21 / 23
21.Decision(決断)
しおりを挟む
2週間のクリスマス休暇に入った。
その前の週はゲームやらアクティビティ(ちょっとした遠足みたいなもん)ばっかりで、授業料がもったいないからと歩美は休みを先に1週間申請したらしい。
だから私の休みは3週間あるのよ、なんて自慢していた。
南島に行く旅行の計画も着々と進んでいて、その前にバーベキューをしようなんて話が持ち上がった。
うちの学校の寮がある郊外のウェスタンスプリングス(公園。すっごく広い)には、バーベキュー用の台まで置いてあって無料で使えるようになっている。日本じゃ考えられないことだと思う。
適当に声をかけたらけっこうな人数が集まった。もちろん歩美も一緒だ。
買出し班と場所取り班に分かれて少し早い時間に行く。それでも先客はいた。ちょうどいい時期だからしょうがない。
とりあえず肉やら野菜やら焼き始める。
この公園はとにかく鳥が多い。白鳥やらアヒルやら鴨やら鶏やら黒鳥(?)やら。
人間が危害を加えないものだから平気でえさをよこせと寄ってくる。鳥を追いかけるなんて奴もいないから至近距離まで来るんだよな。鳥を殺したりしないもんだからどんどん増える一方で、なんかの鳥を殺してもいい月が設けられているらしいと中国人のマイケルが言っていたような気がする。
「食べないとなくなるわよ」
焼いた端から食べている歩美に、俺も鉄板の上に目を落とす。肉も丁度いい具合に焼けてきていた。
どんどん焼けていく野菜や肉を皿によそって、歩美はベンチを行ったり来たりしていた。こういう時はうまくできているもんで、焼く奴と食べる奴がいつのまにか決まっていたりする。
「で、フラットはどうよ?」
友だち連中は興味津々らしい。そりゃそうだよな、ゲイが住んでいるとこにいるわけだし。
「フツーフツー。どーせあんま顔合わせないし」
友だち連中はあてが外れたような、それでいてほっとしたような顔をしている。
誰がホントのことなんか言えるもんか。
「カズ君ー、今度フラット遊びに行ってもいーい?」
「いいけど、アイツらほとんどうちにいないよ」
女の子の好奇心は人一倍すごい。
「なんだー」
がっかりしたような声。何を期待してるんだ何を。
食い物をあらかた食い尽くして、腹ごしらえにフリスビーを投げる。投げ返せなかったら罰ゲームでチョコレートを食べなきゃいけない。こっちのチョコレートはすっごく甘い。食べてる間にもう歯が溶けそうだと思うほどだ。
歩美はベンチで数を数えていた。
「うわっ! やべっ!」
俺はチョコを2回食うことになり、マイケルは4回食うことになった。最後はもう食べたくないと逃げるマイケルを追いかけて無理矢理食わせる。
「Oh, no! I hate chocolate!」
だろうなぁ。ならやるなってツッコミはなし。歩美たちがベンチで腹を抱えて笑っていた。
夏の日は長い。
サマータイムは夜9時頃まで明るくて、時間のカンカクが狂ってしまう。
夏は誰でも開放的になる、なんてホントなんだろう。
この夏が終わる前に日本に帰る。そうしたら、クリスのことは忘れてしまうんだろうか。
それともがんばってバイトでもなんでもして、またここに来るんだろうか。
まだわからないけど、後悔はしたくないから、今できることをがんばりたい。
俺の中で、もう結果は出ていた。
その前の週はゲームやらアクティビティ(ちょっとした遠足みたいなもん)ばっかりで、授業料がもったいないからと歩美は休みを先に1週間申請したらしい。
だから私の休みは3週間あるのよ、なんて自慢していた。
南島に行く旅行の計画も着々と進んでいて、その前にバーベキューをしようなんて話が持ち上がった。
うちの学校の寮がある郊外のウェスタンスプリングス(公園。すっごく広い)には、バーベキュー用の台まで置いてあって無料で使えるようになっている。日本じゃ考えられないことだと思う。
適当に声をかけたらけっこうな人数が集まった。もちろん歩美も一緒だ。
買出し班と場所取り班に分かれて少し早い時間に行く。それでも先客はいた。ちょうどいい時期だからしょうがない。
とりあえず肉やら野菜やら焼き始める。
この公園はとにかく鳥が多い。白鳥やらアヒルやら鴨やら鶏やら黒鳥(?)やら。
人間が危害を加えないものだから平気でえさをよこせと寄ってくる。鳥を追いかけるなんて奴もいないから至近距離まで来るんだよな。鳥を殺したりしないもんだからどんどん増える一方で、なんかの鳥を殺してもいい月が設けられているらしいと中国人のマイケルが言っていたような気がする。
「食べないとなくなるわよ」
焼いた端から食べている歩美に、俺も鉄板の上に目を落とす。肉も丁度いい具合に焼けてきていた。
どんどん焼けていく野菜や肉を皿によそって、歩美はベンチを行ったり来たりしていた。こういう時はうまくできているもんで、焼く奴と食べる奴がいつのまにか決まっていたりする。
「で、フラットはどうよ?」
友だち連中は興味津々らしい。そりゃそうだよな、ゲイが住んでいるとこにいるわけだし。
「フツーフツー。どーせあんま顔合わせないし」
友だち連中はあてが外れたような、それでいてほっとしたような顔をしている。
誰がホントのことなんか言えるもんか。
「カズ君ー、今度フラット遊びに行ってもいーい?」
「いいけど、アイツらほとんどうちにいないよ」
女の子の好奇心は人一倍すごい。
「なんだー」
がっかりしたような声。何を期待してるんだ何を。
食い物をあらかた食い尽くして、腹ごしらえにフリスビーを投げる。投げ返せなかったら罰ゲームでチョコレートを食べなきゃいけない。こっちのチョコレートはすっごく甘い。食べてる間にもう歯が溶けそうだと思うほどだ。
歩美はベンチで数を数えていた。
「うわっ! やべっ!」
俺はチョコを2回食うことになり、マイケルは4回食うことになった。最後はもう食べたくないと逃げるマイケルを追いかけて無理矢理食わせる。
「Oh, no! I hate chocolate!」
だろうなぁ。ならやるなってツッコミはなし。歩美たちがベンチで腹を抱えて笑っていた。
夏の日は長い。
サマータイムは夜9時頃まで明るくて、時間のカンカクが狂ってしまう。
夏は誰でも開放的になる、なんてホントなんだろう。
この夏が終わる前に日本に帰る。そうしたら、クリスのことは忘れてしまうんだろうか。
それともがんばってバイトでもなんでもして、またここに来るんだろうか。
まだわからないけど、後悔はしたくないから、今できることをがんばりたい。
俺の中で、もう結果は出ていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
101
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる