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第4部 四神を愛しなさいと言われました
205.何度も言いますが甘すぎて困るのです
「四神」書籍化しました!
書籍化記念SSとか書くかとも思ったのですが、それよりきっと連載を滞りなく続ける方がいいと思うので特には書きません。
小ネタのようなものを今後連載の後に追加できればと思っています。
どうぞ書籍版もよろしくお願いします!
ーーーーーー
朱雀は愛しくてならないというように香子を抱え、まっすぐ寝室に運んだ。
『朱雀様っ!』
『なんだ?』
朱雀は流れるように香子を床に横たえてしまう。
『そ、そろそろ夕飯が近いかと……』
『そうだな。だがそなたは一人でいたぞ?』
『あ……』
香子は冷汗を流した。
香子が四神の誰かといない場合は、早い者勝ちというルールがあったことを香子はやっと思い出した。香子が一人になれるのは己の部屋の中だけだったのである。
『……一人でいたい時もあるとお伝えはしているはずです』
『そうだな。だが我はそなたと過ごしたい』
朱雀はにこにこしている。香子はそんな朱雀を睨んだ。
『私の一人時間を担保できない方の領地へは行けませんよ』
『それは困る』
朱雀は真面目な顔をした。そして香子の唇を口づけで塞ぐ。
「んっ……」
反射的に香子は目を閉じてしまった。朱雀の口づけを喜んでしまう己に羞恥を感じる。
これほどの美形に求められていることが未だに信じられない。
(なんで私なんだろう……)
考えるだけ無駄だということはわかっているが、それでもうだうだとそんなことを考えてしまう。朱雀は香子の舌を捉え、その唾液を啜ってから唇を一旦離した。
「……はぁ……」
香子の唇からそんなため息のような甘い声が漏れる。それに香子は頬を染めた。
『何故そなたなのかというのは愚問だ。我らにもわからなかったが、今そなたを愛しく思う気持ちに嘘はない』
くっついた状態で考えたことは四神に伝わってしまうのだということを、香子はやっと思い出した。心話というその厄介なものは香子の気持ちをたやすく丸裸にしてしまう。
『……今でも信じられない気持ちなだけです……私は普通だから……』
朱雀はククッと笑った。
『見た目だけでも、そなたは普通ではないと我は思うがな』
『そう、ですか?』
香子は床に横たわったまま首を傾げた。香子は己のことを自他共に認める普通の人だと思っている。
朱雀は香子の髪に触れた。
『この髪の色一つ取っても普通ではないだろう? 生来の色ではないのだから』
『ああ……こちらの世界では染髪自体しないのでしたっけ……』
白髪を黒に染めることもなかったのだろうかと香子は考えてしまう。いや、きっとそれはあったはずだろう。
『私の世界では、学生なら染髪はそれほどおかしいことではありませんでしたよ?』
『ところかわればというものか』
『常識は場所や時代によって変わるものですから』
朱雀は香子の頬を愛しくてならないというように撫でた。
『ならば、我らが香子を愛しいというのも我らの当たり前にしてしまえばいい。それは変わらないものだろう』
朱雀が確信を持って言う。香子は笑んだ。
『ええ、そうであってほしいです』
以前はどうだか知らないが、今四神は香子のものなのだ。
朱雀がまた香子の唇を塞ごうとした時、表から声がかかった。
『夕飯の支度ができたそうです』
『わかった』
紅炎の声がして、朱雀はチッと舌打ちした。香子は舌打ちの音が少し怖いのだが、朱雀が香子と触れ合っていたいがための舌打ちだとわかっているから肩を竦めるに留めた。
『香子、如何した?』
けれど朱雀は香子の様子に気付いたらしい。
香子は思わず顔を両手で覆った。
『なんでもないです……』
『香子、言え』
甘く響くテノールに、香子は胸が甘く戦慄くのを感じた。
『……舌打ちが怖いんですけど……』
『それはすまなかった』
『でも、朱雀様は私とこうしていたくて舌打ちされた……のですよね?』
香子は自分で言ってて自意識過剰ではないかと思った。あまりの羞恥に頭がカーッと熱くなってしまう。
『その通りだ。だが、そなたが怖いというのならば控えよう』
朱雀はそう言いながら、香子が顔を覆っている手を外させ、その手に唇を押し当てた。
(あああああ~~~~っっ!!)
