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第4部 四神を愛しなさいと言われました
183.甘すぎて困るんですってば
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丸一日抱かれるのはどうかと香子は思う。
夜から昼まで青龍に抱かれ続け、気を失うようにして眠り、目覚めて食事をして、入浴したら玄武と朱雀に抱かれる。
力尽きてまた、香子は朝を迎えた。
『たまには抱かれない夜がほしい……』
そういえば生理もこなくなった。楽は楽だが、最初は妊娠したのかと香子は青くなった。
人ではなくなったからだということは教えてもらったが、不思議なものだと香子は思う。何より生理がないのは楽でいいのだが、その分毎日抱かれ続けることになるし、女性ホルモンの分泌等についてはどうなっているのだろうと考えてしまう。
(人ではなくなってしまったから、もう関係ないのかなぁ……)
『我らはいつでもそなたを抱きたい故、それは無理な相談だな』
香子の呟きに、甘いテノールが答えた。香子はビクッと身を震わせる。聞こえていたらしい。
『……四神はもう少し我慢を覚えた方がいいと思います』
香子は口を尖らせてそう言った。
『こんなに愛しいというのに?』
『……愛しいからって、私の意思を無視してはいけません』
『……それもそうだな』
朱雀は苦笑すると、香子をその腕の中に抱き込んでそっと口づけた。香子の舌を捉えて絡め、舐めた時、香子のおなかが鳴った。香子が途端に真っ赤になる。
『用意をさせよう。しばし待て』
反対側にいたらしい玄武の声が届いて、香子は穴を掘って埋まりたいと思った。
色気も何もあったものではない。
(いや、うん! なくてもいいんだよね!)
香子はそう思い直した。朝から色気があったらまた床から出られなくなってしまう。
それでもも恥ずかしいことにかわりはないのだが。
朝ごはんを玄武の室で食べ、食後のお茶を飲んでいると紅炎が入ってきた。
『景山はいつ向かわれますか?』
『いつから行けるのかしら?』
『準備が整い次第、いつでも可能と聞いております』
香子は己の椅子になっている玄武を見た。
『すぐに景山に行きたいです』
『よいぞ』
『も、もちろんですが準備を整えてからです!』
玄武がさっそく立ち上がって移動しようとしたので、香子は慌ててそう言った。
『……そうだな』
『玄武兄は香子が望むことはなんでも叶えてやりたいのか』
朱雀がククッと笑ってそう呟いた。
『……女心というものがわからぬ故な。できるだけ香子の気持ちに添うようにしたいのだ』
真摯にそう言われて、香子は頬を染めた。四神の愛情がストレートすぎて香子にはその気持ちがとても眩しく感じられた。
『そ、そんなに……私のことばかりでなくても……』
『? そなた以外のことを考えてどうせよというのか』
(甘いよー、甘すぎるよー!)
甘いバリトンに、ともすればどろどろに溶かされてしまうと香子は思う。声はいいし、容姿は美しいし、しかも香子一筋だなんてなんなのだ。しかもそれが四人もいるなんて心臓に悪すぎる。
『ううう……いつまで経っても慣れない……』
香子は思わず唸ってしまった。そして両手で顔を覆う。
『香子、如何した?』
その心配そうな玄武の声にすら悶えてしまい、香子は困る。そのまま抱き上げられ、香子は部屋に運ばれた。
『香子、そなたの部屋に着いたぞ』
『あっ……』
香子はやっと顔を覆っていた手を外した。そして己を抱き上げている玄武を見上げる。
『ありがとうございます』
『これから向かうのだろう?』
『はい』
『そなたを運ぶのは、我でよいか?』
『はい!』
香子は思わず即答してしまった。
侍女たちによって着替えをさせられ、髪型も全て整えられながら、香子は少しまずかったかなと思った。
昼間は白虎が青龍と過ごすことになっているので、移動も彼らに抱かれてするのがいつものことである。だが今日は玄武に抱かれて向かうことになるらしい。
『まぁ、いいよね……』
香子は呟いた。
『玄武様に抱かれて行っても、いいわよね?』
『花嫁様がそう決められたならよいのではないでしょうか?』
延夕玲が不思議そうにそう答えた。香子は頷く。そう、香子が決めたならそれでいいのだ。香子も改めてそう思った。
『夕玲、ありがとう!』
『花嫁様……』
『私が礼を言いたかったんだからいいのよ』
鏡を見て、美しくしてもらったことを確認し、香子は嬉しくなった。玄武が戻ってきて、香子を見ると嬉しそうに目を細めた。
四神は本当に香子を好きすぎると香子は何度も思う。そんな四神を、香子もまた好きだから。
玄武に抱き上げられて、香子はその胸に頭をもたせかけた。
『では参ろうか』
『はい』
景山には四神宮主官の趙文英の他に王英明も向かうらしい。王の姿は最近見ていなかったなと香子は思った。今日は四神だけでなく夕玲も楊芳芳も一緒である。白風も付いてきたそうな顔をしていたが、それを決めるのは筆頭の女官である夕玲なので香子は何も言わなかった。白雲、紅炎、青藍、黒月は当然ながら同行する。
なかなかの大所帯だなと香子は思った。
景山は四神宮から近いところにあるが、建物の中を通って向かうのでそれなりに時間がかかる。
『花嫁様、昼食も簡単ではありますがご用意しました』
趙に言われて、香子はにっこりと笑んだ。これから三日程、景山に入っていいらしい。
山に登り、景山山頂にある万春亭に玄武は足を踏み入れた。香子を抱いたまま椅子に腰掛け、玄武は満足そうに香子の頬を撫でた。
『一日中、そなたをこうして見ていたいものだ』
『……見てるじゃないですか』
『一日中ではないだろう?』
そんな玄武と香子の様子を、三神は微笑ましいものを見るように眺めていたのだった。
夜から昼まで青龍に抱かれ続け、気を失うようにして眠り、目覚めて食事をして、入浴したら玄武と朱雀に抱かれる。
力尽きてまた、香子は朝を迎えた。
『たまには抱かれない夜がほしい……』
そういえば生理もこなくなった。楽は楽だが、最初は妊娠したのかと香子は青くなった。
人ではなくなったからだということは教えてもらったが、不思議なものだと香子は思う。何より生理がないのは楽でいいのだが、その分毎日抱かれ続けることになるし、女性ホルモンの分泌等についてはどうなっているのだろうと考えてしまう。
(人ではなくなってしまったから、もう関係ないのかなぁ……)
『我らはいつでもそなたを抱きたい故、それは無理な相談だな』
香子の呟きに、甘いテノールが答えた。香子はビクッと身を震わせる。聞こえていたらしい。
『……四神はもう少し我慢を覚えた方がいいと思います』
香子は口を尖らせてそう言った。
『こんなに愛しいというのに?』
『……愛しいからって、私の意思を無視してはいけません』
『……それもそうだな』
朱雀は苦笑すると、香子をその腕の中に抱き込んでそっと口づけた。香子の舌を捉えて絡め、舐めた時、香子のおなかが鳴った。香子が途端に真っ赤になる。
『用意をさせよう。しばし待て』
反対側にいたらしい玄武の声が届いて、香子は穴を掘って埋まりたいと思った。
色気も何もあったものではない。
(いや、うん! なくてもいいんだよね!)
