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第4部 四神を愛しなさいと言われました
22.四神は嫉妬しないと言っていたけれど
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『白虎様』
白虎の室の扉が、白雲によって開かれる。居間の長椅子で寝転がってくつろいでいる白虎が目に入り、香子は笑んだ。
白虎に会うのも久しぶりだと香子は思った。実際には、全然久しぶりではないのだが。
そう香子が思ってしまうぐらい、朱雀の領地での経験は濃かったのだと言えよう。
『香子』
白虎は緩慢な仕草で立ち上がり、白虎の室に足を踏み入れた香子を抱き上げた。その当たり前だという白虎の動きに、香子は目を丸くした。
そのまま長椅子に戻るのかと香子は思っていたのだが、白虎の足は寝室に向かう。
『えっ?』
香子は慌てた。
『白虎様、ちょっとちょっと!』
『なんだ?』
低い声が香子の鼓膜を震えさせた。その低さにゾクリとするものを感じて、香子は軽く首を振った。
『お話、したいです』
『床でもできよう』
『じゃあ触らせてください!』
白虎は大仰にため息をついた。
『……本性を現わしたら襲ってしまいそうだが、いいのか?』
『うっ……』
それは困ると香子は思った。しかしもふもふには触れたい。もふもふに触れたらそのまま抱かれてしまうかもしれない。
香子は葛藤する。もふもふに埋もれながら昼間から抱かれる? カーッと顔が熱くなるのを感じた。
『……たまらぬな』
『えっ?』
白虎は本当に我慢ができなかったらしく、香子を寝室に運ぶと香子の目を閉じさせて虎の姿に戻り、香子の全身を舐め回した。
「あっ、やっ、白虎、さまぁっ……!」
どうして昼間からされてしまうのかと大事なところを舐められながら香子は啼いた。
さすがに理性でどうにか抑えたらしく、白虎は香子を最後まで抱きはしなかった。
『香子、すまぬ……朱雀兄を呼んだ故、連れて行ってもらえ』
『はい……』
いつもならここで白虎は青龍を呼ぶ。なのに朱雀に声をかけるとは珍しいことだと香子は思った。いきなり襲われてしまったが、香子は白虎のことも好きだから流されてもいいと思っていた。白虎は何故このようなことを己がしたのかわかっていないようだった。
(四神が嫉妬しないなんて嘘じゃないかしら)
それは香子の自惚れかもしれなかったが、香子は四神の花嫁である。白虎の行動をどう解釈しようと香子の自由であった。
白虎は香子を見ないようにして人型に戻った。そして軽くだが漢服を直す。香子はそれに礼を言った。
『白虎様、ありがとうございます』
『……礼を言われるようなことはしておらぬ』
『私が言いたいだけです』
昼間だというのに、抱かれてもよかったのに、なんて思った自分が香子は不思議だった。四神の想いはまっすぐで、ただ香子を愛しいと思ってくれていることがようやく香子にも感じられた。
(私って鈍いのかなぁ?)
香子は実感するまでが長かったようである。
『白虎、香子を引き取りにきたぞ』
朱雀が香子を迎えに来た。白虎はふわりと香子を抱き上げると、寝室を出て朱雀に渡した。
『……どうかしたのか』
『……止められなくなりました』
朱雀の問いに、白虎が静かに答えた。
『それは困るな。今宵香子は玄武兄と二人きりで過ごすことになっている。明日の夜ではどうだ』
『香子、明日の夜はよいか?』
夜の己のスケジュールを把握されているのはいい。だが勝手に決められるのはどうなのだと香子は思う。
けれど、白虎の縋るような金の瞳に胸が高鳴った。
『あ……明日の、夜、でしたら……』
また香子の頬は真っ赤になった。その顔を眺め、白虎は苦笑した。
『香子、そなにかわいい顔をすると抱いてしまうぞ?』
『ええっ?』
かわいい顔などしていないと香子は思う。けれど四神には香子かわいく見えるのだ。事実、この世界に香子が召喚された時よりも香子は目に見えて美しくなっている。髪は鮮やかな暗紫紅色に染まり、肌は透き通るように白くなっている。白虎によって育てられた胸はたわわで、しかも敏感だ。
『明日の夜で……』
『わかった』
香子は朱雀の胸に頭をもたせかけた。白虎の室に来たら白虎に襲われてしまうなんて、香子は思ってもみなかった。けれどそれぐらい四神は香子を愛しているのだ。
(なんかー……やっぱ実感すると恥ずかしい……)
これが朱雀の腕の中でなく、自分の部屋であったならと香子は思う。寝室に駆けこんで床の上で悶え狂ったに違いないだろう。それぐらい四神の想いを感じ取ってしまい、香子の内心はとんでもないことになっていた。
(私、なんで今まで平気だったんだろう……)
『香子、服を直した方がいい。一度そなたの部屋へ向かおう』
『はい、お願いします……』
如何にも襲われましたという恰好でいることに香子はやっと羞恥を覚えた。朱雀もいつになく冷静である。
部屋に戻ると、延夕玲や侍女たちが目を丸くした。
『朱雀様? 花嫁さまがどうかなさいましたか?』
夕玲が狼狽を隠せないのも珍しいことだった。
『香子の服を整えよ』
『承知しました』
侍女たちによって乱れた漢服と髪を直され、香子はまた朱雀に抱き上げられた。
『夕飯については我の室に知らせを寄こすように』