香子は叫びそうになった。香子は自他共に認めるメンクイ(以下略)
そんなことをされたらときめいてしまう。メンクイだけではなく、ロマンチック耐性も全くない。
朱雀は一瞬目を見開いたが、香子に流し目をくれる。
『……嫌か?』
『……意地悪な朱雀様は嫌です……』
香子はかろうじて、それだけ言うことができた。
いちゃいちゃはともかく夕飯の支度はできているらしい。香子は朱雀に起こしてもらい、抱き上げられて寝室を出た。
『花嫁様!? すぐに整えないと!』
紅炎が気を利かせたのか、そこでは侍女が二人ばかり待っていた。香子の姿を見て驚愕の声を上げる。
『朱雀様、そこに花嫁様を下ろしてくださいませ!』
朱雀が侍女たちに言われるがままに香子を長椅子に下ろすと、侍女たちは急いで香子の髪型や衣裳を整えたのだった。
『とてもかなわぬな』
朱雀が苦笑する。
身支度を整えられた香子はやっと食堂へ運ばれた。
玄武と朱雀の間の席が空いており、そこに朱雀がそっと香子を下ろす。
『……我も表を確認すればよかった』
玄武にそう言われて、香子は玄武を見た。
『それでは私が歩けないじゃないですか』
『……そうだな。我はそなたに、ずっと我の腕の中にいてほしい故な』
さらりと言われて香子は頬が熱くなるのを感じた。
頼むからこれ以上心臓に悪いことを言わないでほしいと香子は思ったのだった。
ーーーーー
エールとっても嬉しいです。ありがとうございまーす!
いいねもありがとうございます!
小ネタ:
白虎「香子は何故肉を厭うのだ?」
香子「おいしくないし、吐きそうになっちゃうんですよ」
白虎「それは今でもか?」
香子「? 今なら食べられるとかあるんですか?」
試しに食べてみる。
香子「え……おいしい」
白虎「そなたは人ではなくなったのだから、そのようなことも変わっているはずだ」
香子「えー……」(驚愕)
なんか納得がいかない香子でした。
書籍化記念SSとか書くかとも思ったのですが、それよりきっと連載を滞りなく続ける方がいいと思うので特には書きません。
小ネタのようなものを今後連載の後に追加できればと思っています。
どうぞ書籍版もよろしくお願いします!
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朱雀は愛しくてならないというように香子を抱え、まっすぐ寝室に運んだ。
『朱雀様っ!』
『なんだ?』
朱雀は流れるように香子を床に横たえてしまう。
『そ、そろそろ夕飯が近いかと……』
『そうだな。だがそなたは一人でいたぞ?』
『あ……』
香子は冷汗を流した。
香子が四神の誰かといない場合は、早い者勝ちというルールがあったことを香子はやっと思い出した。香子が一人になれるのは己の部屋の中だけだったのである。
『……一人でいたい時もあるとお伝えはしているはずです』
『そうだな。だが我はそなたと過ごしたい』
朱雀はにこにこしている。香子はそんな朱雀を睨んだ。
『私の一人時間を担保できない方の領地へは行けませんよ』
『それは困る』
朱雀は真面目な顔をした。そして香子の唇を口づけで塞ぐ。
「んっ……」
反射的に香子は目を閉じてしまった。朱雀の口づけを喜んでしまう己に羞恥を感じる。
これほどの美形に求められていることが未だに信じられない。
(なんで私なんだろう……)
考えるだけ無駄だということはわかっているが、それでもうだうだとそんなことを考えてしまう。朱雀は香子の舌を捉え、その唾液を啜ってから唇を一旦離した。
「……はぁ……」
香子の唇からそんなため息のような甘い声が漏れる。それに香子は頬を染めた。
『何故そなたなのかというのは愚問だ。我らにもわからなかったが、今そなたを愛しく思う気持ちに嘘はない』
くっついた状態で考えたことは四神に伝わってしまうのだということを、香子はやっと思い出した。心話というその厄介なものは香子の気持ちをたやすく丸裸にしてしまう。
『……今でも信じられない気持ちなだけです……私は普通だから……』
朱雀はククッと笑った。
