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第1部 四神と結婚しろと言われました
66.元の姿で我慢するのはたいへんです(白虎視点)
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そうとは全く知らない香子はうきうきしながら白虎の室に向かっていた。
白虎は香子に気付かれないように嘆息した。全く、とんだ約束をしてしまったものである。
昨日はそのまっすぐな視線にあやうく襲いかかってしまいそうになった。もちろん白虎が香子を傷つけるということはありえないが、その身にまとう衣を破って抱いてしまいそうになった。
香子はこの世界の女性と比べて小さすぎるということはないが、四神に比べればあまりにも華奢である。元の姿になった白虎は更に体格が大きく、香子の小さい体でその欲望を受け止めるのは難しいように思えてしまう。
そう考えると前の花嫁はどのようにして先代の白虎を受け入れたのだろうか。情景は浮かぶが感情まではわからない。
白虎がそんなことを考えているうちにすぐ室に着いてしまった。
白雲が扉を開け、二神が中に入る。
『寝室の方が置いてある物が少ないのでそちらで』
白虎の科白に玄武が頷く。
そして昨日のように寝室に入り、敷かれた絨毯の上に白虎が立った。
『香子、目を閉じよ』
香子はその白虎の科白に慌てて目を閉じた。白い光が辺りに満ち、風がぶわっと寝室内を走りぬける。
『目を開けてもかまわぬぞ』
元の姿に戻ると声も唸るような低いものに変わる。香子がそっと瞼を震わせて目を開けた。
『玄武様、下ろしてください』
玄武が少し緊張しているのが白虎に伝わってくる。白虎は玄武に軽く頷いた。
玄武の腕が解かれ、香子が下りる。そしてそっと近寄ってきた。
黒い瞳が好奇心できらきらと輝いている。
『……触っても、いいですか?』
少し惧れを含んだ眼差しで白虎の金の目を見つめて聞いてくる。白虎が頷くと、香子は傍らにしゃがみこみその毛並みをそっと撫でた。
『……少し固いんですね』
そう言いながら何度も何度も撫でる。
白虎にとって香子の行動は何が楽しいのかさっぱりわからない。香子の喜びの感情が伝わってくる。なるほど本性を現すとあんなに読めなかった香子の感情が届くようになるらしい。白虎を撫でている香子の表情はひどく満足そうだった。
香子に知られないように白虎は香子の香りを胸いっぱいに吸い込む。甘くて、今にもむしゃぶりつきたくなる香りだ。
(まずいな……)
このままでは間違いなく香子を押さえつけてしまいそうで、白虎は玄武に目配せした。
『香子、もう終りだ』
玄武が心得たように香子を抱き上げる。いきなり触っていた毛並みを取り上げられて香子の手がわきわきした。抗議しようとしたのか玄武の方を香子が睨んだ隙に白虎は人型に戻った。
すると香子の顔が泣きそうに歪む。
『……なんか私、気に障るようなことしました?』
『そうではない』
泣かせたいわけではない。ただ愛しすぎて、己たちの欲望から守りたいだけだ。
『香子、我らは元の姿に戻ると理性がほぼなくなってしまうのだ』
香子を抱き込むようにして玄武が言う。それに香子は目を見開いた。
「え……」
香子は信じられないというように玄武を見、そして白虎を見た。白虎はそれに頷く。
『じゃあ私、すごくひどいことをしたんですね……』
『いや、そなたは我を受け入れようとしてくれた。その気持ちが嬉しい』
そう言って笑むと、香子はまた泣きそうな顔をした。
そんな顔をさせたいわけじゃない。
『香子、泣くな』
泣かれたら白虎も玄武も何をしてしまうかわからない。
『……泣きません、でも……』
白虎は香子に歩み寄った。
『後悔もするな』
白虎も香子に触れられたいと思ったことは確かなのだから。
『……はい、ありがとうございます』
香子の返事に白虎は笑んだ。そして吸いよせられるように、その口唇にそっと口づけた。
白虎は香子に気付かれないように嘆息した。全く、とんだ約束をしてしまったものである。
昨日はそのまっすぐな視線にあやうく襲いかかってしまいそうになった。もちろん白虎が香子を傷つけるということはありえないが、その身にまとう衣を破って抱いてしまいそうになった。
香子はこの世界の女性と比べて小さすぎるということはないが、四神に比べればあまりにも華奢である。元の姿になった白虎は更に体格が大きく、香子の小さい体でその欲望を受け止めるのは難しいように思えてしまう。
そう考えると前の花嫁はどのようにして先代の白虎を受け入れたのだろうか。情景は浮かぶが感情まではわからない。
白虎がそんなことを考えているうちにすぐ室に着いてしまった。
白雲が扉を開け、二神が中に入る。
『寝室の方が置いてある物が少ないのでそちらで』
白虎の科白に玄武が頷く。
そして昨日のように寝室に入り、敷かれた絨毯の上に白虎が立った。
『香子、目を閉じよ』
香子はその白虎の科白に慌てて目を閉じた。白い光が辺りに満ち、風がぶわっと寝室内を走りぬける。
『目を開けてもかまわぬぞ』
元の姿に戻ると声も唸るような低いものに変わる。香子がそっと瞼を震わせて目を開けた。
『玄武様、下ろしてください』
玄武が少し緊張しているのが白虎に伝わってくる。白虎は玄武に軽く頷いた。
玄武の腕が解かれ、香子が下りる。そしてそっと近寄ってきた。
黒い瞳が好奇心できらきらと輝いている。
『……触っても、いいですか?』
少し惧れを含んだ眼差しで白虎の金の目を見つめて聞いてくる。白虎が頷くと、香子は傍らにしゃがみこみその毛並みをそっと撫でた。
『……少し固いんですね』
そう言いながら何度も何度も撫でる。
白虎にとって香子の行動は何が楽しいのかさっぱりわからない。香子の喜びの感情が伝わってくる。なるほど本性を現すとあんなに読めなかった香子の感情が届くようになるらしい。白虎を撫でている香子の表情はひどく満足そうだった。
香子に知られないように白虎は香子の香りを胸いっぱいに吸い込む。甘くて、今にもむしゃぶりつきたくなる香りだ。
(まずいな……)
このままでは間違いなく香子を押さえつけてしまいそうで、白虎は玄武に目配せした。
『香子、もう終りだ』
玄武が心得たように香子を抱き上げる。いきなり触っていた毛並みを取り上げられて香子の手がわきわきした。抗議しようとしたのか玄武の方を香子が睨んだ隙に白虎は人型に戻った。
すると香子の顔が泣きそうに歪む。
『……なんか私、気に障るようなことしました?』
『そうではない』
泣かせたいわけではない。ただ愛しすぎて、己たちの欲望から守りたいだけだ。
『香子、我らは元の姿に戻ると理性がほぼなくなってしまうのだ』
香子を抱き込むようにして玄武が言う。それに香子は目を見開いた。
「え……」
香子は信じられないというように玄武を見、そして白虎を見た。白虎はそれに頷く。
『じゃあ私、すごくひどいことをしたんですね……』
『いや、そなたは我を受け入れようとしてくれた。その気持ちが嬉しい』
そう言って笑むと、香子はまた泣きそうな顔をした。
そんな顔をさせたいわけじゃない。
『香子、泣くな』
泣かれたら白虎も玄武も何をしてしまうかわからない。
『……泣きません、でも……』
白虎は香子に歩み寄った。
『後悔もするな』
白虎も香子に触れられたいと思ったことは確かなのだから。
『……はい、ありがとうございます』
香子の返事に白虎は笑んだ。そして吸いよせられるように、その口唇にそっと口づけた。
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