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第2部 嫁ぎ先を決めろと言われました
21.甘やかされています ※R13
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なんだか騙されているような気がする。
けれどすでにいない人に嫉妬する自分に香子は自己嫌悪した。
(なんて身勝手……)
四神の花嫁なんて言われていい気になっていると思う。相手が四神だから4:1なんて異常事態がまかり通っているが、面白くないと思う者がいるのが当然だ。それが先日の昭正公主の独断につながったのだろう。
そう考えると御花園に行きたいと思うのもただのわがままで。
『香子?』
朱雀が香子の異変を感じて首筋から顔を上げた。すでに床に下ろされてガウンの合わせ目は開かれていた。
「あ……」
『どうかしたのか?』
朱雀が少し心配そうな表情で香子を窺う。香子は目の奥が熱くなった。
(好きなだけなのに)
玄武のことも、朱雀のことも選べないぐらい好きで。そこに白虎と青龍を加えるような真似をしてどうするつもりなのだろうか。香子は自嘲した。
朱雀が目元に口づけた。
『何故泣く?』
そう言われて香子はまた自分が泣いていたことに気付いた。最近泣きすぎだ、と香子は思う。
『私、調子に乗ってますよね……』
『調子に乗っているとは?』
朱雀は首を傾げた。
『だって、玄武様と朱雀様のことが好きなのに、白虎様や青龍様のことも選ぼうとしてて……』
『それのどこが調子に乗っていることになる?』
そう言いながら朱雀はいつになく香子の顔中にちゅっちゅっと軽い口づけを落とす。
『え……玄武様と朱雀様のどちらかから先に選べばいいじゃないですか。それなのに気を持たせるようなことをしてるから……』
『香子、そなたは我らの花嫁だ。誰と共にあるかを決めるのはそなたであって、我らに決定権はない。もちろん選択肢は我ら四神の内にしかないが、香子が我ら全員に向き合ってくれようとしているのは喜ばしいことだ。選ばれる可能性のあるなしは我らにとって死活問題だからな』
香子は少し考えるような顔をした。
朱雀の言うことは少し難しかった。
(選ばれる可能性のあるなし……?)
反芻して今まで聞いた話と結び付けてみる。
そういえば、先代の花嫁は白虎が早々に領地へ連れ去ったのではなかったか。そして白虎自身が身罷るまで三神が領地に来るのを許さなかったとか。
全く顔を合わせないということはなかったかもしれないが、それは選ばれる可能性を奪われたことにはならないだろうか。
『じゃあ……もしも私が白虎様や青龍様と触れて、そちらを選んでもいいのですか?』
試すようなことを言ってしまったと香子はすぐに後悔した。朱雀は眉を寄せ、すっと目を細めた。
『……その可能性があると?』
朱雀の雰囲気が変わったことに気づく。
『……例えば、の話です……』
至近距離で妖艶に微笑まれる。
『なれば、我以外を選びたくなくなるぐらい抱き続けねばなるまい……』
(なんでそーなるのーーーーっっ!?)
