【完結】Life

浅葱

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19.Development(進展)

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 ……またやってしまった。

「I love you, Kazu」

 昨日もcuteだったよ、なんて言われたくない。俺は日本人で、れっきとした男なんだぞ! ……って、言える状況じゃないけどさ。
 今日は用があるらしく、クリスは俺をそのままベッドに残して出かけてしまった。勿論、寂しがるんじゃないよ、ダーリンなんて言い残して。
 ああ、今日も1日腰がだるい……。
 起き上がるのが面倒でそのままうだうだしていると、ノックの音がした。ケンだろう。

「はーい」

 返事をするとドアが開かれる。案の定ケンだった。

「あら、素敵なカッコしてるわね」

 俺は自分の格好にはっとして、腰にかろうじて巻きついているだけのシーツに潜り込んだ。慣れってこわい。
 ケンがそれを見て笑う。そしてベッドに腰かけた。

「クリスとはどう?」

 え……?
 何を聞かれているのかわからなかった。

「どうって……その……まんまだけど……」

 シーツから顔だけ出してもごもご言う。ケンは何を聞きたいんだろうか。

「カズ君は、いつ帰るんだったっけ」
「1月頭です、けど……」

 そういえば後2ヶ月もない。そろそろフラットメイト募集の張紙を出すのを考えなくてはいけない時期でもあることに、俺はやっと気付いた。

「そっか……。延長する予定は?」
「そうですね……。ちょっと考えさせてください」

 クリスに抱かれるばっかりですっかり忘れてた。有金と帰りの航空券を確認しなくては。
 焦っていると、いきなりポン、と軽く頭を叩かれた。

「急がなくてもいいよ。でも、クリスは何も言ってなかったんだね」

 そういえば。

「……多分、聞いてないと思いますけど……」

 でも、してる最中に話されてたらわかんないよな。と、いきなり昨夜のことが思い出されて俺は顔が熱くなるのを感じた。

「カズ君は可愛いね」
「えっ!?」

 今度はなんだ!?
 俺が身構えたのを感じたのか、ケンは苦笑した。

「大丈夫、何もしないよ。でも、クリスが話さなかった気持ち、わからないでもないな……」

 最後の言葉は呟きに似ていた。

「カズ君は、学生ビザで来てるんだっけ」
「はい」

 3ヶ月以上学校に通うには学生ビザ取らないといけないんだよな。ま、3ヶ月以内の観光ビザでも手続きすれば最大9ヶ月まで伸ばせるんだけど。
 ケンは一瞬何か考えるような素振りを見せた。なんだろう?

「カズ君は、ワーホリする気はないの?」

 ワーホリというのはワーキングホリデーの略だ。最大3ヶ月まで学校に通えて、それ以上はバイトをしたりして合計1年間この国にいることができる。確か英検3級とってれば大丈夫なはず。でも年齢制限があるんだよな。29歳までだっけ?

「まぁ、やってみたいとは思ってます、けど」

 何が言いたいんだろう。ワーホリをするならどちらにせよ一度日本に帰らなきゃならない。わざわざ日本でまたビザを取り直してこなければいけないんだ。

「クリスは、カズ君が好きだと思うんだ」

 は?
 いきなり言われて目が点になる。いったい……。

「いつもなら相手にクールなクリスが、カズ君相手にはなんか違う気がするんだよ」

 もしもし?
 それっていったい……。

「だから、もし延長できないのなら、ワーホリでまたここに来る気はないのかなと思って」

 そりゃあ、できないことはないけど……。
 でも、クリスが、なんだって?

 ……思わず、思考が停止した。
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