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第2部 嫁ぎ先を決めろと言われました
118.いろいろハードルが高すぎると思うのです
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まだ春の大祭の期間中ではあるが四神と香子が顔を出す必要はもうない。確か日を改めて皇帝が天壇へ向かうと聞いてはいたがそれが大祭の期間中なのか、別の時なのかもわからなかった。
(私には関係ないよね)
昨日はエロ三昧だった。香子は嘆息する。大祭三日目である。大祭期間中は屋台などいろんな店が出ることから、王城の中も浮ついているような気がする。せっかくの大祭なので、こちらのことは気にせず侍女たちに休みを取らせるようにと、香子は趙文英に伝えていた。延夕玲は皇太后のところへ顔を出したりはしたようだが、基本は香子の部屋にいた。ただそれを侍女たちもプレッシャーとは感じなかったようで、思い思いに休んでくれたようだった。おそらく侍女頭と相談したりもしてくれたのだろう。
異国からの客人である紅児もまた大祭初日以降は香子の部屋にいたようだった。一緒に出かける相手が紅夏というのは気に入らないが、この国での暮らしをもっと楽しんでほしいと香子は思う。
『エリーザは客人なのだから……もっと休んでもいいのよ?』
というより紅児はもっと自由でいいと香子は思っているのだが、紅児は笑顔で応えるだけだった。本人がいいと言っているのに無理にでも休ませる必要はないだろう。香子はそれについて考えるのはやめた。
昨日は順番から言えば白虎と過ごす日だったが、起きたのが夜だったので今日共に過ごすことにしていた。
(モフりたい……)
しかし本性を現した白虎に触れるにはリスクがある。
(獣姦はさすがになぁ……)
いくらなんでも、と香子は眉を寄せる。
『香子?』
長椅子で抱き込まれていたので、さすがの白虎も香子の表情の変化に気づいたらしい。
『いえ……大祭で、朱雀さまと青龍さまの本性を見たことを思い出しまして』
『そうか』
『朱雀さまも青龍さまもすごく大きかったです』
それに比べると白虎は白銀の美しい毛並みをしているがサイズはそれほどでもないと香子は思った。
『玄武さまも大きいのでしょうか』
白虎がククッと喉の奥で笑った。
『ここだけの話だが、我らは本性の大きさを変えることができる』
『え?』
サイズ変更ができるとはどういうことかと香子は首を傾げた。
『この室に納まるくらいの大きさになることもできれば、この王城全体を覆うぐらいになることも可能だ』
『えええ?』
確かに言われてみれば、ちょうどよく天壇の広場の半分に納まるようなサイズになっていた。二神は本性を現した時微妙なサイズ修正を行っていたらしい。大きく、威厳があり、人間が畏敬の念を抱くような形を演出していたとは四神恐るべしである。
『って、ことは白虎さまも?』
『ああ。人の身に合わせてもあれぐらいにしかならぬがな』
ものすごく小さくなったりはできないようである。その本性について、香子はあることを思い出した。
『あのう……もしかして白虎さまも、本性を現していた時って私の考えとか読めました?』
もふもふサイコー! とかふおっふおっとなっていたのがバレるのはさすがにまずい。白虎のことだから読めていたとしても気にしないだろうが、香子にとっては大問題だった。白虎は少しだけ考えるような顔をした。
『ふむ……そなたから喜びの感情は伝わってきたが、考えまではわからぬな』
『なら、よかったです……』
四神に触れている状態で意識をすれば香子が思っていることを伝えることはできる。だが朱雀が本性を現していた時、香子が何を思っていたかはダダ漏れだった。だから白虎の毛を撫でていた時もそうだったのではないかと思ったが、どうも違うらしい。
(何が違うのかしら?)
首を傾げて白虎の逞しい腕を抱きしめる。男の腕なので固いのだがなんとなく落ち着くのだ。
『朱雀兄はそなたの考えが読めたのか』
『はい。なんとなく思ったことまで全部わかっていたみたいです』
『そうか』
白虎は何やら納得したように軽く頷くと、香子を抱き上げた。
『白虎さま?』
『香子、我と朱雀兄の違いはなんだ?』
『? 髪の色も目の色も違うと思いますけど……』
なんだか不穏なものを感じて香子はごまかすように答えた。
『それもそうだが、一番の違いはな』
白虎の足が寝室に向く。さすがにこれはまずいと香子は慌てた。
『我がまだそなたを抱いていないということだ』
『ムリッ! ごめんなさいまだムリです! いずれ、いずれ真面目に考えますから勘弁してください!』
寝室の床に優しく下ろされる。
『青龍もすでに受け入れたであろう。我を阻む理由はもうどこにもないはずだ』
『獣姦はムリです!! 心構えがないです! 今奪われたら白虎さまのこと大嫌いになりますーっ!!』
必死で白虎を押しのけようとする香子の様子に、さすがにしょうがないと思ったらしい。
『落ち着け』
白虎はいつになく甘い仕草で額や鼻、髪などに軽い口付けを何度も落とした。
『白虎さま……』
『中秋節は秋の大祭だな』
『は、はい……ありがとう、ございます……』
秋までは待つ、と暗に伝えてくれたのだろう。香子は胸を撫で下ろした。
(秋の大祭……出ないわけにいかないものね)
まだ先ではあるが、それでも三、四ヶ月しかない。
(好きは、好きなんだけど……)
白虎を受け入れるにはまだハードルが高かった。
ーーーーー
