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第2部 嫁ぎ先を決めろと言われました
15.おあずけはほどほどがいいみたいです
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しっかりと朝食をいただき、食後のお茶を飲みながら香子は先ほど行った御花園を思い出していた。基本は皇帝や皇后、親族や賓客の為にあるのだろう。広さはあまりなかったが素敵な庭園だったと思う。北京市内には他にも皇室所有の庭園がいくつもあるはずである。今は無理だろうがこの一年の間に見せてもらえたらいいなと香子は思うのだ。
(でも……そう簡単には行けないのかな)
現代中国ならともかく、庭園は皇室所有と考えると一般公開はされていない。その分キレイに保たれているのだろうとは思うが、もしかして香子が行くとなったら大名行列みたいになりそうな気がする。
香子は眉を寄せた。
(景山に行く時ぐらい気楽だといいのだけど……)
うだうだ考えても仕方ないので他のことを考えることにする。
そういえばまだ先のことだが、四神の誰かを選んで領地に行った後具体的に何をしていればいいのだろうか。
(子作りと子育て……?)
前に話を聞いたかんじだとそれぐらいしか思い浮かばない。しかもどうやら寿命がとんでもなく延びるようなので何百年もそうしているのかと思ったら眩暈がしてきた。
ふっと顔を上げれば玄武の心配そうな表情が目に入る。そういえばいつだって玄武は香子に声をかけてくれていた。横を見れば白虎と青龍が香子の様子を窺っている。だが玄武のように声をかけてくれたりはしない。それも彼らの優しさだろうと今度は朱雀を見れば、まっすぐに香子を見ていた。
黒い瞳に炎が見え、香子はくらりとした。情熱的な眼差しにやられてしまいそうだと香子は思う。
囚われてしまいそうだったがどうにかして目をそらした。
『……そういえば、前にも聞いたかもしれないんですけど……どなたかと結婚して領地に行ったら、私は何をするんですか?』
最初のうちにいろいろ聞いた気がするのだがパニック状態で詰め込まれた為に全く覚えていない。
『……我らと愛を育む。あとはそなたの好きにすればいい』
白虎が明快に答える。
『それって……その……ようは……』
香子の頬が赤く染まる。
『ずっと我らに抱かれ続けるのがそなたの役目だ』
甘いテナーに香子は顔を上げる。ひどく色っぽい表情でそれを告げたのは朱雀だった。顔だけではなく、全身が熱を持つのを香子は感じた。目の奥が熱くなって潤んでくる。
ここは食堂なのになんてことを言うのだ、この神様は。
『……朱雀様の……』
『うん?』
聞き返す仕草も婀娜っぽい。
『バカーーーーーーーー!!!!』
椅子を降りて食堂から逃げ出そうとしたが、さすがに今度は捕まってしまった。しかも今回は入口の側にいた朱雀によってである。
『香子、昨日から『バカ』とは聞き捨てならんな……』
(はうはうはうはう……)
じたばたもがく耳元に少し低めのテナーで囁かれたらもうたまらない。だがここで諦めたら間違いなく床に連れ込まれそうだったから、香子はとにかく暴れることしかできなかった。
『何がどうして『バカ』なのか説明してくれぬとわからぬのだが……』
『うー……女心を理解しないのも『バカ』なんですっ!』
あとでとんでもない目に合わされそうな気もしないでもないが言わずにはいられない。朱雀は眉を寄せた。
『ふむ……ならばその女心とやらを教えてはくれぬか?』
そう言ってとうとう膝に乗せられてしまった。それを見ている侍女たちが心の中で悶える。
香子は助けを求めるように白虎と青龍を見たが、彼らは柔らかく笑んでいるだけだった。
(う、裏切り者ーーーーー!!!)
『よ、夜になったら! 夜になったら教えますからぁーーー!!』
昼間は勘弁! と迫ってくる顔をどうにか手で押さえた。
朝から色気だだ漏れはやめてほしいと香子は切実に思ったのだった。
(でも……そう簡単には行けないのかな)
現代中国ならともかく、庭園は皇室所有と考えると一般公開はされていない。その分キレイに保たれているのだろうとは思うが、もしかして香子が行くとなったら大名行列みたいになりそうな気がする。
香子は眉を寄せた。
(景山に行く時ぐらい気楽だといいのだけど……)
うだうだ考えても仕方ないので他のことを考えることにする。
そういえばまだ先のことだが、四神の誰かを選んで領地に行った後具体的に何をしていればいいのだろうか。
(子作りと子育て……?)
前に話を聞いたかんじだとそれぐらいしか思い浮かばない。しかもどうやら寿命がとんでもなく延びるようなので何百年もそうしているのかと思ったら眩暈がしてきた。
ふっと顔を上げれば玄武の心配そうな表情が目に入る。そういえばいつだって玄武は香子に声をかけてくれていた。横を見れば白虎と青龍が香子の様子を窺っている。だが玄武のように声をかけてくれたりはしない。それも彼らの優しさだろうと今度は朱雀を見れば、まっすぐに香子を見ていた。
黒い瞳に炎が見え、香子はくらりとした。情熱的な眼差しにやられてしまいそうだと香子は思う。
囚われてしまいそうだったがどうにかして目をそらした。
『……そういえば、前にも聞いたかもしれないんですけど……どなたかと結婚して領地に行ったら、私は何をするんですか?』
最初のうちにいろいろ聞いた気がするのだがパニック状態で詰め込まれた為に全く覚えていない。
『……我らと愛を育む。あとはそなたの好きにすればいい』
白虎が明快に答える。
『それって……その……ようは……』
香子の頬が赤く染まる。
『ずっと我らに抱かれ続けるのがそなたの役目だ』
甘いテナーに香子は顔を上げる。ひどく色っぽい表情でそれを告げたのは朱雀だった。顔だけではなく、全身が熱を持つのを香子は感じた。目の奥が熱くなって潤んでくる。
ここは食堂なのになんてことを言うのだ、この神様は。
『……朱雀様の……』
『うん?』
聞き返す仕草も婀娜っぽい。
『バカーーーーーーーー!!!!』
椅子を降りて食堂から逃げ出そうとしたが、さすがに今度は捕まってしまった。しかも今回は入口の側にいた朱雀によってである。
『香子、昨日から『バカ』とは聞き捨てならんな……』
(はうはうはうはう……)
じたばたもがく耳元に少し低めのテナーで囁かれたらもうたまらない。だがここで諦めたら間違いなく床に連れ込まれそうだったから、香子はとにかく暴れることしかできなかった。
『何がどうして『バカ』なのか説明してくれぬとわからぬのだが……』
『うー……女心を理解しないのも『バカ』なんですっ!』
あとでとんでもない目に合わされそうな気もしないでもないが言わずにはいられない。朱雀は眉を寄せた。
『ふむ……ならばその女心とやらを教えてはくれぬか?』
そう言ってとうとう膝に乗せられてしまった。それを見ている侍女たちが心の中で悶える。
香子は助けを求めるように白虎と青龍を見たが、彼らは柔らかく笑んでいるだけだった。
(う、裏切り者ーーーーー!!!)
『よ、夜になったら! 夜になったら教えますからぁーーー!!』
昼間は勘弁! と迫ってくる顔をどうにか手で押さえた。
朝から色気だだ漏れはやめてほしいと香子は切実に思ったのだった。
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