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第3部 周りと仲良くしろと言われました
133.自己主張ははっきりするべきです
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今日は青龍と過ごすことになっている。
香子は書を見てもらいたいと青龍に頼んだ。青龍は苦笑した。
『……我と過ごす理由は、書しかないのか?』
『そんなことはありません。二刻(約一時間)程見ていただければと思うのですが……無理そうであればいいです』
香子も青龍と過ごす時は書ばかりだとは思っている。だが他に見てくれる人がいないのだ。
(いっそのこと、夕玲に見てもらおうかしら)
それならそれでいいような気もした。その代わりその時間青龍と過ごすつもりはない。集中して練習をしたいからだ。
『青龍様。私、夕玲に頼んでみます。指導まではできないでしょうが、おかしいところは伝えてもらえると思いますので』
『そうか』
『ですので、部屋に戻りますね』
青龍は一瞬目を見張った。
『……何故そうなる』
『できることなら毎日練習したいのです。昨日はそれどころではありませんでしたが、今日は一日ありますから。午前中は書の練習をしてきますね』
『……我と共にはいてくれぬのか?』
香子は首を傾げた。
『青龍様が書を見て下さらないのに一緒にいてどうするのですか?』
『我はそなたと共にいたいのだが……』
『気が散るのでできれば遠慮していただきたいです』
香子はきっぱり言った。ただでさえプライバシーというものがないのだ。書の練習ぐらい集中してやりたい。もちろん青龍が教えてくれるのならばその限りではない。
『はっきり言うのだな』
『はっきり言わないと伝わらないでしょう』
特に四神には。
四神に空気を読むことはできないと香子は思う。朱雀はあえて空気を読まないようにしているみたいだが、青龍は違う。
(周りの環境とかもそうかもしれないけど、生きてる長さじゃないんだろうなぁ)
後は、やはり四神は神だから違うのだ。
青龍はため息を吐いた。
『我を脅すとは……そんなことができるのはそなただけだぞ』
『脅してなんかいませんよ!』
それはさすがに言いがかりも甚だしい。香子は筆でキレイに文字が書きたいだけなのだ。だが練習する時間もないし、付き合ってくれる人もいなくて困っている。そんな午前中いっぱい教えろとか言っているわけではないのだから、付き合ってくれてもいいではないかと香子は思っているだけだった。
『わかった。……我が見よう』
『いいんですか?』
『選択肢などない。そなたの書の上達については我も責任を持とう』
『えええ?』
そこまで壮大な話ではなかったはずだが、と香子は思ったが青龍がやる気なので付き合ってもらうことにした。
……相変わらず青龍はスパルタではあったが。
(もう少し加減というものはないのか……)
香子は恨めしそうに青龍を眺めた。
青龍の指導は本当に容赦がなかった。だが上から筆を持つ手を取られて、『このように』と真面目に教えてくれる姿に、香子が少しだけときめいたのも確かだった。
ダメ出しは多かったし、張がかなり遠慮して指導してくれていることもわかり、香子は久しぶりにほんのちょっとだけ落ち込んだ。習い始めてからそんなに日が経っているわけではないし、それに三日に一度という指導もなんやかんやあってなかなか受けられない日も多い。
(もう少し、自分がキレイに字を書けるイメトレをした方がいいかもしれない)
具体的な目標がなければ上達は難しい。千字文を全て美しく書くというのは壮大だ。せめて自分の名前ぐらいは、と思いながら香子は練習したのだった。
茶室を片付けてもらい、香子は一息ついた。
『やはり……練習は毎日した方がいいのでしょうね……』
『それは間違いない』
香子の淹れた茶を青龍が飲む。
『……この茶の淹れ方も誰かから学んだのであろう?』
『あー……これは”耳濡目染(耳に慣れ目に染まる、見よう見まね)”なんですよ』
『どういうことか?』
『私お茶を飲むのが好きなので、よくお茶葉を売っている店に通っていたんです。そこで試し飲みをさせてもらってから毎回茶葉を買っていまして。だからやり方は目で見て覚えたんです。その後で学校に茶館ができて、そこでもこのようなやり方でお茶を淹れてもらっていました。あんまり通うからやり方も教えてもらいましたし、口上も覚えたんですよ』
『そうか。そなたにとって茶を淹れるのは日常のことであったのだな』
『そうですね。大陸に住んでからは、当たり前のことでした』
『書はそのようにはいかぬか』
『そもそも筆で字を書く習慣がないんですよ。習いますけど……私は好きじゃなかったから……』
『ならば練習あるのみだな』
青龍が納得したように言う。香子も頷いた。
『そうですね。青龍様、付き合ってください』
『ああ、それでそなたと過ごせる時間が増えるのならば』
香子は笑んだ。
『はい』
青龍に少しだけ悪いと香子は思った。だが、こればかりはしょうがない。四神の花嫁は一人しかいないのだから。
(まぁでも、不思議な話よね)
四神に花嫁が一人だけな理由はわかっているが、それならば神々が四神をそのように調整すればいいだけのことである。それをしないということは?
