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第1部 四神と結婚しろと言われました
147.いろいろ野望があるのです
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食後のお茶を飲んでから、景山に出かける準備をする為に一旦みな部屋に戻った。
香子が自分の足で歩くことはないが一応歩きやすい格好に着替えさせられる。そういえば昭正公主たちに会った時の格好そのままだった。着替える間もなく玄武の室に連れ込まれあーんなことやこーんなことをされて……。
香子は頬を染めた。
朱雀から熱を与えられなくても二神は香子を簡単に翻弄する。
経験の違いなのかそれとも愛故か。
(うーん……愛だけではテクは身につかないかも)
以前付き合っていた男性とのことを少し思い出して香子は少しだけ冷静になれた。だからといって二神をなじろうとは全く思わないし嫉妬心もない。相手は人間以上に長生きしているのだ。
(玄武様はすでに約千年生きてるって言われたし)
千年なんて気の遠くなるような時間で、想像もつかない。なのにそれだけ生きていて経験豊富じゃなかったらかえって詐欺だと思う。
そんなろくでもないことを考えているうちに支度ができたらしい。侍女が満足そうに香子に手鏡を渡した。香子はそれを受け取って見てみる。
『谢谢阿』
お礼を言って彼女たちに笑む。香子のその笑みに侍女たちは俄然やる気がでるのだが、香子自身は、
(いつもすごいキレイにしてもらえて嬉しいな~)
とのん気に思っているだけだった。
いつものように玄武に抱かれて景山へ向かう。
今日は植物園の続きを見て、その後珍しい動物がいる区画を見に行くのだと伝えられた。
北京にある景山公園は人工の山頂から見える景色がメインで植物園や動物園のような施設はない。だがもしかしたら皇帝がいた時代はこのような施設があったのではないかと思われる。
(円明園とかあるのかな)
ふと香子は思う。
円明園は北京市の海淀区にある庭園の一つである。
香子が通っていた北京語言学院から比較的近い位置にあり、一度だけ訪れたことがあった。敷地はとても広いのだが、建物類は第二次アヘン戦争(アロー戦争1856~1860年)の折フランス・イギリス連合軍によって徹底的に破壊されてしまって今は廃墟が残されているだけである。フランスが金目の物を盗み、イギリスが破壊したと聞いた。西洋風の建物である西洋楼等の全貌を見たかった香子としては泣きそうになった記憶があった。
皇帝から許可がおりたらいろいろな場所に見学に行きたいと香子は考える。
どうやら香子の寿命も四神と同じで長いらしいと聞いたことだし。
この時点で香子から誰も選ばないという選択肢は消えていたが、当の本人は全く気付いていなかった。
先日と同じように植物園では自由行動だった。
ところで香子は温室のオオオニバスが非常に気になっていた。
(さすがに乗れないよねー……)
直径三m以上はあろうかという円形の葉には赤ちゃんや子供ぐらいなら乗れると聞くし、実際に写真も見たことがある。だがさすがに香子が乗ったら沈むだろうということは予想できた。
香子はちろりと自分を抱き上げている玄武を見やった。
玄武は池のそばにある石造りの椅子に腰かける。
『あの葉が気になるか』
そう言われるとなんだか居心地が悪い。だが香子は開き直った。
『すっごく気になります。赤ちゃんとか子どもが乗れるぐらい浮力はあるらしいんですけどさすがに大人は無理かなって』
『香子は物知りだな』
そんなに感心したように言わないでほしいと香子は思う。これは純粋な興味なのだから。あわよくばこっそり乗ってしまいたいぐらいだし。
(絶対水浸しだろうなー)
『元いた世界にも同じ植物があったのか』
『多分同じだと思います。ただ普通は熱帯雨林気候の土地で育つはずなので、この世界にもそういった気候の土地があるのですね』
『そうだな、おそらくそなたの言うような気候の土地があるのだろう。どれ、試してみるとしよう』
『え』
玄武が何気なく言った時にはすでに立ち上がり、池に足を踏み入れていた。
(……嘘……)
間違いなく沈み、水浸しになるかと思っていたのだがそうはならなかった。
玄武は悠然と葉の上に立ち、腕の中で目を白黒させている香子に笑んだ。それがいたずらっ子のようだったので、香子は少しだけむっとした。
姿かたちは人間でも、相手は神様なのだ。
質量を無視することなどなんてこともないのだろう。
(ずーるーいー)
とはいえオオオニバスに乗るという野望は簡単に叶ってしまった。もちろん玄武に抱かれて、というオマケ付ではあったが。