香子はそう思い直した。朝から色気があったらまた床から出られなくなってしまう。
それでもも恥ずかしいことにかわりはないのだが。
朝ごはんを玄武の室で食べ、食後のお茶を飲んでいると紅炎が入ってきた。
『景山はいつ向かわれますか?』
『いつから行けるのかしら?』
『準備が整い次第、いつでも可能と聞いております』
香子は己の椅子になっている玄武を見た。
『すぐに景山に行きたいです』
『よいぞ』
『も、もちろんですが準備を整えてからです!』
玄武がさっそく立ち上がって移動しようとしたので、香子は慌ててそう言った。
『……そうだな』
『玄武兄は香子が望むことはなんでも叶えてやりたいのか』
朱雀がククッと笑ってそう呟いた。
『……女心というものがわからぬ故な。できるだけ香子の気持ちに添うようにしたいのだ』
真摯にそう言われて、香子は頬を染めた。四神の愛情がストレートすぎて香子にはその気持ちがとても眩しく感じられた。
『そ、そんなに……私のことばかりでなくても……』
『? そなた以外のことを考えてどうせよというのか』
(甘いよー、甘すぎるよー!)
甘いバリトンに、ともすればどろどろに溶かされてしまうと香子は思う。声はいいし、容姿は美しいし、しかも香子一筋だなんてなんなのだ。しかもそれが四人もいるなんて心臓に悪すぎる。
『ううう……いつまで経っても慣れない……』
香子は思わず唸ってしまった。そして両手で顔を覆う。
『香子、如何した?』
その心配そうな玄武の声にすら悶えてしまい、香子は困る。そのまま抱き上げられ、香子は部屋に運ばれた。
『香子、そなたの部屋に着いたぞ』
『あっ……』
香子はやっと顔を覆っていた手を外した。そして己を抱き上げている玄武を見上げる。
『ありがとうございます』
『これから向かうのだろう?』
『はい』
『そなたを運ぶのは、我でよいか?』
『はい!』
香子は思わず即答してしまった。
侍女たちによって着替えをさせられ、髪型も全て整えられながら、香子は少しまずかったかなと思った。
昼間は白虎が青龍と過ごすことになっているので、移動も彼らに抱かれてするのがいつものことである。だが今日は玄武に抱かれて向かうことになるらしい。
『まぁ、いいよね……』
香子は呟いた。
『玄武様に抱かれて行っても、いいわよね?』
『花嫁様がそう決められたならよいのではないでしょうか?』
延夕玲が不思議そうにそう答えた。香子は頷く。そう、香子が決めたならそれでいいのだ。香子も改めてそう思った。
『夕玲、ありがとう!』
『花嫁様……』
『私が礼を言いたかったんだからいいのよ』
鏡を見て、美しくしてもらったことを確認し、香子は嬉しくなった。玄武が戻ってきて、香子を見ると嬉しそうに目を細めた。
四神は本当に香子を好きすぎると香子は何度も思う。そんな四神を、香子もまた好きだから。
玄武に抱き上げられて、香子はその胸に頭をもたせかけた。
『では参ろうか』
『はい』
景山には四神宮主官の趙文英の他に王英明も向かうらしい。王の姿は最近見ていなかったなと香子は思った。今日は四神だけでなく夕玲も楊芳芳も一緒である。白風も付いてきたそうな顔をしていたが、それを決めるのは筆頭の女官である夕玲なので香子は何も言わなかった。白雲、紅炎、青藍、黒月は当然ながら同行する。
なかなかの大所帯だなと香子は思った。
景山は四神宮から近いところにあるが、建物の中を通って向かうのでそれなりに時間がかかる。
『花嫁様、昼食も簡単ではありますがご用意しました』
趙に言われて、香子はにっこりと笑んだ。これから三日程、景山に入っていいらしい。
山に登り、景山山頂にある万春亭に玄武は足を踏み入れた。香子を抱いたまま椅子に腰掛け、玄武は満足そうに香子の頬を撫でた。
『一日中、そなたをこうして見ていたいものだ』
『……見てるじゃないですか』
『一日中ではないだろう?』
そんな玄武と香子の様子を、三神は微笑ましいものを見るように眺めていたのだった。
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