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第4部 四神を愛しなさいと言われました
178.そこまで極端ではない……と思いたい
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夕飯の後入浴をし、玄武、朱雀と共に過ごす段になって香子は尋ねた。
玄武がいるところでは聞きづらいことではあるが、香子は気になってしかたがなかったのである。
『朱雀様、ちょっとお聞きしたいことがあるのですがよろしいですか?』
『なんだ?』
床の上、香子は薄衣の睡衣の前をはだけられ、たわわな胸をあらわにされた。そこでようやく朱雀はその手を止めた。
『先代の花嫁のことなのですが』
『今でなければだめか?』
『忘れてしまいそうなので……』
『忘れてしまってはいけないのか』
『はい、たぶん……』
朱雀は香子の胸をやわやわと揉む。
『よいだろう』
そんな朱雀を偉そうだと香子は思った。
『落ち着かないので……』
睡衣を少し直し、胸を隠したところで香子はほう、と一息ついた。さすがに胸をはだけたままで話をするのはいただけない。
『して、何か?』
朱雀と玄武に見下ろされた姿勢のままである。とても危険な恰好だという自覚は香子にもあったが、とりあえず聞いてみることにした。聞いた後のことはその時の自分がどうにかするだろうという丸投げ思考で。
『その……朱雀様は先代の花嫁に、その……眷属を産んでもらっているのですよね?』
『ああ……紅夏はそうだな』
『そう、でしたよね……』
香子の侍女である紅児を攫っていった紅夏の顔を思い出し、香子は忌々しいと思った。
『他にも何人かいらっしゃるんでしたっけ?』
『今いる紅炎もそうだ』
『そうなのですね』
『して、それを聞いてなんとする?』
本題はそちらだったことを香子は思い出した。玄武が香子の手を取って、唇を何度も押し当てているのを見て早く終わらせなければと香子は思う。
『ええと……四神と花嫁が、その、愛し合うことで子が産まれるとは聞きましたが、一人目が産まれるまでに五十年もかかったと聞いて……その』
『……そうさな。それぐらいかかったやもしれぬ』
朱雀は視線を考えるように巡らせた。
『それで、そんなに子は生まれにくいものなのかと……』
『確かに五十年に一人と考えれば産まれにくいと思うのかもしれぬ。ただ二人目はそれほどかからなかったはずだ』
『そうなのですか』
『確か……紅炎か他の者は十年ぐらいではなかっただろうか』
それでも十年かかるのかと香子は脱力した。
『そ、それって……十年間ずっと抱かれ続けて、なのですか……?』
五十年間も床から出られないなんて冗談じゃないと香子は思った。五十年もあればやりたいことがたくさんある。歴史は調べたいし、旅にも出たい。おいしいものもたくさん食べたい。それなのにずっと床の上は勘弁である。
朱雀は香子をまじまじと見た。
『何故そんな悲痛そうな顔をしている?』
『だって……一日中床から出られない日が十年も続くって考えたら、早まったって思うじゃないですかっ!』
(四神にとっては当たり前のことかもしれないけど!)
朱雀はそれを聞いて目を丸くした。
『香子、その件についてはまた明日話し合おう。我もだが、玄武兄が限界だ』
『あ……』
『香子』
玄武の顔が下りてきて、唇が重なった。
『んっ……』
玄武を待たせてしまったことを、香子は申し訳なく思った。朱雀の手がまた香子の睡衣の前をはだけさせた。胸をやわやわと揉み、顔をその下へ。へそを舐められて、香子は震えた。
『んんっ……』
そうして与えられた熱に浮かされ、香子はまた何も考えられなくなった。
翌朝、香子は玄武の腕の中で目覚めた。
逞しい胸板が睡衣の間から覗いて、香子は思わずそっと頬を寄せた。最近玄武に甘え過ぎだと香子は思う。ないがしろにしているつもりは全くないのだが、玄武が黙っているのをいいことに白虎や青龍と一緒にいる頻度が上がっているような気がするのだ。
玄武とはほぼ毎晩のように身体を重ねているとはいえ、ただこうしてくっついているだけという時間も大事である。
(難しいなぁ……)
そう香子が思った時、おなかからぐうう~~と空腹を知らせる音が鳴り、香子は頬を染めたのだった。
朝飯は玄武の室の居間に用意された。玄武の腕に抱かれたまま、玄武、朱雀と共にすごいスピードで食べていく。抱かれた香子だけなく、香子を抱いた玄武と朱雀も空腹を覚えるので、料理は瞬く間になくなった。
そしてまた次々に料理が運ばれてくる。
香子と二神は胃が落ち着くまで食べると、ふう、と息を吐いた。
『あー……おいしかった』
『今日もうまかったな』
朱雀が応える。香子はそうしてから、昨夜の己の痴態をありありと思い出して、頬を染めた。最近玄武は特に情熱的だと香子は思う。玄武も朱雀も香子の反応をよく見ていて、香子がより感じるように動くのだからたまらない。
だが今はそれを思い出す時間ではないと、香子はどうにか昨日の記憶に蓋をした。
『朱雀様、昨日の話が終わっていません』
『そうであったな』
朱雀が笑む。ほんの少しの表情の変化なのだが、香子はうっと詰まった。四神は美しすぎていけない。
『そなたの”ずっと”という言葉の理解は極端ではないか』
香子はムッとした。”ずっと”と言われたら本当に”ずっと”なのかと思ってしまうではないか。
