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第3部 周りと仲良くしろと言われました
18.神様の存在自体がチートです
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『皇帝のところへ行くのですか?』
『朱雀兄が向かってくれるそうだ』
ということは自分の出番はないのだろうと香子はほっとした。とにかく不用意に人間の男に会いたくはない。
大唐の皇帝をただの「人間の男」扱いである。四神と花嫁は人間の営みからは外れているので、人間の身分制度は意味を成さない。
『皇帝がどこにいるかわかるのですか?』
香子はふと疑問に思った。皇帝の行動範囲は決まっているから大体の場所はわかるだろうが、ピンポイントで捕まえるのは難しいだろうと思ったのだ。
『ふむ……どう伝えればいいのかわからぬ』
少し白虎が考えるような顔をしたが、すぐに匙を投げた。香子ではどうやってもわからない感覚かなにかで相手のいる場所を特定するのだろう。空間移動ができるのだから当たりをつけて跳んでも問題はないだろうが、人に見られると厄介ではある。(四神の権威的な意味で)
『……確か、私が現れるという神託があった時皇帝の前に姿を現されたんですっけ』
『そのようなこともあったな』
『その時は皇帝に会うことを意識して跳んだのですか?』
『そうかもしれぬ』
目標物を指定すれば、それがどこにいるか細かくわかっていなくてもその座標に跳べるようだ。
(チートだ……やっぱり神様はチートだわ……)
香子は頭が痛くなるのを感じた。空間移動だけでもとんでもないチートなのに、目標物を指定したらそこに跳べるとかありえない。さすがにここまで細かく四神の能力を理解している者はいないだろうが、そりゃあ香子に取り入ろうとするわけである。やろうと思えば一国の皇帝など瞬時に暗殺できてしまうではないか。
『……いろいろ便利ですね』
『そうだな。あまり使わぬ故よくわからぬが……』
『それもそうですね』
四神は基本引きこもりだし。
『……今まで、花嫁関連と王城に来られる以外に外出ってされたことあるんですか?』
白虎の眉間に皺が寄る。とても珍しいものを見るなと香子は思った。なんだか皺を撫でて元に戻したくなる。
今までの記憶を辿っているのだろう。白虎は玄武ほどではないが香子よりもはるかに長く生きている。直近の十年ぐらいは覚えているかもしれないがその前はどうなのだろう。印象に残っていなければ記憶の引き出しは開かないかもしれない。
『街に……何度か出たことはあるな』
『見聞の為にございます』
白雲が補足した。数えるほどではあるが、白雲が連れ出したことはあるらしい。
『そうなのですか。何か印象に残ったことはありますか?』
『……特にない』
『そうでしたか……』
さもありなんとは思う。大体四神は何になら興味を示すのだろうか。食べ物に執着もないし、ぶっちゃけ寝る必要もない。領地の見回りをするでもないし……と本当に神様とは普段何をしているのだろうかと香子は眉間に皺を寄せた。
『難しい顔をしているぞ』
頬に白虎の唇が触れる。香子は途端に顔を綻ばせた。一気に熱が上がる。
『……先代の花嫁が先代の青龍様に嫁がれた後はどうしていたのですか?』
『……寝ていたな』
『はあ、そうですか』
こりゃだめだと香子は思った。その存在は大陸の気候を安定させる守り神でありながら、何かしたいことがあるわけでもなくただただ存在していたようである。まだ花嫁を迎える時期でもなかったことから、ただ凪いだ風のように静かにそこに在ったようだ。
(確かにそれじゃ私をどこかへ連れ出すなんて考えは生まれないわよね)
『いつか……白虎様の館の近くの街も歩いてみたいです』
『……興味があるのか?』
『ええ、大陸は広いですから、その街ごとにいろいろ違うんですよ。きっと王都の人たちの服装と、白虎様の領地の人々の服装は違うはずです。食べる物も違うでしょうし……文化や風習とか、建物の建築様式だって。言葉だって聞き取れないかもしれません』
『……楽しそうだな』
『ええ、楽しいと思います。だって、白虎様の領地を回るとしたら白虎様も一緒でしょう? 通訳とかしてもらえたらきっと素敵……』
『……香子』
額に、鼻に、頬に、そして唇に触れるだけの口づけを何度も落とされる。何が白虎のスイッチを押してしまったのか香子にはわからなかった。香子の頭に?が沢山浮かぶ。
『……白虎様?』
『……そなたは我らに”色彩”を与える。そなたを閉じ込めて、誰にも見せたくないと”占有欲(独占欲)”も生まれた。……だがそなたの心は自由だ。どこまでも我らを魅了する……』
香子を腕に抱いたまま白虎は立ち上がった。香子は慌てた。
『白虎、様! 先ほどしたではありませんかっ……!』
『? そなたのことはいつでも愛でたいが?』
『お話したいです!』
『十分しただろう』
『床は嫌ですー! まだ心の準備がっ!』
香子は抱き上げられているから押しのけることもできない。
『胸を舐めるぐらいよいだろう。あの程度なら変わらぬこともわかった故な』
どこまで白虎は胸が好きなのか。
