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第4部 四神を愛しなさいと言われました
9.初めてのお出かけかもしれません
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甘く、蕩けるような時間だった。
全身を朱雀の熱とテナー、玄武のバリトンに包まれて、香子は全身が溶けてなくなるのではないかと思った。
その声も顔も身体も、与えらえる熱も、溢れんばかりの愛も、香子は自分でいいのかと尻込みしそうになるほどだ。
「や……ぁ……溶けちゃ……ぁあっ……」
もう違う国の言葉なんて出てこない。だが玄武も朱雀も香子の言葉は聞ける。心にも触れる。
『香子……香子……』
『愛している』
甘すぎて死んでしまう、と香子は思った。
ごはんだけは定期的に与えられていたから、香子も泣きたくなるほどの空腹は覚えなかった。青龍の時は水分補給だけで延々抱かれるからそれなりにつらい。本当は丸一日香子を抱き続けたいと言われている。二十四時間耐久セックスは無理だと香子はきっぱり断った。抱かれ続けることで与えられる快感もそうだが、なにより空腹で楽しめない。
(うん……四神とのHは……嫌いじゃない)
翌々日の朝食をいただきながら、香子は頬を染めた。
今日はもう朱雀の領地へ向かう日である。一日ワープしている。本当に一日中抱かれていたのだなと思っただけで、香子の頬がまた熱くなった。
『香子』
香子の椅子になっている玄武が香子を呼んだ。
『はい?』
『そなに赤くなっていると、また抱きたくなってしまう』
『も、もうだめです!』
顔の熱がなかなか去らないのに更に全身熱くなるようなことを言うとは何事か。香子は手に取った肉包(肉まん)を玄武の口に突っ込んだ。玄武が目を見開く。そんな表情もなかなか見られるものではないので香子はクスクス笑った。
『……なんということするのだ』
肉包を上品に食べ終えてから、玄武が抗議した。
『玄武様がとんでもないことを言うからです。私、今日のお出かけは本当に楽しみにしているんですよ? 玄武様に……そのう……抱かれるのは嫌ではないですけど……今ではないです』
言ってから香子は余計なことをまた言ってしまったかもと冷汗をかいた。
『……そなたは我らを煽るのがうまいな』
玄武の横に腰掛けて、同じように食事をしていた朱雀が意地悪そうに呟いた。
『っ! あ、煽ったつもりはございません! もうっ、玄武様と朱雀様が悪いんですっ!』
『そうだな』
玄武は素直に同意した。
『思い出すだけでいくらでも抱ける』
朱雀がふふんと得意そうな顔をした。そんなに抱かれてはかなわないと、香子は首を振った。
『今日はダメですよ。これから支度して……出かけるんですから』
『そうだな。領地にいる者たちに通達はしてあるが、早めに向かった方がよかろう』
朱雀が言い、香子は饅頭(マントウ)に搾菜などを挟んでかぶりついた。このふかふかの饅頭が最高である。肉まんの皮だけと言えないこともないが、饅頭はふかふかの白い面包なのだ。そのまま食べてもいいし、間にいろいろなものを挟んで食べてもいい。春巻も当然ながら用意されていたので、香子はこれでもかと食べた。
そうして朝食を堪能してから支度をし、連れに来た朱雀の腕の中に香子は収まった。
今回は朱雀の衣裳に合わせて内側の袍は臙脂色で、裙子(スカート)は薄めの灰色である。長袍は黒で、それに朱雀が刺繍してある見事なものだ。
化粧や髪型、衣裳を担当する侍女たちは自分たちの作品の出来栄えにほうとため息をついた。香子は自分が平凡な顔だと思っているがそんなことはない。最初ここに来た時はかわいいかも? と言えるぐらいであった香子だが、四神に愛されることで本当に美しくなっている。顔の造作が変わったわけではないが、肌は透き通るように白くなり、きめ細やかで、スタイルも更にメリハリがつき、愛されているという自信が香子をとにかく魅力的にしていた。
『そなたを見るほどに愛おしくなる。どれ、白虎と青龍に見せてやろう』
朱雀が香子を抱いたまま歩き出した。
今日は白虎と青龍の顔を見るのは戻ってきてからかもしれないと思っていたから、顔を見れたことが香子は嬉しかった。朱雀はこういう気遣いがうまい。
『そのうちうちの領地にも来てもらいたいものだ』
白虎にそう言われて、香子は頬を染めた。誰かの領地に行くにはいろいろ段階というものがあることを香子も知ったからである。
『そ、そのうち、デス……』
『うむ。夜には戻ってくるのだろう』
『そのつもりではいるが……』
『泊まりになるようであれば早めに知らせを寄こされよ』
『そうしよう』
香子に聞こえるように二神が会話してくれるのが嬉しいと思った。青龍の室へ向かうと、似たようなことを言われた。
『青龍の領地へ向かうとなれば一日ではきかぬだろう』
『そうですね。最低二晩は香子を抱かなければ……』
『……行きません』
きっぱりと香子は答える。あれ以上抱かれ続けたら死んでしまうと香子は蒼褪めた。
そんなやりとりを経て、出かける前だというのに香子はもう疲れてしまった。これはめいっぱい朱雀の領地を堪能させてもらわないとわりに合わないなどと香子は思う。
