【完結】Life

浅葱

文字の大きさ
17 / 23

17.Change(変わる)

しおりを挟む
 ……針のむしろ、という表現は間違っているとは思うけど、週末はまさにそんな感じだった。
 なによりもまず、腰が重い。動けば鈍痛。あんなものが入って、よく気持ちよくなれるものだと思う。
 ……うん、ちょっとは……よかったけど。
 でもさすがに2人を相手にするなんて冗談じゃないから、「出て行きません! 冗談です!」ととにかく頭を下げて許してもらった。
 情けないったらありゃしない。
 結局あの後、ケンにかいがいしく面倒をみられてしまった。……思い出したくもない……。
 そんなわけで、珍しく月曜日がなによりも待ち遠しかった俺は、まだ重い腰を抱えて学校にいった。
 休み時間、いつものようにオープンカフェに足を伸ばしたが、珍しく歩美の姿はなかった。

「カプチーノ?」

 店員に聞かれてイエスと答える。歩美と同じクラスの中国人の友だちがいたので、聞いてみた。

「歩美なら休みだよ」

 サボリじゃない? なんて笑いながら言う。
 何もかも嫌になる時は誰しもある。明日になればきっとけろっとした顔で出てくるんだろうけど、肝心な時にいないんだよな。
 ため息をついた。

(こんなに俺がショック受けてんのにさ)
「なんかいいことでもあったのか?」

 ギャリーとマイケルに聞かれて、そんな風に見えるのかと思う。意外だった。

「どうしてそう思う?」
「すっきりしてるし」

 すっきりしてる? 俺はショックを受けてるんだぞ?
 いぶかしげな俺を無視して、ギャリーが肩をつつく。

「で? どんな女とやってきたんだよ?」

 お前らの頭にはそれしかないのか。俺は頭を抱えた。
 でもなんとなく気づいたこともある。
 夏休みが過ぎたら、年が明けたら俺は日本に帰る。歩美もギャリーもマイケルもまだここにいるだろう。
 クリスは……ずっとここにいる。
 きっと俺が日本に帰ったら、俺のことなんかすぐ忘れてしまうだろう。
 ちょっと寂しいけど、それが一番いいのかもしれない。
 だったら、どうせ忘れられて(忘れて)しまうなら、少しぐらいいい目を見てもいいんじゃないだろうか。
 いいわけに過ぎないとは思う。
 だけど。
 クリスの腕の中はやけに心地よかったから。


 開き直った俺は、それから求められるままにクリスと関係を持った。
 お姫様扱いされたいなんて思ったことは欠片ほどもないけど、クリスはとても優しく俺を扱った。

「あーっ、あーっ、あーっ……!」

 行為中のキスも、中を穿つクリス自身も、俺のことを愛してるって言ってるみたいで心地よかった。
 流されてる自覚はあって、でもこの関係をどうするかなんて今はまだ考えらない。

「Kazu,I love you...」
「I love you,too...」

 ベッドの上での睦言も、今だけだからなんて呟いた。



ーーーー
一話一話の長さがマチマチですいません。本日も4話上げていきます。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

隊長さんとボク

ばたかっぷ
BL
ボクの名前はエナ。 エドリアーリアナ国の守護神獣だけど、斑色の毛並みのボクはいつもひとりぼっち。 そんなボクの前に現れたのは優しい隊長さんだった――。 王候騎士団隊長さんが大好きな小動物が頑張る、なんちゃってファンタジーです。 きゅ~きゅ~鳴くもふもふな小動物とそのもふもふを愛でる隊長さんで構成されています。 えろ皆無らぶ成分も極小ですσ(^◇^;)本格ファンタジーをお求めの方は回れ右でお願いします~m(_ _)m

悠と榎本

暁エネル
BL
中学校の入学式で 衝撃を受けた このドキドキは何なのか そいつの事を 無意識に探してしまう 見ているだけで 良かったものの 2年生になり まさかの同じクラスに 俺は どうしたら・・・

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

処理中です...