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第3部 周りと仲良くしろと言われました
120.四神の花嫁にできることとはなんでしょう
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茶室を出た後、香子はまた朱雀の室に連れて行かれた。
朱雀は香子の好きなようにさせてくれたので、香子は朱雀にぴっとりとくっついていた。
『……子どものようだな』
『今は子どもでもいいです……』
香子は朱雀の胸に擦り寄った。それぐらい甘えてもいいだろうと香子は開き直っていた。紅児を紅夏に取られて悔しいのだ。しかも紅児は近々帰国してしまうかもしれない。香子は寂しくて切なくてしょうがなかった。
そんなかんじで朱雀にずっとしがみついていたが、夕方にはまた紅児と紅夏がやってきた。
もう一度叔父と面会し、話をしたいのだそうだ。帰国するとしたら二か月は同じ船の上だ。その前にできるだけ話はした方がいいだろうということは香子も同意する。だからそれは笑顔で請け負った。
『でも私がすることは前回と変わらないわ。エリーザは紅夏に嫁いだから、後見人としての関係は終りになるし。私ができるのは橋渡しだけ。だからエリーザが叔父さんと会うのは構わないけど、それについての手助けとかは紅夏がしっかりしてね』
『はい』
紅夏の返事は一言だけだった。他に何か言うことはないのかと香子は思ったが、番を得た眷属なんてそんなものかと内心嘆息した。
『紅夏、白雲を呼んでちょうだい』
『承知しました』
二人が退室する際、それだけ伝えた。
『……朱雀様、やっぱり誰かいないのは不便です』
『それもそうだな』
四神はただ己の眷属を呼び付ければいいだけかもしれないが、香子にはそれができない。趙と直接のやりとりが認められないのならば眷属を一人控えさせてほしいと香子は思った。一応今部屋の外には黒月が控えているのだろうが、黒月は香子の守護だから誰かを呼びにやらせるわけにはいかないのである。
一応紅児をどういう経緯で四神宮に保護したのかは、香子が主導して書面で紅児の叔父に伝えてはある。だから紅夏と出会ったことについてはしかたがないとわかってはくれるはずだ。
『お呼びでしょうか』
白雲が来たので、趙か王を通じて紅児が叔父に会いたがっていることを伝えるよう言った。白雲はいつものポーカーフェイスで『承知しました』と答えて朱雀の室を出て行った。
『朱雀様、一人眷属を手配してください』
『わかった』
『それから、手配したら紅夏に伝えてください』
『何故?』
『紅夏が朱雀様の手を離れたとはいえ、それを伝えるのは当然のことです。連絡はきっちりしてください』
『わかった』
報連相のなんたるかがわかっていないのは困ると、香子は不機嫌になった。最初四神は世話係としての眷属は不要だと言っていたが、やはり必要だと香子は思う。香子をできるだけ人間の男に触れさせたくないと思うのならば、眷属に趙や王に連絡する係をしてもらうしかないのである。四神は自分の意志は相手に伝えられるからそれほど苦労しないかもしれないが、香子にはそれができないのだから。
『朱雀様』
『如何した?』
『私、もう人ではないって聞きましたけど……じゃあいったいどんな存在になったのですか?』
『そなたは我らの花嫁だろう』
そんな当たり前みたいなことを言われても、と香子の眉間に皺が寄った。相変わらず会話がうまく通じていないが、神様相手なんていうのはこんなものである。
『……私が人間と違うところってどこなのでしょう? 四神と共に長生きする以外の特徴みたいなものはあるのでしょうか?』
朱雀は少し考えるような顔をした。
『……我ら四神を引きつけるのはそなただけだ』
(そーゆーことじゃなくてっ!)
