【完結】Life

浅葱

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20.Realize(現実)

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 そんなこと、当人じゃないヤツから言われたくないって思った。

「ごめんね、ちょっと、気をまわしすぎたかな」

 俺の顔色を見てか、ケンはすまなそうに言った。
 いつもこうなのよ。このおせっかいのせいでフラレたんだわ、なんて。ケンがそう茶化して部屋を出ていっても俺はそのままでいた。
 どうしてクリスは、そんなことを他人に言わせるんだろう。
 考える。
 クリスは例えば、まかり間違って俺を好きでも、引き止めるようなことは決して言わないだろう。
 大人だから。優しいから。
 ……ずるいから。

”ここでの生活ってのは、非日常なの。”

 歩美の科白がぐるぐるまわる。
 歩美はここの前に行っていた中国で、今の俺と同じような想いをしたんだろうか。
 悩んで、煩悶して、開き直って……。
 こんな風に、涙して……。
 気がついたら、クリスのシーツを濡らしていた。いいやもう、かまうもんか。俺にこんな想いさせるのは、クリスなんだから。
 え……?
 シーツから顔を上げる。目の前が一瞬開けたような気がしたが、空間がまた歪む。
 そうか。
 俺は。
 顔を覆う。
 俺はこんなにも、クリスが好きだったのか……。
 歩美の怒ったような顔が浮かんだ。
 カッコ悪いよな、俺ら。
 大人になったフリして、外国来て、イイ気になって遊んで、恋して、あがいて、ホント。
 ホント、俺らって、カッコ悪い。


 どれぐらい時間が経ったのか、気がついた時には真っ暗だった。あのまま一眠りしてしまったらしい、シーツからこぼれた肩がやけに冷たかった。
 この気候じゃ風邪も引きそうにないけどな。それでも肌寒かったからシーツをかき合わせた。
 ドアの外から何やら音がする。リビングに誰かいるんだろうか。今何時だろうと時計を探そうと腕をシーツから出した時、ドアが開いた。

「Kazu?」

 クリスだった。用事はもう終ったらしい。
「Hi,」と声をかけると、「電気もつけないでどうしたんだ?」と聞かれる。
 何故かあんなことを聞かされた後なのに、俺はクリスの顔が真っ直ぐ見れた。

「ケンが、カズに謝っておいてくれと言っていたが……」

 クリスが俺をどう思ってたって、どうでもいいじゃないか。
 俺はクリスが好き、みたいだから。

「Kazu?」

 俺の頬に触れようとする手を取る。まっすぐにクリスを見た。
 ごめん、クリス。

「I love you..」

 クリスの動きが、一瞬止まった。
 抱かれている時は何度も俺もって言ったけど、自分から言うのは初めてだった。
 困らせてごめん。
 そして。

「Kazu...I love you,too...」

 熱い吐息が口唇にかかって。
 俺はゆっくりと目を閉じた。



ーーーー
本日の更新はここまでです。明日か明後日には完結させます。
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