そうして玄武と合流し、趙文英に声をかけてから朱雀の領地へと移動したのだった。
全身を朱雀の熱とテナー、玄武のバリトンに包まれて、香子は全身が溶けてなくなるのではないかと思った。
その声も顔も身体も、与えらえる熱も、溢れんばかりの愛も、香子は自分でいいのかと尻込みしそうになるほどだ。
「や……ぁ……溶けちゃ……ぁあっ……」
もう違う国の言葉なんて出てこない。だが玄武も朱雀も香子の言葉は聞ける。心にも触れる。
『香子……香子……』
『愛している』
甘すぎて死んでしまう、と香子は思った。
ごはんだけは定期的に与えられていたから、香子も泣きたくなるほどの空腹は覚えなかった。青龍の時は水分補給だけで延々抱かれるからそれなりにつらい。本当は丸一日香子を抱き続けたいと言われている。二十四時間耐久セックスは無理だと香子はきっぱり断った。抱かれ続けることで与えられる快感もそうだが、なにより空腹で楽しめない。
(うん……四神とのHは……嫌いじゃない)
翌々日の朝食をいただきながら、香子は頬を染めた。
今日はもう朱雀の領地へ向かう日である。一日ワープしている。本当に一日中抱かれていたのだなと思っただけで、香子の頬がまた熱くなった。
『香子』
香子の椅子になっている玄武が香子を呼んだ。
『はい?』
『そなに赤くなっていると、また抱きたくなってしまう』
『も、もうだめです!』
顔の熱がなかなか去らないのに更に全身熱くなるようなことを言うとは何事か。香子は手に取った肉包(肉まん)を玄武の口に突っ込んだ。玄武が目を見開く。そんな表情もなかなか見られるものではないので香子はクスクス笑った。
『……なんということするのだ』
肉包を上品に食べ終えてから、玄武が抗議した。
『玄武様がとんでもないことを言うからです。私、今日のお出かけは本当に楽しみにしているんですよ? 玄武様に……そのう……抱かれるのは嫌ではないですけど……今ではないです』
言ってから香子は余計なことをまた言ってしまったかもと冷汗をかいた。
『……そなたは我らを煽るのがうまいな』
玄武の横に腰掛けて、同じように食事をしていた朱雀が意地悪そうに呟いた。
『っ! あ、煽ったつもりはございません! もうっ、玄武様と朱雀様が悪いんですっ!』
『そうだな』
玄武は素直に同意した。
『思い出すだけでいくらでも抱ける』
朱雀がふふんと得意そうな顔をした。そんなに抱かれてはかなわないと、香子は首を振った。
『今日はダメですよ。これから支度して……出かけるんですから』
『そうだな。領地にいる者たちに通達はしてあるが、早めに向かった方がよかろう』
朱雀が言い、香子は饅頭(マントウ)に搾菜などを挟んでかぶりついた。このふかふかの饅頭が最高である。肉まんの皮だけと言えないこともないが、饅頭はふかふかの白い面包なのだ。そのまま食べてもいいし、間にいろいろなものを挟んで食べてもいい。春巻も当然ながら用意されていたので、香子はこれでもかと食べた。
そうして朝食を堪能してから支度をし、連れに来た朱雀の腕の中に香子は収まった。
今回は朱雀の衣裳に合わせて内側の袍は臙脂色で、裙子(スカート)は薄めの灰色である。長袍は黒で、それに朱雀が刺繍してある見事なものだ。
化粧や髪型、衣裳を担当する侍女たちは自分たちの作品の出来栄えにほうとため息をついた。香子は自分が平凡な顔だと思っているがそんなことはない。最初ここに来た時はかわいいかも? と言えるぐらいであった香子だが、四神に愛されることで本当に美しくなっている。顔の造作が変わったわけではないが、肌は透き通るように白くなり、きめ細やかで、スタイルも更にメリハリがつき、愛されているという自信が香子をとにかく魅力的にしていた。
『そなたを見るほどに愛おしくなる。どれ、白虎と青龍に見せてやろう』
朱雀が香子を抱いたまま歩き出した。
今日は白虎と青龍の顔を見るのは戻ってきてからかもしれないと思っていたから、顔を見れたことが香子は嬉しかった。朱雀はこういう気遣いがうまい。
『そのうちうちの領地にも来てもらいたいものだ』
白虎にそう言われて、香子は頬を染めた。誰かの領地に行くにはいろいろ段階というものがあることを香子も知ったからである。
『そ、そのうち、デス……』
『うむ。夜には戻ってくるのだろう』
『そのつもりではいるが……』
『泊まりになるようであれば早めに知らせを寄こされよ』
『そうしよう』
香子に聞こえるように二神が会話してくれるのが嬉しいと思った。青龍の室へ向かうと、似たようなことを言われた。
『青龍の領地へ向かうとなれば一日ではきかぬだろう』
『そうですね。最低二晩は香子を抱かなければ……』
『……行きません』
きっぱりと香子は答える。あれ以上抱かれ続けたら死んでしまうと香子は蒼褪めた。
そんなやりとりを経て、出かける前だというのに香子はもう疲れてしまった。これはめいっぱい朱雀の領地を堪能させてもらわないとわりに合わないなどと香子は思う。
そうして玄武と合流し、趙文英に声をかけてから朱雀の領地へと移動したのだった。
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