19 / 23
19.Development(進展)
しおりを挟む
……またやってしまった。
「I love you, Kazu」
昨日もcuteだったよ、なんて言われたくない。俺は日本人で、れっきとした男なんだぞ! ……って、言える状況じゃないけどさ。
今日は用があるらしく、クリスは俺をそのままベッドに残して出かけてしまった。勿論、寂しがるんじゃないよ、ダーリンなんて言い残して。
ああ、今日も1日腰がだるい……。
起き上がるのが面倒でそのままうだうだしていると、ノックの音がした。ケンだろう。
「はーい」
返事をするとドアが開かれる。案の定ケンだった。
「あら、素敵なカッコしてるわね」
俺は自分の格好にはっとして、腰にかろうじて巻きついているだけのシーツに潜り込んだ。慣れってこわい。
ケンがそれを見て笑う。そしてベッドに腰かけた。
「クリスとはどう?」
え……?
何を聞かれているのかわからなかった。
「どうって……その……まんまだけど……」
シーツから顔だけ出してもごもご言う。ケンは何を聞きたいんだろうか。
「カズ君は、いつ帰るんだったっけ」
「1月頭です、けど……」
そういえば後2ヶ月もない。そろそろフラットメイト募集の張紙を出すのを考えなくてはいけない時期でもあることに、俺はやっと気付いた。
「そっか……。延長する予定は?」
「そうですね……。ちょっと考えさせてください」
クリスに抱かれるばっかりですっかり忘れてた。有金と帰りの航空券を確認しなくては。
焦っていると、いきなりポン、と軽く頭を叩かれた。
「急がなくてもいいよ。でも、クリスは何も言ってなかったんだね」
そういえば。
「……多分、聞いてないと思いますけど……」
でも、してる最中に話されてたらわかんないよな。と、いきなり昨夜のことが思い出されて俺は顔が熱くなるのを感じた。
「カズ君は可愛いね」
「えっ!?」
今度はなんだ!?
俺が身構えたのを感じたのか、ケンは苦笑した。
「大丈夫、何もしないよ。でも、クリスが話さなかった気持ち、わからないでもないな……」
最後の言葉は呟きに似ていた。
「カズ君は、学生ビザで来てるんだっけ」
「はい」
3ヶ月以上学校に通うには学生ビザ取らないといけないんだよな。ま、3ヶ月以内の観光ビザでも手続きすれば最大9ヶ月まで伸ばせるんだけど。
ケンは一瞬何か考えるような素振りを見せた。なんだろう?
「カズ君は、ワーホリする気はないの?」
ワーホリというのはワーキングホリデーの略だ。最大3ヶ月まで学校に通えて、それ以上はバイトをしたりして合計1年間この国にいることができる。確か英検3級とってれば大丈夫なはず。でも年齢制限があるんだよな。29歳までだっけ?
「まぁ、やってみたいとは思ってます、けど」
何が言いたいんだろう。ワーホリをするならどちらにせよ一度日本に帰らなきゃならない。わざわざ日本でまたビザを取り直してこなければいけないんだ。
「クリスは、カズ君が好きだと思うんだ」
は?
いきなり言われて目が点になる。いったい……。
「いつもなら相手にクールなクリスが、カズ君相手にはなんか違う気がするんだよ」
もしもし?
それっていったい……。
「だから、もし延長できないのなら、ワーホリでまたここに来る気はないのかなと思って」
そりゃあ、できないことはないけど……。
でも、クリスが、なんだって?
……思わず、思考が停止した。
「I love you, Kazu」
昨日もcuteだったよ、なんて言われたくない。俺は日本人で、れっきとした男なんだぞ! ……って、言える状況じゃないけどさ。
今日は用があるらしく、クリスは俺をそのままベッドに残して出かけてしまった。勿論、寂しがるんじゃないよ、ダーリンなんて言い残して。
ああ、今日も1日腰がだるい……。
起き上がるのが面倒でそのままうだうだしていると、ノックの音がした。ケンだろう。
「はーい」
返事をするとドアが開かれる。案の定ケンだった。
「あら、素敵なカッコしてるわね」
俺は自分の格好にはっとして、腰にかろうじて巻きついているだけのシーツに潜り込んだ。慣れってこわい。
ケンがそれを見て笑う。そしてベッドに腰かけた。
「クリスとはどう?」
え……?
