異世界で四神と結婚しろと言われました

浅葱

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第3部 周りと仲良くしろと言われました

72.いつだって胸が高鳴るのです

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 とてもひどい目に遭った。
 香子からしたらそんな心境である。
 正確には、ひどく甘くて溶けてしまいそうだったかもしれない。
 四神に抱かれるたびに香子の身体は作り替わっている。その肌は透き通るように白く、触れればほどよい弾力がありまるで絹のような滑らかさだ。侍女たちが香子を洗う際や着替え等で触れる度にため息を押し殺すほどである。それに抱かれた色香まで加われば、同性である侍女たちもくらくらしてしまうほどだった。
 しかし香子もそうだが四神も眷属もそれを根本的に理解しているわけではない。
 翌朝おなかがすいたと香子が訴え、朝食を終えたところで茶会への正式な書状がもたらされた。
 明日の昼食後、申の刻(三時頃)に御花園でとのことだった。広い四阿はあったからそこで集まるのだろうと香子は当たりを付けた。
 案内は例によって王英明がするのだろうから香子たちは趙文英と共にただ着いていくだけでいい。二刻(約一時間)ほどお茶菓子をいただいてから辞せば皇帝の面子は保たれるはずだ。
 そう、香子は自分に言い聞かせた。
 だが正直言うと香子はそういう場が苦手である。口を利く必要がないだけいいが、それでも自分が注目を浴びるのは勘弁してもらいたい。

(ずっと……四神とまったり暮らしていけたらいいのにな……)

 朝食を終えて着替えをさせられ、今は青龍の腕の中だ。誰の腕の中にいても香子はどきどきしてしまう。自分が思っているより香子は四神が好きになっているようだった。青龍が腰掛けている上に座らせられながら、香子は無意識に青龍の腕を両手でぎゅっと抱きしめた。四神の腕の中にいるとどきどきするのだが、それだけでなくすごい安心感もある。

香子シャンズ……そなにかわいいことをしてくれるな』
『……え……?』

 香子は青龍の腕を抱きしめたまま首を傾げ、そして自分がしていたことに気づいて真っ赤になった。

『あ、ああああのっ……これは……』
『そなたが不安定なのはわかっているつもりだが、あまりかわいいことをされると我の理性が持たぬ』
『~~~~ッッ!』

 香子はどう返したらいいのかわからなくて口をぱくぱくと動かすことしかできない。それもこれも全て皇帝が悪いのだと香子は責任転嫁することにした。

『香子……触れさせよ』
『だめ、です……』
『抱きはせぬ。そなたを愛でたい』
『ううう……お昼ごはんは、食べたいです』
『ではそれまで、な』

 そう言われてしまえば逆らうすべはなかった。書を習うとか練習に付き合ってもらうというのでなければ特にやることなどない。それに四神も眷属も香子が四神と愛を交わすのが当然と思っているから始末が悪い。

(愛欲の日々は嫌なのに~……)

 抱き上げられて寝室に運ばれる。香子は最近触れられることに抵抗が薄くなってきていることに気づいて愕然とした。
 たっぷりと甘く触れられて、ようやく昼になった。

『あ……あ……』
『名残惜しいが昼飯は食べるのだったな……』

 ぴくん、ぴくん、と快感に震える香子はどうにか理性を取り戻そうとがんばった。青龍が髪に口づける。

『香子、昼食後はまた触れさせてくれ』
『や……むり、ですぅ……』

 そんなにそんなに触れられたら抱かれたくなってしまうから香子は首を振った。
 白状すれば、香子は四神に抱かれるのが好きになってしまっていた。
 チョロインである。触れられるとすぐに蕩けてしまう。

(もー、この身体いやー! 快感に弱すぎるー!)

 香子は内心悲鳴を上げた。
 元々そんなに感じる方ではなかったと香子は思う。そこまで抱かれたことはなかったからかもしれないが、玄武に触れられてからヘンになってしまった。

『香子、香子……』
『んっ、んっ……』

 青龍に何度も触れるような口づけを受けてからようやく香子は解放された。昼から爛れていると思いながらも四神には逆らえない。

(私、淫乱になっちゃった?)

 こう思うのも何度目か。
 言ったらひどい目に遭うのはわかっているから言わない。さすがにそれぐらいの分別はつくようになった。
 やっと部屋に送ってもらって着替えをし、昼食の準備が整っているということで食堂へ向かった。やっぱり昼に身体を触れられることには抵抗がある。でも香子の役目はそうなのだ。四神全てを受け入れ、最初の夫を決めるのが香子の仕事である。
 今日の昼食もおいしかった。
 季節外れではあったが、夏野菜とナッツやキノコ類、そして鶏肉をふんだんに使った炒め物が出された。茄鲞(チエシャン)と呼ばれる料理だと香子は教えてもらった。味は鶏ガラをベースとしたもので、ごはんにかけて食べたいと思ったのでごはんをもらって食べた。

『茄子なんてまだ採れるの?』

 と聞けば南方から入ってきたのだという。あとはキノコ料理とか、とにかく香子が好きな料理が並んでいた。

(ヘーゼルナッツが入ってる……)

 避暑地と言われる承徳でヘーゼルナッツを使った料理を食べたことを香子は思い出した。茄鲞が来年の夏も食べられたらいいなと香子はしみじみ思った。

『青龍様』
『如何か?』
『午後は書を見てもらえますか?』
『我は厳しいぞ』
『お願いします』

 日々練習しなければうまくはならない。明日平常心で過ごす為には書を練習することが肝要だと香子は思った。
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