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第4部 四神を愛しなさいと言われました
15.ごはんもおいしいし、温泉もあるみたいです
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昼食も豪勢だったが、夕飯は更に豪華だった。
魚や海老など海鮮系の料理がずらりと並び、香子は目を丸くした。
夕飯は食堂へ移動して食べることになった。ここもまたそれなりに広かった。広すぎて香子はなんとなく落ち着かないと思ったが、香子は相変わらず朱雀の腕の中である。椅子の上でも朱雀は香子を放してくれない。すぐ隣には玄武もいるからそちらに顔を向ければ玄武も香子を見てくれる。落ち着かないは落ち着かないが、朱雀と玄武がいるから大丈夫だと香子は自分に言い聞かせた。
昼食の際も思ったが、この辺りの料理は淡泊なものが多いらしい。王城で食べるものより油は少なめで、広東料理を髣髴とさせる。香子は大陸の各地を旅した時も、楽しみはやはりその地の料理であった。
『魚も海老もおいしいです……場所で料理も違いますね』
『そのようだな』
朱雀が相槌を打つ。
『朱雀様も玄武様も以前はあまり料理は召し上がられなかったのでしたっけ』
『ああ、基本的には必要ない故な。習慣として少しは口にするが、そなたのように食事を楽しむということはなかった』
『……香子に会う前はどのように食べていたかあまり覚えてはおらぬ』
『じゃあ、これからも私に付き合ってごはんを食べてくださいね』
最初の頃は本当に四神はあまり食べなかったことを香子は思い出した。香子に触れた時は一緒に食べてくれたりもしたが、それ以外では全く食べようともしなかったし、食に興味もなさそうだった。唯一白虎だけが豪快に肉を食べていたぐらいだろうか。それもなんとなくポーズのような気がして、四神が食べることを楽しんでいるようにはとても見えなかった。
『そうさな……そなたのように楽しんで食べるには』
朱雀からぶわりと濃厚な色香が漂う。
『そなたを抱くのが一番だ』
『ま、まだですよ……食事中です』
香子は掠れそうになる声をどうにか出した。
『そうであったな』
色香が薄まって、香子はほっとした。めったなことを言うものではない。
(なんでごはんの話なのにエロい雰囲気になるのー?)
そう内心突っ込んだが、香子もわかってはいるのだ。四神は香子に触れてやっと空腹を覚える。だから抱き合うことと食は切っても切れない関係であるということを。
『あっ、そうだ』
『如何した?』
『ここ、お風呂ってあります?』
『ございます。広い場所がよろしいですか? それともそうではない方が?』
脇に控えていた紅雪が答えた。
『広い場所ってどれぐらい広いのですか?』
ちょっと興味がわいた。
『そうですね……朱雀様の室の半分ぐらいでしょうか』
『それは広い! 入ってみたいです』
『わかりました。手配しておきます』
紅雪が応えると、部屋の隅に控えていた眷属がスッと出て行った。
『あれ? でも手配するってことは……普段は湯は入っていないんですか?』
そこにお湯を入れさせるのは忍びないと香子は縮こまった。
『いえ、そういうことではございません。湯は常に入っております。温泉ですので』
『温泉!』
香子の目の色が変わった。ここにきて温泉に入れるなんてと嬉しくなってしまう。
『ってことは、この辺りに火山があるのですか?』
『よくわかったな』
朱雀が意外そうに答えた。
温泉といったら火山が近くにあると思うのは常識だと香子は思う。もちろん地熱で温まった温泉というところもあるが、地熱だとそれほど湯は温かくないという印象がある。
(そういえば活火山が少ない場所なのに有馬温泉て高温の温泉が出てるよね。あれはなんでなんだろう)
香子は少し疑問に思ったが、考えてもわかるはずがないので忘れることにした。そして、朱雀の領地ではどこまで本当のことを話していいのだろうかと考えた。
朱雀の腕に触れる。
《朱雀様、こちらでは私が異世界の、別の国から来たということを明かしても問題はないのでしょうか》
《それを気にする者はおるまいよ》
《わかりました》
心話で確認をして、香子はほっとした。こういう内緒話ができるのはとても助かる。
『私の元の国には火山が沢山あったのです。温泉は火山の近くに湧くものかと』
『そうか。香子は博識だな』
『違いますよ。そういうものだと知っているだけです』
おなかいっぱい食べ、食休みをしていたら浴室の準備が整ったらしい。
『花嫁様のお世話は我がさせていただきます』
紅雪にそう言われたが、朱雀は首を振った。
『香子は我らと共に入る故、世話は必要ない。睡衣のみ用意しておけ』
『……承知しました』
朱雀の領地とはいえ朱雀から離れるという選択肢は香子にもなかった。だが風呂まで一緒なのは、と恥ずかしくも感じられた。
紅雪に案内されて、少し歩いた。(香子は変わらず朱雀の腕の中である)
『こちらでございます』
『わぁ……』
案内された場所は、とても広い露天風呂だった。
ただし、脱衣所から何から走廊から丸見えである。
『こ、ここって……眷属も普通に使ったりしてる?』
『はい。お気に召しませんでしたか?』
『う、ううん……』