『何か人間と違ってできることの話ですよっ! 四神の花嫁なんですから四神を引きつけるのは当たり前じゃないですかっ!』
『……人と違ってできること?』
皆目見当がつかないようだった。朱雀に聞いたのが間違いだったと香子はがっくりと肩を落とした。
夕飯後、茶室にて香子は眷属たちに尋ねてみた。もうダメ元である。
白雲と青藍が顔を見合わせた。紅夏はすでにここにはいない。
『……そうですね。花嫁さまは四神に触れることで意志の疎通を図ることが可能であったかと。花嫁でなければ四神から一方的に何かを伝えられることはあっても意志を交わすことは不可能です。他には……四神と共にそのままの姿で生き、四神の子を成すことができるということでしょうか』
白雲が考えながらそう答えた。
そうだった。香子は四神の子を産まなければならないのだった。
『私が離れた相手に意志を伝えることはできないのよね?』
『それはできないかと思われます。ただ花嫁さまの感情の動きは四神に伝わりますので、なにかあれば四神が飛んでいくでしょう』
そんなこともあったと香子は思い出した。部屋で泣いていた香子の元へ玄武がやってきたこともあった。
そう考えると、香子は随分自分の感情で四神を振り回しているのだなと改めて思った。
『そうね。白雲、ありがとう』
離れた相手に何かを伝えられるなら便利だと、香子は考えただけだった。さすがにそういうことはできないらしい。
人ではなくなったと聞かされても、香子はまだあまり実感がわかなかった。
ーーーーー
「貴方色に染まる」は98,99話辺りです。
朱雀は香子の好きなようにさせてくれたので、香子は朱雀にぴっとりとくっついていた。
『……子どものようだな』
『今は子どもでもいいです……』
香子は朱雀の胸に擦り寄った。それぐらい甘えてもいいだろうと香子は開き直っていた。紅児を紅夏に取られて悔しいのだ。しかも紅児は近々帰国してしまうかもしれない。香子は寂しくて切なくてしょうがなかった。
そんなかんじで朱雀にずっとしがみついていたが、夕方にはまた紅児と紅夏がやってきた。
もう一度叔父と面会し、話をしたいのだそうだ。帰国するとしたら二か月は同じ船の上だ。その前にできるだけ話はした方がいいだろうということは香子も同意する。だからそれは笑顔で請け負った。
『でも私がすることは前回と変わらないわ。エリーザは紅夏に嫁いだから、後見人としての関係は終りになるし。私ができるのは橋渡しだけ。だからエリーザが叔父さんと会うのは構わないけど、それについての手助けとかは紅夏がしっかりしてね』
『はい』
紅夏の返事は一言だけだった。他に何か言うことはないのかと香子は思ったが、番を得た眷属なんてそんなものかと内心嘆息した。
『紅夏、白雲を呼んでちょうだい』
『承知しました』
二人が退室する際、それだけ伝えた。
『……朱雀様、やっぱり誰かいないのは不便です』
『それもそうだな』
四神はただ己の眷属を呼び付ければいいだけかもしれないが、香子にはそれができない。趙と直接のやりとりが認められないのならば眷属を一人控えさせてほしいと香子は思った。一応今部屋の外には黒月が控えているのだろうが、黒月は香子の守護だから誰かを呼びにやらせるわけにはいかないのである。
一応紅児をどういう経緯で四神宮に保護したのかは、香子が主導して書面で紅児の叔父に伝えてはある。だから紅夏と出会ったことについてはしかたがないとわかってはくれるはずだ。
『お呼びでしょうか』
白雲が来たので、趙か王を通じて紅児が叔父に会いたがっていることを伝えるよう言った。白雲はいつものポーカーフェイスで『承知しました』と答えて朱雀の室を出て行った。
『朱雀様、一人眷属を手配してください』
『わかった』
『それから、手配したら紅夏に伝えてください』
『何故?』
『紅夏が朱雀様の手を離れたとはいえ、それを伝えるのは当然のことです。連絡はきっちりしてください』
『わかった』
報連相のなんたるかがわかっていないのは困ると、香子は不機嫌になった。最初四神は世話係としての眷属は不要だと言っていたが、やはり必要だと香子は思う。香子をできるだけ人間の男に触れさせたくないと思うのならば、眷属に趙や王に連絡する係をしてもらうしかないのである。四神は自分の意志は相手に伝えられるからそれほど苦労しないかもしれないが、香子にはそれができないのだから。
『朱雀様』
『如何した?』
『私、もう人ではないって聞きましたけど……じゃあいったいどんな存在になったのですか?』
『そなたは我らの花嫁だろう』
そんな当たり前みたいなことを言われても、と香子の眉間に皺が寄った。相変わらず会話がうまく通じていないが、神様相手なんていうのはこんなものである。
『……私が人間と違うところってどこなのでしょう? 四神と共に長生きする以外の特徴みたいなものはあるのでしょうか?』
朱雀は少し考えるような顔をした。
『……我ら四神を引きつけるのはそなただけだ』
(そーゆーことじゃなくてっ!)
『何か人間と違ってできることの話ですよっ! 四神の花嫁なんですから四神を引きつけるのは当たり前じゃないですかっ!』
『……人と違ってできること?』
皆目見当がつかないようだった。朱雀に聞いたのが間違いだったと香子はがっくりと肩を落とした。
夕飯後、茶室にて香子は眷属たちに尋ねてみた。もうダメ元である。
白雲と青藍が顔を見合わせた。紅夏はすでにここにはいない。
『……そうですね。花嫁さまは四神に触れることで意志の疎通を図ることが可能であったかと。花嫁でなければ四神から一方的に何かを伝えられることはあっても意志を交わすことは不可能です。他には……四神と共にそのままの姿で生き、四神の子を成すことができるということでしょうか』
白雲が考えながらそう答えた。
そうだった。香子は四神の子を産まなければならないのだった。
『私が離れた相手に意志を伝えることはできないのよね?』
『それはできないかと思われます。ただ花嫁さまの感情の動きは四神に伝わりますので、なにかあれば四神が飛んでいくでしょう』
そんなこともあったと香子は思い出した。部屋で泣いていた香子の元へ玄武がやってきたこともあった。
そう考えると、香子は随分自分の感情で四神を振り回しているのだなと改めて思った。
『そうね。白雲、ありがとう』
離れた相手に何かを伝えられるなら便利だと、香子は考えただけだった。さすがにそういうことはできないらしい。
人ではなくなったと聞かされても、香子はまだあまり実感がわかなかった。
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「貴方色に染まる」は98,99話辺りです。
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