何を聞かれているのかわからなかった。
「どうって……その……まんまだけど……」
シーツから顔だけ出してもごもご言う。ケンは何を聞きたいんだろうか。
「カズ君は、いつ帰るんだったっけ」
「1月頭です、けど……」
そういえば後2ヶ月もない。そろそろフラットメイト募集の張紙を出すのを考えなくてはいけない時期でもあることに、俺はやっと気付いた。
「そっか……。延長する予定は?」
「そうですね……。ちょっと考えさせてください」
クリスに抱かれるばっかりですっかり忘れてた。有金と帰りの航空券を確認しなくては。
焦っていると、いきなりポン、と軽く頭を叩かれた。
「急がなくてもいいよ。でも、クリスは何も言ってなかったんだね」
そういえば。
「……多分、聞いてないと思いますけど……」
でも、してる最中に話されてたらわかんないよな。と、いきなり昨夜のことが思い出されて俺は顔が熱くなるのを感じた。
「カズ君は可愛いね」
「えっ!?」
今度はなんだ!?
俺が身構えたのを感じたのか、ケンは苦笑した。
「大丈夫、何もしないよ。でも、クリスが話さなかった気持ち、わからないでもないな……」
最後の言葉は呟きに似ていた。
「カズ君は、学生ビザで来てるんだっけ」
「はい」
3ヶ月以上学校に通うには学生ビザ取らないといけないんだよな。ま、3ヶ月以内の観光ビザでも手続きすれば最大9ヶ月まで伸ばせるんだけど。
ケンは一瞬何か考えるような素振りを見せた。なんだろう?
「カズ君は、ワーホリする気はないの?」
ワーホリというのはワーキングホリデーの略だ。最大3ヶ月まで学校に通えて、それ以上はバイトをしたりして合計1年間この国にいることができる。確か英検3級とってれば大丈夫なはず。でも年齢制限があるんだよな。29歳までだっけ?
「まぁ、やってみたいとは思ってます、けど」
何が言いたいんだろう。ワーホリをするならどちらにせよ一度日本に帰らなきゃならない。わざわざ日本でまたビザを取り直してこなければいけないんだ。
「クリスは、カズ君が好きだと思うんだ」
は?
いきなり言われて目が点になる。いったい……。
「いつもなら相手にクールなクリスが、カズ君相手にはなんか違う気がするんだよ」
もしもし?
それっていったい……。
「だから、もし延長できないのなら、ワーホリでまたここに来る気はないのかなと思って」
そりゃあ、できないことはないけど……。
でも、クリスが、なんだって?
……思わず、思考が停止した。
1
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
隊長さんとボク
ばたかっぷ
BL
ボクの名前はエナ。
エドリアーリアナ国の守護神獣だけど、斑色の毛並みのボクはいつもひとりぼっち。
そんなボクの前に現れたのは優しい隊長さんだった――。
王候騎士団隊長さんが大好きな小動物が頑張る、なんちゃってファンタジーです。
きゅ~きゅ~鳴くもふもふな小動物とそのもふもふを愛でる隊長さんで構成されています。
えろ皆無らぶ成分も極小ですσ(^◇^;)本格ファンタジーをお求めの方は回れ右でお願いします~m(_ _)m
悠と榎本
暁エネル
BL
中学校の入学式で 衝撃を受けた このドキドキは何なのか
そいつの事を 無意識に探してしまう
見ているだけで 良かったものの
2年生になり まさかの同じクラスに 俺は どうしたら・・・
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる