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第4部 四神を愛しなさいと言われました
79.四神宮に戻ってきた実感は
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昼食をこれでもかといただいてから、香子は青龍たちと共に青龍の領地を辞した。
食べるだけ食べて帰るというのもどうかと思ったが、青龍だけでなく玄武と朱雀も待てないようだった。
とんでもないことを言ってしまったと香子は後悔したが、いつだって後悔は先に立たないものである。
『どうか、お早い御戻りをお待ちしております』
青沙以下、青龍の眷属たちにそう言われ、香子たちは送り出された。
(これは……青龍様だけじゃなくて、私にも言ってるんだろうなぁ……)
ぼんやりと香子は思う。移動はいつも通り一瞬なので情緒も余韻もへったくれもない。青龍が戻ったのは、青龍の室の居間だったようだ。
香子はいきなり変わった景色に、今回も目を瞬いた。
四神宮の誰かの室だということはわかるが、造りはみな一緒なので誰の室なのかわからないのである。
ここはどなたの室……と思ったところで、名を呼ばれた。
『香子』
青龍が香子を抱き上げたまま少しきつめに香子を抱きしめる。
『あっ……』
当然側には玄武と朱雀、青藍もいて。青藍は相変わらず表情が動かないまま、
『それでは帰還の報告をして参ります。青龍様、玄武様、朱雀様はこれから花嫁様と愛を確かめられる、ということで間違いないでしょうか?』
さらりととんでもないことを言った。
『ええー……』
やはりそういうことになるのかと、多少覚悟はしていたとはいえ香子は声を上げてしまう。
『そうだな』
青龍が応えた。玄武と朱雀も頷く。
『青龍様っ、夕食はいただきたいのでそのっ……』
寝室へ足が向いた青龍に必死で声をかける。青龍は口元に笑みを浮かべた。
『朝食を多めに用意してもらうことにしよう』
『そ、そんなー……』
もう青龍は片時も待てないようだった。そうして、玄武、朱雀、青龍と共に香子は寝室に囚われたのだった。
『あー……』
目覚めた時、凄まじい空腹を感じて、またかと香子は思った。あまりにもおなかがすきすぎて泣けてくる。
『香子、起きたのか』
青龍の涼やかな声がし、唇を塞がれる。
「んっ……」
唾液さえも甘く感じるのが、香子としてはなんとも恥ずかしい。青龍は味わうように香子の口腔内を舐め、舌を吸った。
『ぁっ……玄武、様と朱雀様は……?』
広い寝台には青龍と香子しかいないことを、香子は不思議に思った。
『我よりも玄武兄と朱雀兄の所在を聞くとは……妬けるな』
楽しそうに青龍が言う。
『……四神同士は嫉妬なんてしないのではないですか?』
『……どうもそなたといると調子が狂うようだ』
『?』
そうしてじゃれている間に食事の準備が整ったらしい。居間に人の気配が増え、
『お食事の準備ができました』
と青藍の声がした。香子は起き上がろうとしたが、身体がだるくて動けそうもない。
『青龍様……動けません』
『しばし待て』
青龍は己の身支度を流れるように行うと、香子にも衣服を着せた。あまり整っているとは言えないが、肌を見せないことが第一である。髪も簡単に結い上げられて、青龍は器用だと香子は思った。
『青龍様、ありがとうございます』
そうして居間に運ばれ、やっと食べ物にありつけたのだった。
昨日の昼過ぎに青龍が言った通り、今は朝のようだった。青龍に抱かれると時間感覚がなくなるのが困ると香子は思う。
給仕する侍女たちの顔を見て、香子はやっと四神宮に戻ってきたという実感が湧いた。