(人間の心理がわからないだけ? まさかね)
お茶を飲んだ後は青龍の腕に抱かれて青龍の室へ移動する。今日も触れられてしまうに違いなかった。
香子は書を見てもらいたいと青龍に頼んだ。青龍は苦笑した。
『……我と過ごす理由は、書しかないのか?』
『そんなことはありません。二刻(約一時間)程見ていただければと思うのですが……無理そうであればいいです』
香子も青龍と過ごす時は書ばかりだとは思っている。だが他に見てくれる人がいないのだ。
(いっそのこと、夕玲に見てもらおうかしら)
それならそれでいいような気もした。その代わりその時間青龍と過ごすつもりはない。集中して練習をしたいからだ。
『青龍様。私、夕玲に頼んでみます。指導まではできないでしょうが、おかしいところは伝えてもらえると思いますので』
『そうか』
『ですので、部屋に戻りますね』
青龍は一瞬目を見張った。
『……何故そうなる』
『できることなら毎日練習したいのです。昨日はそれどころではありませんでしたが、今日は一日ありますから。午前中は書の練習をしてきますね』
『……我と共にはいてくれぬのか?』
香子は首を傾げた。
『青龍様が書を見て下さらないのに一緒にいてどうするのですか?』
『我はそなたと共にいたいのだが……』
『気が散るのでできれば遠慮していただきたいです』
香子はきっぱり言った。ただでさえプライバシーというものがないのだ。書の練習ぐらい集中してやりたい。もちろん青龍が教えてくれるのならばその限りではない。
『はっきり言うのだな』
『はっきり言わないと伝わらないでしょう』
特に四神には。
四神に空気を読むことはできないと香子は思う。朱雀はあえて空気を読まないようにしているみたいだが、青龍は違う。
(周りの環境とかもそうかもしれないけど、生きてる長さじゃないんだろうなぁ)
後は、やはり四神は神だから違うのだ。
青龍はため息を吐いた。
『我を脅すとは……そんなことができるのはそなただけだぞ』
『脅してなんかいませんよ!』
それはさすがに言いがかりも甚だしい。香子は筆でキレイに文字が書きたいだけなのだ。だが練習する時間もないし、付き合ってくれる人もいなくて困っている。そんな午前中いっぱい教えろとか言っているわけではないのだから、付き合ってくれてもいいではないかと香子は思っているだけだった。
『わかった。……我が見よう』
『いいんですか?』
『選択肢などない。そなたの書の上達については我も責任を持とう』
『えええ?』
そこまで壮大な話ではなかったはずだが、と香子は思ったが青龍がやる気なので付き合ってもらうことにした。
……相変わらず青龍はスパルタではあったが。
(もう少し加減というものはないのか……)
香子は恨めしそうに青龍を眺めた。
青龍の指導は本当に容赦がなかった。だが上から筆を持つ手を取られて、『このように』と真面目に教えてくれる姿に、香子が少しだけときめいたのも確かだった。
ダメ出しは多かったし、張がかなり遠慮して指導してくれていることもわかり、香子は久しぶりにほんのちょっとだけ落ち込んだ。習い始めてからそんなに日が経っているわけではないし、それに三日に一度という指導もなんやかんやあってなかなか受けられない日も多い。
(もう少し、自分がキレイに字を書けるイメトレをした方がいいかもしれない)
具体的な目標がなければ上達は難しい。千字文を全て美しく書くというのは壮大だ。せめて自分の名前ぐらいは、と思いながら香子は練習したのだった。
茶室を片付けてもらい、香子は一息ついた。
『やはり……練習は毎日した方がいいのでしょうね……』
『それは間違いない』
香子の淹れた茶を青龍が飲む。
『……この茶の淹れ方も誰かから学んだのであろう?』
『あー……これは”耳濡目染(耳に慣れ目に染まる、見よう見まね)”なんですよ』
『どういうことか?』
『私お茶を飲むのが好きなので、よくお茶葉を売っている店に通っていたんです。そこで試し飲みをさせてもらってから毎回茶葉を買っていまして。だからやり方は目で見て覚えたんです。その後で学校に茶館ができて、そこでもこのようなやり方でお茶を淹れてもらっていました。あんまり通うからやり方も教えてもらいましたし、口上も覚えたんですよ』
『そうか。そなたにとって茶を淹れるのは日常のことであったのだな』
『そうですね。大陸に住んでからは、当たり前のことでした』
『書はそのようにはいかぬか』
『そもそも筆で字を書く習慣がないんですよ。習いますけど……私は好きじゃなかったから……』
『ならば練習あるのみだな』
青龍が納得したように言う。香子も頷いた。
『そうですね。青龍様、付き合ってください』
『ああ、それでそなたと過ごせる時間が増えるのならば』
香子は笑んだ。
『はい』
青龍に少しだけ悪いと香子は思った。だが、こればかりはしょうがない。四神の花嫁は一人しかいないのだから。
(まぁでも、不思議な話よね)
四神に花嫁が一人だけな理由はわかっているが、それならば神々が四神をそのように調整すればいいだけのことである。それをしないということは?
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お茶を飲んだ後は青龍の腕に抱かれて青龍の室へ移動する。今日も触れられてしまうに違いなかった。
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