耳たぶを甘噛みされ、香子はびくっとその身を震わせた。流れるような所作で夜着の前をはだけられる。
「あっ!」
『昨夜は共に過ごせなくて寂しかったぞ。……そなたも少しは寂しく思ってくれただろうか……』
耳元で甘いテノールが囁き、香子は背筋がぞくぞくする感覚に身悶えた。
『朱雀様……耳、やだ……』
『何故? こなにそなたを愛しく思っているというのに……ねぇ、玄武兄』
香子の耳たぶを噛んだり舐めたりしながら朱雀が言った科白に、香子はぼうっとしながらも寝室の扉の方を見やった。
『香子、本当に我とも過ごしてくれるのか』
そう言ってはんなりとした笑みを浮かべた玄武が近付いてくる。そうして寝台に腰掛けて香子を見つめる。香子は思わず玄武に手を伸ばした。その手を取られ、口づけられる。
『香子、愛している……』
ぞくぞくするようなバリトン。
『香子、我もそなたを愛している……』
そして耳元で甘く囁かれるテノール。
(耳が犯されるって、こういうことを言うのかしら……)
二神の愛の言葉にふるりと身を震わせ、香子はとろけた頭でそんなことを思った。
朱雀の熱を受け、二神に執拗に抱かれた香子が、気を失ったように眠ったのは夜も更けた頃だった。
けれどすでにいない人に嫉妬する自分に香子は自己嫌悪した。
(なんて身勝手……)
四神の花嫁なんて言われていい気になっていると思う。相手が四神だから4:1なんて異常事態がまかり通っているが、面白くないと思う者がいるのが当然だ。それが先日の昭正公主の独断につながったのだろう。
そう考えると御花園に行きたいと思うのもただのわがままで。
『香子?』
朱雀が香子の異変を感じて首筋から顔を上げた。すでに床に下ろされてガウンの合わせ目は開かれていた。
「あ……」
『どうかしたのか?』
朱雀が少し心配そうな表情で香子を窺う。香子は目の奥が熱くなった。
(好きなだけなのに)
玄武のことも、朱雀のことも選べないぐらい好きで。そこに白虎と青龍を加えるような真似をしてどうするつもりなのだろうか。香子は自嘲した。
朱雀が目元に口づけた。
『何故泣く?』
そう言われて香子はまた自分が泣いていたことに気付いた。最近泣きすぎだ、と香子は思う。
『私、調子に乗ってますよね……』
『調子に乗っているとは?』
朱雀は首を傾げた。
『だって、玄武様と朱雀様のことが好きなのに、白虎様や青龍様のことも選ぼうとしてて……』
『それのどこが調子に乗っていることになる?』
そう言いながら朱雀はいつになく香子の顔中にちゅっちゅっと軽い口づけを落とす。
『え……玄武様と朱雀様のどちらかから先に選べばいいじゃないですか。それなのに気を持たせるようなことをしてるから……』
『香子、そなたは我らの花嫁だ。誰と共にあるかを決めるのはそなたであって、我らに決定権はない。もちろん選択肢は我ら四神の内にしかないが、香子が我ら全員に向き合ってくれようとしているのは喜ばしいことだ。選ばれる可能性のあるなしは我らにとって死活問題だからな』
香子は少し考えるような顔をした。
朱雀の言うことは少し難しかった。
(選ばれる可能性のあるなし……?)
反芻して今まで聞いた話と結び付けてみる。
そういえば、先代の花嫁は白虎が早々に領地へ連れ去ったのではなかったか。そして白虎自身が身罷るまで三神が領地に来るのを許さなかったとか。
全く顔を合わせないということはなかったかもしれないが、それは選ばれる可能性を奪われたことにはならないだろうか。
『じゃあ……もしも私が白虎様や青龍様と触れて、そちらを選んでもいいのですか?』
試すようなことを言ってしまったと香子はすぐに後悔した。朱雀は眉を寄せ、すっと目を細めた。
『……その可能性があると?』
朱雀の雰囲気が変わったことに気づく。
『……例えば、の話です……』
至近距離で妖艶に微笑まれる。
『なれば、我以外を選びたくなくなるぐらい抱き続けねばなるまい……』
(なんでそーなるのーーーーっっ!?)
耳たぶを甘噛みされ、香子はびくっとその身を震わせた。流れるような所作で夜着の前をはだけられる。
「あっ!」
『昨夜は共に過ごせなくて寂しかったぞ。……そなたも少しは寂しく思ってくれただろうか……』
耳元で甘いテノールが囁き、香子は背筋がぞくぞくする感覚に身悶えた。
『朱雀様……耳、やだ……』
『何故? こなにそなたを愛しく思っているというのに……ねぇ、玄武兄』
香子の耳たぶを噛んだり舐めたりしながら朱雀が言った科白に、香子はぼうっとしながらも寝室の扉の方を見やった。
『香子、本当に我とも過ごしてくれるのか』
そう言ってはんなりとした笑みを浮かべた玄武が近付いてくる。そうして寝台に腰掛けて香子を見つめる。香子は思わず玄武に手を伸ばした。その手を取られ、口づけられる。
『香子、愛している……』
ぞくぞくするようなバリトン。
『香子、我もそなたを愛している……』
そして耳元で甘く囁かれるテノール。
(耳が犯されるって、こういうことを言うのかしら……)
二神の愛の言葉にふるりと身を震わせ、香子はとろけた頭でそんなことを思った。
朱雀の熱を受け、二神に執拗に抱かれた香子が、気を失ったように眠ったのは夜も更けた頃だった。
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