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第3部 周りと仲良くしろと言われました
42.一緒に過ごすならHも込みらしい
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午前中香子は朱雀と庭でお茶をしたりしてまったり過ごした。
張錦飛からもらった千字文を朱雀に読んでもらい、意味を聞いたりしていた。さすがにいろはにほへととはいかない。こちらの人々は感覚的に意味がわかっても香子はかみ砕いて理解していく必要があるのだ。
(そりゃあ白話運動とか起こるはずだよね……)
白話運動とは中華民国時代(1912-1949)の1915年頃に起こったとされる文学革命である。簡単に言ってしまうと、それまで文章は文語で書かれていたものを白話(口語)で書こうと提唱したものである。興味がある方は調べてみてほしい。残念ながらこちらの世界では全てが文語で書かれているので、香子が気軽にお手紙を書ける日はこなさそうである。そもそも誰にお手紙を書くのだろうか。
『こういうのって朱雀様も習うんですか?』
千字文を習っている朱雀とか、想像しただけで香子は萌えると思った。
『そうさな、我らは元々見れば全てわかるが、元から書くことはできない。だから書くことは練習したぞ』
(神様の翻訳機能パない)
香子は内心舌を巻いた。
『そうなのですね。どのような方が師につくのでしょうか』
『我らの領地には人の管理官という者がいる。その者が手配して連れてくるから素性までは知らぬな。大概は豪族が抱えている老師か文学者といったところだろう』
『眷属ならば知っていますよね』
『そうだな。知っているだろう』
朱雀が頷いた。確かにそんな手配を四神自らがするはずもないし、興味もないから覚えないだろう。こういうことはやはり眷属に尋ねるしかないのだなと香子は思ったが、その肝心の眷属はというと今日も不在だった。
(そりゃあただのお目付け役みたいなものだからいなくてもいいけどさぁ……)
朱雀の眷属である紅夏がどこにいるかわかるだけに香子は眉を寄せてしまう。紅児は真面目だから香子が部屋にいなくても部屋付の侍女として部屋に控えている。紅夏はそれを守るように、香子が部屋にいない時は部屋の近くに控えていたりするのだ。
(一歩間違うとストーカーじゃない?)
ちなみに今、庭で控えているのは延夕玲と黒月、そして数人の侍女である。だから紅夏どこ行った。
『香子、如何した?』
『……紅夏は、私の部屋の近くにいるのですよね?』
『用があるというなら呼ぶが』
『いえ、呼ばないでください』
香子としてはすごく邪魔してやりたいが、たいした用もなく呼ぼうものならとんでもなく冷たい目で睨まれてしまうだろうことは必定である。朱雀に似た容姿で睨まれるのはつらい。かえって香子がダメージを負ってしまう。
紅夏が香子の部屋の側に控えていると知った時、紅児に教えるかどうか香子は悩んだのだ。下手に教えれば紅児が恐縮してしまいそうだし、それで喧嘩になったりしたら紅夏に恨まれそうである。ああでもそんなストーカー野郎に紅児を預けるのは……とか香子としても葛藤はしたのだ。でも大事なのは紅児の気持ちだ。紅夏と共にある時、はにかんだ顔を見せる紅児はとても可愛かった。香子としては母のような、姉のような不思議な心持ちである。
昼食もつつがなく終えたら、今度こそ香子は朱雀の室に連れ込まれた。
(午後からだって愛欲の日々はいや~)
と香子は思ったが、朱雀に勝てるはずもない。
『”熱”は与えぬ。夜に存分と与えよう』
床に押し倒されて、香子は震えた。至近距離の朱雀はやっぱり素敵なのである。香子はメンクイだし、しかも朱雀のことも好きだしで、最初から抵抗ができるはずもなかったのだ。いつだって手のひらの上で転がされているだけである。
(もーやだ。素敵すぎて無理)
奪うような口づけに、香子はすぐに陥落した。
チョロインである。いや違う。純粋に愛し合っているのだ。
(ううう……愛欲の日々ぃ……)
”熱”も珍しく与えられなかったから、一通り愛し合った後香子はいたたまれない思いだった。いつも通り意地悪なことも言われたし、でも香子が泣けば甘やかされるしと忙しい。
『日の出ているうちにそなたを抱けるのはよいな。また夜も抱けると思うと、嬉しくてならぬ』
機嫌良さそうにそんなことを言われて、香子は床単をもぞもぞと被った。
(無理、もう無理ぃ~)
『そなに恥ずかしがらずともよかろう?』
『……恥ずかしい、です。慣れない、です』
『恥じらうそなたも愛らしい』
『もう……言わないでくださいぃ……』
言葉責めだと香子は涙目になった。こんな程度で言葉責めなどと言っていたらどうなってしまうのか。四神全員と身体の関係を持ったというのに、香子はまだまだ初心だった。(初心って言わないなどのツッコミはスルーします)
夕飯の前に乱れた衣裳を直しに部屋に戻った。上気していた肌はやっとその白さを取り戻したが、朱雀に抱かれた色香は隠せず侍女たちは頬を染めながら香子を整えた。侍女たち、何気にピンチである。もちろん香子はそんなこと欠片も気づいていない。
(中秋節なんだよね……月餅って手配できるのかな)
みんなに配ってもいいのだろうかとか、香子はのんきにそんなことを考えていた。