『見た目だけでも、そなたは普通ではないと我は思うがな』
『そう、ですか?』
香子は床に横たわったまま首を傾げた。香子は己のことを自他共に認める普通の人だと思っている。
朱雀は香子の髪に触れた。
『この髪の色一つ取っても普通ではないだろう? 生来の色ではないのだから』
『ああ……こちらの世界では染髪自体しないのでしたっけ……』
白髪を黒に染めることもなかったのだろうかと香子は考えてしまう。いや、きっとそれはあったはずだろう。
『私の世界では、学生なら染髪はそれほどおかしいことではありませんでしたよ?』
『ところかわればというものか』
『常識は場所や時代によって変わるものですから』
朱雀は香子の頬を愛しくてならないというように撫でた。
『ならば、我らが香子を愛しいというのも我らの当たり前にしてしまえばいい。それは変わらないものだろう』
朱雀が確信を持って言う。香子は笑んだ。
『ええ、そうであってほしいです』
以前はどうだか知らないが、今四神は香子のものなのだ。
朱雀がまた香子の唇を塞ごうとした時、表から声がかかった。
『夕飯の支度ができたそうです』
『わかった』
紅炎の声がして、朱雀はチッと舌打ちした。香子は舌打ちの音が少し怖いのだが、朱雀が香子と触れ合っていたいがための舌打ちだとわかっているから肩を竦めるに留めた。
『香子、如何した?』
けれど朱雀は香子の様子に気付いたらしい。
香子は思わず顔を両手で覆った。
『なんでもないです……』
『香子、言え』
甘く響くテノールに、香子は胸が甘く戦慄くのを感じた。
『……舌打ちが怖いんですけど……』
『それはすまなかった』
『でも、朱雀様は私とこうしていたくて舌打ちされた……のですよね?』
香子は自分で言ってて自意識過剰ではないかと思った。あまりの羞恥に頭がカーッと熱くなってしまう。
『その通りだ。だが、そなたが怖いというのならば控えよう』
朱雀はそう言いながら、香子が顔を覆っている手を外させ、その手に唇を押し当てた。
(あああああ~~~~っっ!!)
香子は叫びそうになった。香子は自他共に認めるメンクイ(以下略)
そんなことをされたらときめいてしまう。メンクイだけではなく、ロマンチック耐性も全くない。
朱雀は一瞬目を見開いたが、香子に流し目をくれる。
『……嫌か?』
『……意地悪な朱雀様は嫌です……』
香子はかろうじて、それだけ言うことができた。
いちゃいちゃはともかく夕飯の支度はできているらしい。香子は朱雀に起こしてもらい、抱き上げられて寝室を出た。
『花嫁様!? すぐに整えないと!』
紅炎が気を利かせたのか、そこでは侍女が二人ばかり待っていた。香子の姿を見て驚愕の声を上げる。
『朱雀様、そこに花嫁様を下ろしてくださいませ!』
朱雀が侍女たちに言われるがままに香子を長椅子に下ろすと、侍女たちは急いで香子の髪型や衣裳を整えたのだった。
『とてもかなわぬな』
朱雀が苦笑する。
身支度を整えられた香子はやっと食堂へ運ばれた。
玄武と朱雀の間の席が空いており、そこに朱雀がそっと香子を下ろす。
『……我も表を確認すればよかった』
玄武にそう言われて、香子は玄武を見た。
『それでは私が歩けないじゃないですか』
『……そうだな。我はそなたに、ずっと我の腕の中にいてほしい故な』
さらりと言われて香子は頬が熱くなるのを感じた。
頼むからこれ以上心臓に悪いことを言わないでほしいと香子は思ったのだった。
ーーーーー
エールとっても嬉しいです。ありがとうございまーす!
いいねもありがとうございます!
小ネタ:
白虎「香子は何故肉を厭うのだ?」
香子「おいしくないし、吐きそうになっちゃうんですよ」
白虎「それは今でもか?」
香子「? 今なら食べられるとかあるんですか?」
試しに食べてみる。
香子「え……おいしい」
白虎「そなたは人ではなくなったのだから、そのようなことも変わっているはずだ」
香子「えー……」(驚愕)
なんか納得がいかない香子でした。
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