今朝は馬遼が来ていたらしい。焦げ目の多い大ぶりな春巻を見て、香子はにんまりした。四神宮の厨師が作ってくれる上品な春巻も香子は好きだが、やはりもやしやにんじん、ピーマン、タケノコなどが雑多に入っている春巻も大好物だ。ところどころ端っこが焦げて黒くなっているのもご愛敬である。
黒っぽい色になっている揚げ餃子などもあり、香子は喜んでこれでもかと食べた。
ごはんがおいしいのは幸せだと、香子はしみじみ思った。
おなかが落ち着いてくるといらんことを考えるのは香子の悪い癖である。
『そういえば、青龍様もそうですけど、四神って器用ですよね』
『そうだろうか』
青龍が首を傾げた。
『器用だと思いますよ。私の髪もこうして結い上げてくださいましたし。私、自分の髪が長いのは好きなんですけど、不器用で結うとかそういうことが苦手なんですよね』
『そういうものなのか』
青龍は珍しく、少し考えるような顔をした。
『……我らは長く生きている故、身支度程度であればなんということもない。複雑な髪型などはできぬが、このように簡単なものでよければ、これからも我がしてやろう』
『うわぁ……青龍様に髪を結ってもらえるなんて贅沢ですね』
『そうだろうか』
青龍が結った香子の髪は、四神宮の表へ出るには向かないが、中であればそれほど問題になるものでもない。侍女たちは二日ぶりの香子の姿に安堵し、青龍と仲睦まじいのを確認して内心身もだえていた。
『あ、そうだ。青藍、戻ってきた報告はしてくれたのでしょう?』
『はい、趙に伝えました』
『ありがとう』
四神宮の主官である趙文英に知らせたのならば問題ないだろうと香子は頷いた。きっと趙が各所に知らせてくれたはずである。
それに、青藍が戻ってきているということは香子たちが戻ってきていることの証拠だ。
『部屋に戻ります』
『……もう少しここにいてもよかろう』
青龍に引き止められて、香子は目を丸くした。ついつい顔が崩れそうになるのをどうにか抑える。
『いつまでもこのような恰好ではいられませんわ。またお昼にご一緒してくださいませ』
『……そなたにはかなわぬ。連れて行こう』
青龍はどこまでも甘くて、香子を抱いて香子の部屋へ運んだのだった。
食べるだけ食べて帰るというのもどうかと思ったが、青龍だけでなく玄武と朱雀も待てないようだった。
とんでもないことを言ってしまったと香子は後悔したが、いつだって後悔は先に立たないものである。
『どうか、お早い御戻りをお待ちしております』
青沙以下、青龍の眷属たちにそう言われ、香子たちは送り出された。
(これは……青龍様だけじゃなくて、私にも言ってるんだろうなぁ……)
ぼんやりと香子は思う。移動はいつも通り一瞬なので情緒も余韻もへったくれもない。青龍が戻ったのは、青龍の室の居間だったようだ。
香子はいきなり変わった景色に、今回も目を瞬いた。
四神宮の誰かの室だということはわかるが、造りはみな一緒なので誰の室なのかわからないのである。
ここはどなたの室……と思ったところで、名を呼ばれた。
『香子』
青龍が香子を抱き上げたまま少しきつめに香子を抱きしめる。
『あっ……』
当然側には玄武と朱雀、青藍もいて。青藍は相変わらず表情が動かないまま、
『それでは帰還の報告をして参ります。青龍様、玄武様、朱雀様はこれから花嫁様と愛を確かめられる、ということで間違いないでしょうか?』
さらりととんでもないことを言った。
『ええー……』
やはりそういうことになるのかと、多少覚悟はしていたとはいえ香子は声を上げてしまう。
『そうだな』
青龍が応えた。玄武と朱雀も頷く。
『青龍様っ、夕食はいただきたいのでそのっ……』
寝室へ足が向いた青龍に必死で声をかける。青龍は口元に笑みを浮かべた。
『朝食を多めに用意してもらうことにしよう』
『そ、そんなー……』
もう青龍は片時も待てないようだった。そうして、玄武、朱雀、青龍と共に香子は寝室に囚われたのだった。
『あー……』
