倫が抗議する。私の方がどうにかなってしまいそうだった。私などを口説いても楽しくないだろうに、それでも口説いてくれるのだろうか。嬉しくてまた胸が疼いてしまう。
「私は一目見た時から勇志に心を奪われているのだ。あの日から勇志を想わない日はない」
「それなら私もです」
「私も勇志を愛しています」
「勇志はかわいくて大好きだ」
次々と夫たちがそんなことを言う。頭に熱が一気に上がって死んでしまいそうである。私の夫たちはみな素敵だからとても心臓に悪い。
私は思わず智軒の胸に顔を伏せた。
「勇志?」
「部屋に、戻りたい、です……」
「ああそうでしたね。すみませんでした。弟たちよ、勇志を抱くのはまた明日だ。明日またどうするか相談しよう」
彼らはしぶしぶ引き下がった。
侍従長がまたこめかみに指を当てていた。智倫たちはまた侍従長に叱られてしまうのだろうか。それはそれでかわいそうに思った。
「侍従長」
「はい、なんでしょう、奥さま」
「その……あまり叱らないでやってほしい」
「……善処しましょう」
それは絶対に検討しない常套句だと聞いたことがあるがどうなのだろうか。藪蛇になっても困るので、私はまた智軒の胸に顔を寄せた。夫たちの中では智倫が一番細いが、他の夫たちに比べてというだけなのでみな逞しい体躯はしている。
智軒の胸板も素敵だと、抱き上げられている間中どきどきしてしまった。
そうしてやっと部屋に運ばれ、床に下ろされた。
「勇志、体調は如何ですか?」
「ええと、立ってみてもよろしいでしょうか?」
そう聞くと智軒は少し悲しそうな顔をした。
「あの……自分の足で立てるかどうか確認したいのです」
「立てればいいのですね?」
「はい」
智軒はしぶしぶだが、私が立つことを許してくれた。
でも立つことにも夫の許可がいるのかと考えて、私はまた頬を染めたのだった。
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