ーーーーー
千字文については第二部78話参照のこと。
張錦飛からもらった千字文を朱雀に読んでもらい、意味を聞いたりしていた。さすがにいろはにほへととはいかない。こちらの人々は感覚的に意味がわかっても香子はかみ砕いて理解していく必要があるのだ。
(そりゃあ白話運動とか起こるはずだよね……)
白話運動とは中華民国時代(1912-1949)の1915年頃に起こったとされる文学革命である。簡単に言ってしまうと、それまで文章は文語で書かれていたものを白話(口語)で書こうと提唱したものである。興味がある方は調べてみてほしい。残念ながらこちらの世界では全てが文語で書かれているので、香子が気軽にお手紙を書ける日はこなさそうである。そもそも誰にお手紙を書くのだろうか。
『こういうのって朱雀様も習うんですか?』
千字文を習っている朱雀とか、想像しただけで香子は萌えると思った。
『そうさな、我らは元々見れば全てわかるが、元から書くことはできない。だから書くことは練習したぞ』
(神様の翻訳機能パない)
香子は内心舌を巻いた。
『そうなのですね。どのような方が師につくのでしょうか』
『我らの領地には人の管理官という者がいる。その者が手配して連れてくるから素性までは知らぬな。大概は豪族が抱えている老師か文学者といったところだろう』
『眷属ならば知っていますよね』
『そうだな。知っているだろう』
朱雀が頷いた。確かにそんな手配を四神自らがするはずもないし、興味もないから覚えないだろう。こういうことはやはり眷属に尋ねるしかないのだなと香子は思ったが、その肝心の眷属はというと今日も不在だった。
(そりゃあただのお目付け役みたいなものだからいなくてもいいけどさぁ……)
朱雀の眷属である紅夏がどこにいるかわかるだけに香子は眉を寄せてしまう。紅児は真面目だから香子が部屋にいなくても部屋付の侍女として部屋に控えている。紅夏はそれを守るように、香子が部屋にいない時は部屋の近くに控えていたりするのだ。
(一歩間違うとストーカーじゃない?)
ちなみに今、庭で控えているのは延夕玲と黒月、そして数人の侍女である。だから紅夏どこ行った。
『香子、如何した?』
『……紅夏は、私の部屋の近くにいるのですよね?』
『用があるというなら呼ぶが』
『いえ、呼ばないでください』
香子としてはすごく邪魔してやりたいが、たいした用もなく呼ぼうものならとんでもなく冷たい目で睨まれてしまうだろうことは必定である。朱雀に似た容姿で睨まれるのはつらい。かえって香子がダメージを負ってしまう。
紅夏が香子の部屋の側に控えていると知った時、紅児に教えるかどうか香子は悩んだのだ。下手に教えれば紅児が恐縮してしまいそうだし、それで喧嘩になったりしたら紅夏に恨まれそうである。ああでもそんなストーカー野郎に紅児を預けるのは……とか香子としても葛藤はしたのだ。でも大事なのは紅児の気持ちだ。紅夏と共にある時、はにかんだ顔を見せる紅児はとても可愛かった。香子としては母のような、姉のような不思議な心持ちである。
昼食もつつがなく終えたら、今度こそ香子は朱雀の室に連れ込まれた。
(午後からだって愛欲の日々はいや~)
と香子は思ったが、朱雀に勝てるはずもない。
『”熱”は与えぬ。夜に存分と与えよう』
床に押し倒されて、香子は震えた。至近距離の朱雀はやっぱり素敵なのである。香子はメンクイだし、しかも朱雀のことも好きだしで、最初から抵抗ができるはずもなかったのだ。いつだって手のひらの上で転がされているだけである。
(もーやだ。素敵すぎて無理)
奪うような口づけに、香子はすぐに陥落した。
チョロインである。いや違う。純粋に愛し合っているのだ。
(ううう……愛欲の日々ぃ……)
”熱”も珍しく与えられなかったから、一通り愛し合った後香子はいたたまれない思いだった。いつも通り意地悪なことも言われたし、でも香子が泣けば甘やかされるしと忙しい。
『日の出ているうちにそなたを抱けるのはよいな。また夜も抱けると思うと、嬉しくてならぬ』
機嫌良さそうにそんなことを言われて、香子は床単をもぞもぞと被った。
(無理、もう無理ぃ~)
『そなに恥ずかしがらずともよかろう?』
『……恥ずかしい、です。慣れない、です』
『恥じらうそなたも愛らしい』
『もう……言わないでくださいぃ……』
言葉責めだと香子は涙目になった。こんな程度で言葉責めなどと言っていたらどうなってしまうのか。四神全員と身体の関係を持ったというのに、香子はまだまだ初心だった。(初心って言わないなどのツッコミはスルーします)
夕飯の前に乱れた衣裳を直しに部屋に戻った。上気していた肌はやっとその白さを取り戻したが、朱雀に抱かれた色香は隠せず侍女たちは頬を染めながら香子を整えた。侍女たち、何気にピンチである。もちろん香子はそんなこと欠片も気づいていない。
(中秋節なんだよね……月餅って手配できるのかな)
みんなに配ってもいいのだろうかとか、香子はのんきにそんなことを考えていた。
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千字文については第二部78話参照のこと。
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