そんなことをしているうちに時間が経ってしまい、結局今回もあまり植物を見ることができずにみなが待つ四阿に向かった。
香子が自分の足で歩くことはないが一応歩きやすい格好に着替えさせられる。そういえば昭正公主たちに会った時の格好そのままだった。着替える間もなく玄武の室に連れ込まれあーんなことやこーんなことをされて……。
香子は頬を染めた。
朱雀から熱を与えられなくても二神は香子を簡単に翻弄する。
経験の違いなのかそれとも愛故か。
(うーん……愛だけではテクは身につかないかも)
以前付き合っていた男性とのことを少し思い出して香子は少しだけ冷静になれた。だからといって二神をなじろうとは全く思わないし嫉妬心もない。相手は人間以上に長生きしているのだ。
(玄武様はすでに約千年生きてるって言われたし)
千年なんて気の遠くなるような時間で、想像もつかない。なのにそれだけ生きていて経験豊富じゃなかったらかえって詐欺だと思う。
そんなろくでもないことを考えているうちに支度ができたらしい。侍女が満足そうに香子に手鏡を渡した。香子はそれを受け取って見てみる。
『谢谢阿』
お礼を言って彼女たちに笑む。香子のその笑みに侍女たちは俄然やる気がでるのだが、香子自身は、
(いつもすごいキレイにしてもらえて嬉しいな~)
とのん気に思っているだけだった。
いつものように玄武に抱かれて景山へ向かう。
今日は植物園の続きを見て、その後珍しい動物がいる区画を見に行くのだと伝えられた。
北京にある景山公園は人工の山頂から見える景色がメインで植物園や動物園のような施設はない。だがもしかしたら皇帝がいた時代はこのような施設があったのではないかと思われる。
(円明園とかあるのかな)
ふと香子は思う。
円明園は北京市の海淀区にある庭園の一つである。
香子が通っていた北京語言学院から比較的近い位置にあり、一度だけ訪れたことがあった。敷地はとても広いのだが、建物類は第二次アヘン戦争(アロー戦争1856~1860年)の折フランス・イギリス連合軍によって徹底的に破壊されてしまって今は廃墟が残されているだけである。フランスが金目の物を盗み、イギリスが破壊したと聞いた。西洋風の建物である西洋楼等の全貌を見たかった香子としては泣きそうになった記憶があった。
皇帝から許可がおりたらいろいろな場所に見学に行きたいと香子は考える。
どうやら香子の寿命も四神と同じで長いらしいと聞いたことだし。
この時点で香子から誰も選ばないという選択肢は消えていたが、当の本人は全く気付いていなかった。
先日と同じように植物園では自由行動だった。
ところで香子は温室のオオオニバスが非常に気になっていた。
(さすがに乗れないよねー……)
直径三m以上はあろうかという円形の葉には赤ちゃんや子供ぐらいなら乗れると聞くし、実際に写真も見たことがある。だがさすがに香子が乗ったら沈むだろうということは予想できた。
香子はちろりと自分を抱き上げている玄武を見やった。
玄武は池のそばにある石造りの椅子に腰かける。
『あの葉が気になるか』
そう言われるとなんだか居心地が悪い。だが香子は開き直った。
『すっごく気になります。赤ちゃんとか子どもが乗れるぐらい浮力はあるらしいんですけどさすがに大人は無理かなって』
『香子は物知りだな』
そんなに感心したように言わないでほしいと香子は思う。これは純粋な興味なのだから。あわよくばこっそり乗ってしまいたいぐらいだし。
(絶対水浸しだろうなー)
『元いた世界にも同じ植物があったのか』
『多分同じだと思います。ただ普通は熱帯雨林気候の土地で育つはずなので、この世界にもそういった気候の土地があるのですね』
『そうだな、おそらくそなたの言うような気候の土地があるのだろう。どれ、試してみるとしよう』
『え』
玄武が何気なく言った時にはすでに立ち上がり、池に足を踏み入れていた。
(……嘘……)
間違いなく沈み、水浸しになるかと思っていたのだがそうはならなかった。
玄武は悠然と葉の上に立ち、腕の中で目を白黒させている香子に笑んだ。それがいたずらっ子のようだったので、香子は少しだけむっとした。
姿かたちは人間でも、相手は神様なのだ。
質量を無視することなどなんてこともないのだろう。
(ずーるーいー)
とはいえオオオニバスに乗るという野望は簡単に叶ってしまった。もちろん玄武に抱かれて、というオマケ付ではあったが。
そんなことをしているうちに時間が経ってしまい、結局今回もあまり植物を見ることができずにみなが待つ四阿に向かった。
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