戸惑ったけど、こういうものなのかと思えばしょうがない。館の敷地内は外からは覗き込めないようになっているみたいなので、香子は腹をくくることにしたのだった。
魚や海老など海鮮系の料理がずらりと並び、香子は目を丸くした。
夕飯は食堂へ移動して食べることになった。ここもまたそれなりに広かった。広すぎて香子はなんとなく落ち着かないと思ったが、香子は相変わらず朱雀の腕の中である。椅子の上でも朱雀は香子を放してくれない。すぐ隣には玄武もいるからそちらに顔を向ければ玄武も香子を見てくれる。落ち着かないは落ち着かないが、朱雀と玄武がいるから大丈夫だと香子は自分に言い聞かせた。
昼食の際も思ったが、この辺りの料理は淡泊なものが多いらしい。王城で食べるものより油は少なめで、広東料理を髣髴とさせる。香子は大陸の各地を旅した時も、楽しみはやはりその地の料理であった。
『魚も海老もおいしいです……場所で料理も違いますね』
『そのようだな』
朱雀が相槌を打つ。
『朱雀様も玄武様も以前はあまり料理は召し上がられなかったのでしたっけ』
『ああ、基本的には必要ない故な。習慣として少しは口にするが、そなたのように食事を楽しむということはなかった』
『……香子に会う前はどのように食べていたかあまり覚えてはおらぬ』
『じゃあ、これからも私に付き合ってごはんを食べてくださいね』
最初の頃は本当に四神はあまり食べなかったことを香子は思い出した。香子に触れた時は一緒に食べてくれたりもしたが、それ以外では全く食べようともしなかったし、食に興味もなさそうだった。唯一白虎だけが豪快に肉を食べていたぐらいだろうか。それもなんとなくポーズのような気がして、四神が食べることを楽しんでいるようにはとても見えなかった。
『そうさな……そなたのように楽しんで食べるには』
朱雀からぶわりと濃厚な色香が漂う。
『そなたを抱くのが一番だ』
『ま、まだですよ……食事中です』
香子は掠れそうになる声をどうにか出した。
『そうであったな』
色香が薄まって、香子はほっとした。めったなことを言うものではない。
(なんでごはんの話なのにエロい雰囲気になるのー?)
そう内心突っ込んだが、香子もわかってはいるのだ。四神は香子に触れてやっと空腹を覚える。だから抱き合うことと食は切っても切れない関係であるということを。
『あっ、そうだ』
『如何した?』
『ここ、お風呂ってあります?』
『ございます。広い場所がよろしいですか? それともそうではない方が?』
脇に控えていた紅雪が答えた。
『広い場所ってどれぐらい広いのですか?』
ちょっと興味がわいた。
『そうですね……朱雀様の室の半分ぐらいでしょうか』
『それは広い! 入ってみたいです』
『わかりました。手配しておきます』
紅雪が応えると、部屋の隅に控えていた眷属がスッと出て行った。
『あれ? でも手配するってことは……普段は湯は入っていないんですか?』
そこにお湯を入れさせるのは忍びないと香子は縮こまった。
『いえ、そういうことではございません。湯は常に入っております。温泉ですので』
『温泉!』
香子の目の色が変わった。ここにきて温泉に入れるなんてと嬉しくなってしまう。
『ってことは、この辺りに火山があるのですか?』
『よくわかったな』
朱雀が意外そうに答えた。
温泉といったら火山が近くにあると思うのは常識だと香子は思う。もちろん地熱で温まった温泉というところもあるが、地熱だとそれほど湯は温かくないという印象がある。
(そういえば活火山が少ない場所なのに有馬温泉て高温の温泉が出てるよね。あれはなんでなんだろう)
香子は少し疑問に思ったが、考えてもわかるはずがないので忘れることにした。そして、朱雀の領地ではどこまで本当のことを話していいのだろうかと考えた。
朱雀の腕に触れる。
《朱雀様、こちらでは私が異世界の、別の国から来たということを明かしても問題はないのでしょうか》
《それを気にする者はおるまいよ》
《わかりました》
心話で確認をして、香子はほっとした。こういう内緒話ができるのはとても助かる。
『私の元の国には火山が沢山あったのです。温泉は火山の近くに湧くものかと』
『そうか。香子は博識だな』
『違いますよ。そういうものだと知っているだけです』
おなかいっぱい食べ、食休みをしていたら浴室の準備が整ったらしい。
『花嫁様のお世話は我がさせていただきます』
紅雪にそう言われたが、朱雀は首を振った。
『香子は我らと共に入る故、世話は必要ない。睡衣のみ用意しておけ』
『……承知しました』
朱雀の領地とはいえ朱雀から離れるという選択肢は香子にもなかった。だが風呂まで一緒なのは、と恥ずかしくも感じられた。
紅雪に案内されて、少し歩いた。(香子は変わらず朱雀の腕の中である)
『こちらでございます』
『わぁ……』
案内された場所は、とても広い露天風呂だった。
ただし、脱衣所から何から走廊から丸見えである。
『こ、ここって……眷属も普通に使ったりしてる?』
『はい。お気に召しませんでしたか?』
『う、ううん……』
戸惑ったけど、こういうものなのかと思えばしょうがない。館の敷地内は外からは覗き込めないようになっているみたいなので、香子は腹をくくることにしたのだった。
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