『承知しました』
なんだったのだろう、と朱雀の腕の中で香子はぼんやり思った。
白虎の室の扉が、白雲によって開かれる。居間の長椅子で寝転がってくつろいでいる白虎が目に入り、香子は笑んだ。
白虎に会うのも久しぶりだと香子は思った。実際には、全然久しぶりではないのだが。
そう香子が思ってしまうぐらい、朱雀の領地での経験は濃かったのだと言えよう。
『香子』
白虎は緩慢な仕草で立ち上がり、白虎の室に足を踏み入れた香子を抱き上げた。その当たり前だという白虎の動きに、香子は目を丸くした。
そのまま長椅子に戻るのかと香子は思っていたのだが、白虎の足は寝室に向かう。
『えっ?』
香子は慌てた。
『白虎様、ちょっとちょっと!』
『なんだ?』
低い声が香子の鼓膜を震えさせた。その低さにゾクリとするものを感じて、香子は軽く首を振った。
『お話、したいです』
『床でもできよう』
『じゃあ触らせてください!』
白虎は大仰にため息をついた。
『……本性を現わしたら襲ってしまいそうだが、いいのか?』
『うっ……』
それは困ると香子は思った。しかしもふもふには触れたい。もふもふに触れたらそのまま抱かれてしまうかもしれない。
香子は葛藤する。もふもふに埋もれながら昼間から抱かれる? カーッと顔が熱くなるのを感じた。
『……たまらぬな』
『えっ?』
白虎は本当に我慢ができなかったらしく、香子を寝室に運ぶと香子の目を閉じさせて虎の姿に戻り、香子の全身を舐め回した。
「あっ、やっ、白虎、さまぁっ……!」
どうして昼間からされてしまうのかと大事なところを舐められながら香子は啼いた。
さすがに理性でどうにか抑えたらしく、白虎は香子を最後まで抱きはしなかった。
『香子、すまぬ……朱雀兄を呼んだ故、連れて行ってもらえ』
『はい……』
いつもならここで白虎は青龍を呼ぶ。なのに朱雀に声をかけるとは珍しいことだと香子は思った。いきなり襲われてしまったが、香子は白虎のことも好きだから流されてもいいと思っていた。白虎は何故このようなことを己がしたのかわかっていないようだった。
(四神が嫉妬しないなんて嘘じゃないかしら)
それは香子の自惚れかもしれなかったが、香子は四神の花嫁である。白虎の行動をどう解釈しようと香子の自由であった。
白虎は香子を見ないようにして人型に戻った。そして軽くだが漢服を直す。香子はそれに礼を言った。
『白虎様、ありがとうございます』
『……礼を言われるようなことはしておらぬ』
『私が言いたいだけです』
昼間だというのに、抱かれてもよかったのに、なんて思った自分が香子は不思議だった。四神の想いはまっすぐで、ただ香子を愛しいと思ってくれていることがようやく香子にも感じられた。
(私って鈍いのかなぁ?)
香子は実感するまでが長かったようである。
『白虎、香子を引き取りにきたぞ』
朱雀が香子を迎えに来た。白虎はふわりと香子を抱き上げると、寝室を出て朱雀に渡した。
『……どうかしたのか』
『……止められなくなりました』
朱雀の問いに、白虎が静かに答えた。
『それは困るな。今宵香子は玄武兄と二人きりで過ごすことになっている。明日の夜ではどうだ』
『香子、明日の夜はよいか?』
夜の己のスケジュールを把握されているのはいい。だが勝手に決められるのはどうなのだと香子は思う。
けれど、白虎の縋るような金の瞳に胸が高鳴った。
『あ……明日の、夜、でしたら……』
また香子の頬は真っ赤になった。その顔を眺め、白虎は苦笑した。
『香子、そなにかわいい顔をすると抱いてしまうぞ?』
『ええっ?』
かわいい顔などしていないと香子は思う。けれど四神には香子かわいく見えるのだ。事実、この世界に香子が召喚された時よりも香子は目に見えて美しくなっている。髪は鮮やかな暗紫紅色に染まり、肌は透き通るように白くなっている。白虎によって育てられた胸はたわわで、しかも敏感だ。
『明日の夜で……』
『わかった』
香子は朱雀の胸に頭をもたせかけた。白虎の室に来たら白虎に襲われてしまうなんて、香子は思ってもみなかった。けれどそれぐらい四神は香子を愛しているのだ。
(なんかー……やっぱ実感すると恥ずかしい……)
これが朱雀の腕の中でなく、自分の部屋であったならと香子は思う。寝室に駆けこんで床の上で悶え狂ったに違いないだろう。それぐらい四神の想いを感じ取ってしまい、香子の内心はとんでもないことになっていた。
(私、なんで今まで平気だったんだろう……)
『香子、服を直した方がいい。一度そなたの部屋へ向かおう』
『はい、お願いします……』
如何にも襲われましたという恰好でいることに香子はやっと羞恥を覚えた。朱雀もいつになく冷静である。
部屋に戻ると、延夕玲や侍女たちが目を丸くした。
『朱雀様? 花嫁さまがどうかなさいましたか?』
夕玲が狼狽を隠せないのも珍しいことだった。
『香子の服を整えよ』
『承知しました』
侍女たちによって乱れた漢服と髪を直され、香子はまた朱雀に抱き上げられた。
『夕飯については我の室に知らせを寄こすように』
『承知しました』
なんだったのだろう、と朱雀の腕の中で香子はぼんやり思った。
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