抗議が聞き届けられるはずもなく、また香子は漢服をくつろげられ、夕飯だと呼ばれるまで白虎に胸を存分に揉まれ、舐められてしまったのだった。
『朱雀兄が向かってくれるそうだ』
ということは自分の出番はないのだろうと香子はほっとした。とにかく不用意に人間の男に会いたくはない。
大唐の皇帝をただの「人間の男」扱いである。四神と花嫁は人間の営みからは外れているので、人間の身分制度は意味を成さない。
『皇帝がどこにいるかわかるのですか?』
香子はふと疑問に思った。皇帝の行動範囲は決まっているから大体の場所はわかるだろうが、ピンポイントで捕まえるのは難しいだろうと思ったのだ。
『ふむ……どう伝えればいいのかわからぬ』
少し白虎が考えるような顔をしたが、すぐに匙を投げた。香子ではどうやってもわからない感覚かなにかで相手のいる場所を特定するのだろう。空間移動ができるのだから当たりをつけて跳んでも問題はないだろうが、人に見られると厄介ではある。(四神の権威的な意味で)
『……確か、私が現れるという神託があった時皇帝の前に姿を現されたんですっけ』
『そのようなこともあったな』
『その時は皇帝に会うことを意識して跳んだのですか?』
『そうかもしれぬ』
目標物を指定すれば、それがどこにいるか細かくわかっていなくてもその座標に跳べるようだ。
(チートだ……やっぱり神様はチートだわ……)
香子は頭が痛くなるのを感じた。空間移動だけでもとんでもないチートなのに、目標物を指定したらそこに跳べるとかありえない。さすがにここまで細かく四神の能力を理解している者はいないだろうが、そりゃあ香子に取り入ろうとするわけである。やろうと思えば一国の皇帝など瞬時に暗殺できてしまうではないか。
『……いろいろ便利ですね』
『そうだな。あまり使わぬ故よくわからぬが……』
『それもそうですね』
四神は基本引きこもりだし。
『……今まで、花嫁関連と王城に来られる以外に外出ってされたことあるんですか?』
白虎の眉間に皺が寄る。とても珍しいものを見るなと香子は思った。なんだか皺を撫でて元に戻したくなる。
今までの記憶を辿っているのだろう。白虎は玄武ほどではないが香子よりもはるかに長く生きている。直近の十年ぐらいは覚えているかもしれないがその前はどうなのだろう。印象に残っていなければ記憶の引き出しは開かないかもしれない。
『街に……何度か出たことはあるな』
『見聞の為にございます』
白雲が補足した。数えるほどではあるが、白雲が連れ出したことはあるらしい。
『そうなのですか。何か印象に残ったことはありますか?』
『……特にない』
『そうでしたか……』
さもありなんとは思う。大体四神は何になら興味を示すのだろうか。食べ物に執着もないし、ぶっちゃけ寝る必要もない。領地の見回りをするでもないし……と本当に神様とは普段何をしているのだろうかと香子は眉間に皺を寄せた。
『難しい顔をしているぞ』
頬に白虎の唇が触れる。香子は途端に顔を綻ばせた。一気に熱が上がる。
『……先代の花嫁が先代の青龍様に嫁がれた後はどうしていたのですか?』
『……寝ていたな』
『はあ、そうですか』
こりゃだめだと香子は思った。その存在は大陸の気候を安定させる守り神でありながら、何かしたいことがあるわけでもなくただただ存在していたようである。まだ花嫁を迎える時期でもなかったことから、ただ凪いだ風のように静かにそこに在ったようだ。
(確かにそれじゃ私をどこかへ連れ出すなんて考えは生まれないわよね)
『いつか……白虎様の館の近くの街も歩いてみたいです』
『……興味があるのか?』
『ええ、大陸は広いですから、その街ごとにいろいろ違うんですよ。きっと王都の人たちの服装と、白虎様の領地の人々の服装は違うはずです。食べる物も違うでしょうし……文化や風習とか、建物の建築様式だって。言葉だって聞き取れないかもしれません』
『……楽しそうだな』
『ええ、楽しいと思います。だって、白虎様の領地を回るとしたら白虎様も一緒でしょう? 通訳とかしてもらえたらきっと素敵……』
『……香子』
額に、鼻に、頬に、そして唇に触れるだけの口づけを何度も落とされる。何が白虎のスイッチを押してしまったのか香子にはわからなかった。香子の頭に?が沢山浮かぶ。
『……白虎様?』
『……そなたは我らに”色彩”を与える。そなたを閉じ込めて、誰にも見せたくないと”占有欲(独占欲)”も生まれた。……だがそなたの心は自由だ。どこまでも我らを魅了する……』
香子を腕に抱いたまま白虎は立ち上がった。香子は慌てた。
『白虎、様! 先ほどしたではありませんかっ……!』
『? そなたのことはいつでも愛でたいが?』
『お話したいです!』
『十分しただろう』
『床は嫌ですー! まだ心の準備がっ!』
香子は抱き上げられているから押しのけることもできない。
『胸を舐めるぐらいよいだろう。あの程度なら変わらぬこともわかった故な』
どこまで白虎は胸が好きなのか。
抗議が聞き届けられるはずもなく、また香子は漢服をくつろげられ、夕飯だと呼ばれるまで白虎に胸を存分に揉まれ、舐められてしまったのだった。
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