異世界で四神と結婚しろと言われました

浅葱

文字の大きさ
86 / 574
第2部 嫁ぎ先を決めろと言われました

15.おあずけはほどほどがいいみたいです

しおりを挟む
 しっかりと朝食をいただき、食後のお茶を飲みながら香子は先ほど行った御花園を思い出していた。基本は皇帝や皇后、親族や賓客の為にあるのだろう。広さはあまりなかったが素敵な庭園だったと思う。北京市内には他にも皇室所有の庭園がいくつもあるはずである。今は無理だろうがこの一年の間に見せてもらえたらいいなと香子は思うのだ。

(でも……そう簡単には行けないのかな)

 現代中国ならともかく、庭園は皇室所有と考えると一般公開はされていない。その分キレイに保たれているのだろうとは思うが、もしかして香子が行くとなったら大名行列みたいになりそうな気がする。
 香子は眉を寄せた。

(景山に行く時ぐらい気楽だといいのだけど……)

 うだうだ考えても仕方ないので他のことを考えることにする。
 そういえばまだ先のことだが、四神の誰かを選んで領地に行った後具体的に何をしていればいいのだろうか。

(子作りと子育て……?)

 前に話を聞いたかんじだとそれぐらいしか思い浮かばない。しかもどうやら寿命がとんでもなく延びるようなので何百年もそうしているのかと思ったら眩暈がしてきた。
 ふっと顔を上げれば玄武の心配そうな表情が目に入る。そういえばいつだって玄武は香子に声をかけてくれていた。横を見れば白虎と青龍が香子の様子を窺っている。だが玄武のように声をかけてくれたりはしない。それも彼らの優しさだろうと今度は朱雀を見れば、まっすぐに香子を見ていた。
 黒い瞳にほむらが見え、香子はくらりとした。情熱的な眼差しにやられてしまいそうだと香子は思う。
 囚われてしまいそうだったがどうにかして目をそらした。

『……そういえば、前にも聞いたかもしれないんですけど……どなたかと結婚して領地に行ったら、私は何をするんですか?』

 最初のうちにいろいろ聞いた気がするのだがパニック状態で詰め込まれた為に全く覚えていない。

『……我らと愛を育む。あとはそなたの好きにすればいい』

 白虎が明快に答える。

『それって……その……ようは……』

 香子の頬が赤く染まる。

『ずっと我らに抱かれ続けるのがそなたの役目だ』

 甘いテナーに香子は顔を上げる。ひどく色っぽい表情でそれを告げたのは朱雀だった。顔だけではなく、全身が熱を持つのを香子は感じた。目の奥が熱くなって潤んでくる。
 ここは食堂なのになんてことを言うのだ、この神様は。

『……朱雀様の……』
『うん?』

 聞き返す仕草も婀娜っぽい。

『バカーーーーーーーー!!!!』

 椅子を降りて食堂から逃げ出そうとしたが、さすがに今度は捕まってしまった。しかも今回は入口の側にいた朱雀によってである。

『香子、昨日から『バカ』とは聞き捨てならんな……』
(はうはうはうはう……)

 じたばたもがく耳元に少し低めのテナーで囁かれたらもうたまらない。だがここで諦めたら間違いなくベッドに連れ込まれそうだったから、香子はとにかく暴れることしかできなかった。

『何がどうして『バカ』なのか説明してくれぬとわからぬのだが……』
『うー……女心を理解しないのも『バカ』なんですっ!』

 あとでとんでもない目に合わされそうな気もしないでもないが言わずにはいられない。朱雀は眉を寄せた。

『ふむ……ならばその女心とやらを教えてはくれぬか?』

 そう言ってとうとう膝に乗せられてしまった。それを見ている侍女たちが心の中で悶える。
 香子は助けを求めるように白虎と青龍を見たが、彼らは柔らかく笑んでいるだけだった。

(う、裏切り者ーーーーー!!!)
『よ、夜になったら! 夜になったら教えますからぁーーー!!』

 昼間は勘弁! と迫ってくる顔をどうにか手で押さえた。
 朝から色気だだ漏れはやめてほしいと香子は切実に思ったのだった。
しおりを挟む
感想 95

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

黒騎士団の娼婦

星森 永羽
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。