目覚めた時、凄まじい空腹を感じて、またかと香子は思った。あまりにもおなかがすきすぎて泣けてくる。
『香子、起きたのか』
青龍の涼やかな声がし、唇を塞がれる。
「んっ……」
唾液さえも甘く感じるのが、香子としてはなんとも恥ずかしい。青龍は味わうように香子の口腔内を舐め、舌を吸った。
『ぁっ……玄武、様と朱雀様は……?』
広い寝台には青龍と香子しかいないことを、香子は不思議に思った。
『我よりも玄武兄と朱雀兄の所在を聞くとは……妬けるな』
楽しそうに青龍が言う。
『……四神同士は嫉妬なんてしないのではないですか?』
『……どうもそなたといると調子が狂うようだ』
『?』
そうしてじゃれている間に食事の準備が整ったらしい。居間に人の気配が増え、
『お食事の準備ができました』
と青藍の声がした。香子は起き上がろうとしたが、身体がだるくて動けそうもない。
『青龍様……動けません』
『しばし待て』
青龍は己の身支度を流れるように行うと、香子にも衣服を着せた。あまり整っているとは言えないが、肌を見せないことが第一である。髪も簡単に結い上げられて、青龍は器用だと香子は思った。
『青龍様、ありがとうございます』
そうして居間に運ばれ、やっと食べ物にありつけたのだった。
昨日の昼過ぎに青龍が言った通り、今は朝のようだった。青龍に抱かれると時間感覚がなくなるのが困ると香子は思う。
給仕する侍女たちの顔を見て、香子はやっと四神宮に戻ってきたという実感が湧いた。
今朝は馬遼が来ていたらしい。焦げ目の多い大ぶりな春巻を見て、香子はにんまりした。四神宮の厨師が作ってくれる上品な春巻も香子は好きだが、やはりもやしやにんじん、ピーマン、タケノコなどが雑多に入っている春巻も大好物だ。ところどころ端っこが焦げて黒くなっているのもご愛敬である。
黒っぽい色になっている揚げ餃子などもあり、香子は喜んでこれでもかと食べた。
ごはんがおいしいのは幸せだと、香子はしみじみ思った。
おなかが落ち着いてくるといらんことを考えるのは香子の悪い癖である。
『そういえば、青龍様もそうですけど、四神って器用ですよね』
『そうだろうか』
青龍が首を傾げた。
『器用だと思いますよ。私の髪もこうして結い上げてくださいましたし。私、自分の髪が長いのは好きなんですけど、不器用で結うとかそういうことが苦手なんですよね』
『そういうものなのか』
青龍は珍しく、少し考えるような顔をした。
『……我らは長く生きている故、身支度程度であればなんということもない。複雑な髪型などはできぬが、このように簡単なものでよければ、これからも我がしてやろう』
『うわぁ……青龍様に髪を結ってもらえるなんて贅沢ですね』
『そうだろうか』
青龍が結った香子の髪は、四神宮の表へ出るには向かないが、中であればそれほど問題になるものでもない。侍女たちは二日ぶりの香子の姿に安堵し、青龍と仲睦まじいのを確認して内心身もだえていた。
『あ、そうだ。青藍、戻ってきた報告はしてくれたのでしょう?』
『はい、趙に伝えました』
『ありがとう』
四神宮の主官である趙文英に知らせたのならば問題ないだろうと香子は頷いた。きっと趙が各所に知らせてくれたはずである。
それに、青藍が戻ってきているということは香子たちが戻ってきていることの証拠だ。
『部屋に戻ります』
『……もう少しここにいてもよかろう』
青龍に引き止められて、香子は目を丸くした。ついつい顔が崩れそうになるのをどうにか抑える。
『いつまでもこのような恰好ではいられませんわ。またお昼にご一緒してくださいませ』
『……そなたにはかなわぬ。連れて行こう』
青龍はどこまでも甘くて、香子を抱いて香子の部屋へ運んだのだった。
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