「貴方色に染まる」32話辺りです。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/977111291/934161364
(私には関係ないよね)
昨日はエロ三昧だった。香子は嘆息する。大祭三日目である。大祭期間中は屋台などいろんな店が出ることから、王城の中も浮ついているような気がする。せっかくの大祭なので、こちらのことは気にせず侍女たちに休みを取らせるようにと、香子は趙文英に伝えていた。延夕玲は皇太后のところへ顔を出したりはしたようだが、基本は香子の部屋にいた。ただそれを侍女たちもプレッシャーとは感じなかったようで、思い思いに休んでくれたようだった。おそらく侍女頭と相談したりもしてくれたのだろう。
異国からの客人である紅児もまた大祭初日以降は香子の部屋にいたようだった。一緒に出かける相手が紅夏というのは気に入らないが、この国での暮らしをもっと楽しんでほしいと香子は思う。
『エリーザは客人なのだから……もっと休んでもいいのよ?』
というより紅児はもっと自由でいいと香子は思っているのだが、紅児は笑顔で応えるだけだった。本人がいいと言っているのに無理にでも休ませる必要はないだろう。香子はそれについて考えるのはやめた。
昨日は順番から言えば白虎と過ごす日だったが、起きたのが夜だったので今日共に過ごすことにしていた。
(モフりたい……)
しかし本性を現した白虎に触れるにはリスクがある。
(獣姦はさすがになぁ……)
いくらなんでも、と香子は眉を寄せる。
『香子?』
長椅子で抱き込まれていたので、さすがの白虎も香子の表情の変化に気づいたらしい。
『いえ……大祭で、朱雀さまと青龍さまの本性を見たことを思い出しまして』
『そうか』
『朱雀さまも青龍さまもすごく大きかったです』
それに比べると白虎は白銀の美しい毛並みをしているがサイズはそれほどでもないと香子は思った。
『玄武さまも大きいのでしょうか』
白虎がククッと喉の奥で笑った。
『ここだけの話だが、我らは本性の大きさを変えることができる』
『え?』
サイズ変更ができるとはどういうことかと香子は首を傾げた。
『この室に納まるくらいの大きさになることもできれば、この王城全体を覆うぐらいになることも可能だ』
『えええ?』
確かに言われてみれば、ちょうどよく天壇の広場の半分に納まるようなサイズになっていた。二神は本性を現した時微妙なサイズ修正を行っていたらしい。大きく、威厳があり、人間が畏敬の念を抱くような形を演出していたとは四神恐るべしである。
『って、ことは白虎さまも?』
『ああ。人の身に合わせてもあれぐらいにしかならぬがな』
ものすごく小さくなったりはできないようである。その本性について、香子はあることを思い出した。
『あのう……もしかして白虎さまも、本性を現していた時って私の考えとか読めました?』
もふもふサイコー! とかふおっふおっとなっていたのがバレるのはさすがにまずい。白虎のことだから読めていたとしても気にしないだろうが、香子にとっては大問題だった。白虎は少しだけ考えるような顔をした。
『ふむ……そなたから喜びの感情は伝わってきたが、考えまではわからぬな』
『なら、よかったです……』
四神に触れている状態で意識をすれば香子が思っていることを伝えることはできる。だが朱雀が本性を現していた時、香子が何を思っていたかはダダ漏れだった。だから白虎の毛を撫でていた時もそうだったのではないかと思ったが、どうも違うらしい。
(何が違うのかしら?)
首を傾げて白虎の逞しい腕を抱きしめる。男の腕なので固いのだがなんとなく落ち着くのだ。
『朱雀兄はそなたの考えが読めたのか』
『はい。なんとなく思ったことまで全部わかっていたみたいです』
『そうか』
白虎は何やら納得したように軽く頷くと、香子を抱き上げた。
『白虎さま?』
『香子、我と朱雀兄の違いはなんだ?』
『? 髪の色も目の色も違うと思いますけど……』
なんだか不穏なものを感じて香子はごまかすように答えた。
『それもそうだが、一番の違いはな』
白虎の足が寝室に向く。さすがにこれはまずいと香子は慌てた。
『我がまだそなたを抱いていないということだ』
『ムリッ! ごめんなさいまだムリです! いずれ、いずれ真面目に考えますから勘弁してください!』
寝室の床に優しく下ろされる。
『青龍もすでに受け入れたであろう。我を阻む理由はもうどこにもないはずだ』
『獣姦はムリです!! 心構えがないです! 今奪われたら白虎さまのこと大嫌いになりますーっ!!』
必死で白虎を押しのけようとする香子の様子に、さすがにしょうがないと思ったらしい。
『落ち着け』
白虎はいつになく甘い仕草で額や鼻、髪などに軽い口付けを何度も落とした。
『白虎さま……』
『中秋節は秋の大祭だな』
『は、はい……ありがとう、ございます……』
秋までは待つ、と暗に伝えてくれたのだろう。香子は胸を撫で下ろした。
(秋の大祭……出ないわけにいかないものね)
まだ先ではあるが、それでも三、四ヶ月しかない。
(好きは、好きなんだけど……)
白虎を受け入れるにはまだハードルが高かった。
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「貴方色に染まる」32話辺りです。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/977111291/934161364
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