それに、四神ならそれがありえるとも香子は考えてしまう。
『では、どれぐらいなのですか……?』
『せいぜい一年というところだろう』
香子は遠い目をしたくなった。
一年間も抱かれ続けるなんてやっぱりありえないと香子は思った。
玄武がいるところでは聞きづらいことではあるが、香子は気になってしかたがなかったのである。
『朱雀様、ちょっとお聞きしたいことがあるのですがよろしいですか?』
『なんだ?』
床の上、香子は薄衣の睡衣の前をはだけられ、たわわな胸をあらわにされた。そこでようやく朱雀はその手を止めた。
『先代の花嫁のことなのですが』
『今でなければだめか?』
『忘れてしまいそうなので……』
『忘れてしまってはいけないのか』
『はい、たぶん……』
朱雀は香子の胸をやわやわと揉む。
『よいだろう』
そんな朱雀を偉そうだと香子は思った。
『落ち着かないので……』
睡衣を少し直し、胸を隠したところで香子はほう、と一息ついた。さすがに胸をはだけたままで話をするのはいただけない。
『して、何か?』
朱雀と玄武に見下ろされた姿勢のままである。とても危険な恰好だという自覚は香子にもあったが、とりあえず聞いてみることにした。聞いた後のことはその時の自分がどうにかするだろうという丸投げ思考で。
『その……朱雀様は先代の花嫁に、その……眷属を産んでもらっているのですよね?』
『ああ……紅夏はそうだな』
『そう、でしたよね……』
香子の侍女である紅児を攫っていった紅夏の顔を思い出し、香子は忌々しいと思った。
『他にも何人かいらっしゃるんでしたっけ?』
『今いる紅炎もそうだ』
『そうなのですね』
『して、それを聞いてなんとする?』
本題はそちらだったことを香子は思い出した。玄武が香子の手を取って、唇を何度も押し当てているのを見て早く終わらせなければと香子は思う。
『ええと……四神と花嫁が、その、愛し合うことで子が産まれるとは聞きましたが、一人目が産まれるまでに五十年もかかったと聞いて……その』
『……そうさな。それぐらいかかったやもしれぬ』
朱雀は視線を考えるように巡らせた。
『それで、そんなに子は生まれにくいものなのかと……』
『確かに五十年に一人と考えれば産まれにくいと思うのかもしれぬ。ただ二人目はそれほどかからなかったはずだ』
『そうなのですか』
『確か……紅炎か他の者は十年ぐらいではなかっただろうか』
それでも十年かかるのかと香子は脱力した。
『そ、それって……十年間ずっと抱かれ続けて、なのですか……?』
五十年間も床から出られないなんて冗談じゃないと香子は思った。五十年もあればやりたいことがたくさんある。歴史は調べたいし、旅にも出たい。おいしいものもたくさん食べたい。それなのにずっと床の上は勘弁である。
朱雀は香子をまじまじと見た。
『何故そんな悲痛そうな顔をしている?』
『だって……一日中床から出られない日が十年も続くって考えたら、早まったって思うじゃないですかっ!』
(四神にとっては当たり前のことかもしれないけど!)
朱雀はそれを聞いて目を丸くした。
『香子、その件についてはまた明日話し合おう。我もだが、玄武兄が限界だ』
『あ……』
『香子』
玄武の顔が下りてきて、唇が重なった。
『んっ……』
玄武を待たせてしまったことを、香子は申し訳なく思った。朱雀の手がまた香子の睡衣の前をはだけさせた。胸をやわやわと揉み、顔をその下へ。へそを舐められて、香子は震えた。
『んんっ……』
そうして与えられた熱に浮かされ、香子はまた何も考えられなくなった。
翌朝、香子は玄武の腕の中で目覚めた。
逞しい胸板が睡衣の間から覗いて、香子は思わずそっと頬を寄せた。最近玄武に甘え過ぎだと香子は思う。ないがしろにしているつもりは全くないのだが、玄武が黙っているのをいいことに白虎や青龍と一緒にいる頻度が上がっているような気がするのだ。
玄武とはほぼ毎晩のように身体を重ねているとはいえ、ただこうしてくっついているだけという時間も大事である。
(難しいなぁ……)
そう香子が思った時、おなかからぐうう~~と空腹を知らせる音が鳴り、香子は頬を染めたのだった。
朝飯は玄武の室の居間に用意された。玄武の腕に抱かれたまま、玄武、朱雀と共にすごいスピードで食べていく。抱かれた香子だけなく、香子を抱いた玄武と朱雀も空腹を覚えるので、料理は瞬く間になくなった。
そしてまた次々に料理が運ばれてくる。
香子と二神は胃が落ち着くまで食べると、ふう、と息を吐いた。
『あー……おいしかった』
『今日もうまかったな』
朱雀が応える。香子はそうしてから、昨夜の己の痴態をありありと思い出して、頬を染めた。最近玄武は特に情熱的だと香子は思う。玄武も朱雀も香子の反応をよく見ていて、香子がより感じるように動くのだからたまらない。
だが今はそれを思い出す時間ではないと、香子はどうにか昨日の記憶に蓋をした。
『朱雀様、昨日の話が終わっていません』
『そうであったな』
朱雀が笑む。ほんの少しの表情の変化なのだが、香子はうっと詰まった。四神は美しすぎていけない。
『そなたの”ずっと”という言葉の理解は極端ではないか』
香子はムッとした。”ずっと”と言われたら本当に”ずっと”なのかと思ってしまうではないか。
それに、四神ならそれがありえるとも香子は考えてしまう。
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