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第2部 嫁ぎ先を決めろと言われました
74.髪の色は重要だったのです
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四神特有の無表情で青龍は香子を運ぶ。彼が己の室に戻り寝室に向かおうとした時香子がその腕を叩いた。
『青龍様、お話! お話がしたいです!』
『床でもできるだろう』
『いーやーでーすっ!!』
青龍は嘆息した。それがわがままをしかたなく聞いてやっている風に見えたので香子はむっとした。
わがままを言っているのはどっちだと思う。とにかく寝室に連れ込まれるわけにはいかない。香子はべちべちと容赦なく青龍の腕を叩き続けた。
『……そんなに嫌か……』
とても残念そうな声に気持ちが揺れそうになるのを香子はどうにかこらえた。ここでほだされようものなら全身余すところなく舐められてしまう。いきなり最後までされることはないだろうが、そんな羞恥プレイは全力でお断りしたい。
『青龍様、お話しましょう。私たち、もっとお互いを知ることが大事だと思うのです』
『ならば床へ……』
『身体は最後ですッ!!』
いいかげんエロい方向へ持っていこうとするのはやめてほしい、切実に。
『そういうものなのか?』
『そういうものなんです!』
本気で不思議そうに言っているから香子は頭痛がしそうである。
(人間の常識に当て嵌められないのはわかってるけど……)
だからこといろいろ話をしてお互いを理解しなければいけないと思う。だが青龍の次の科白は衝撃的だった。
『人間の女性というのはそういうことを喜んでするものではないのか』
『……はい? いったい誰がそんなことを……?』
一瞬何を言われているのかわからなかったが、とりあえずニュースソースの提示を要求する。
『いや……そうだな。香子が違うというのならば、それでかまわぬ』
いつになく言葉を濁す青龍に香子はピンときてしまった。いわゆる女の勘というやつである。
そういえば四神はそういうことを人間に手ほどきしてもらうのではなかったか。
”四神の花嫁”を傷つけず大事に愛する為に、経験として眷属が手配するようなことを聞いた覚えがあった。
香子はふーっと深く息をついた。この際青龍の経験については考えないことにする。
『青龍様、申し訳ありませんが私はそれほどそういうことが好きなわけではありません。もちろん経験がないとは言いませんし、玄武様、朱雀様と夜を過ごさせていただいてはいますがそれは相思相愛だからです。はっきり言いますが私はまだそこまで青龍様を想っていません。身体から始まる恋がないとはいえませんが、できれば青龍様をよく知りその上でそういう関係になりたいです』
きっぱりはっきり告げると、青龍の瞳に残念そうな色が浮かんだ。目は口ほどに物を言うとはこのことかと香子は感心する。
伝えたことは以前からも言っていることだがそれにしても手を出されすぎている感が否めない。
『どうか大事にしてくださいまし』
小首を傾げてダメ押しをすると何故か口づけられた。
『!?』
『……そなたが愛しすぎる』
至近距離で囁かれて香子は赤くなる。意志を強く持たないと流されてしまう。美貌の主に口説かれているのだ。陥落する日も近い、と香子自身も思った。
そうは言っても香子の葛藤も深い。
一年あるのだと思っていたから青龍と白虎にはもう少し甘えるつもりでいた。けれど”春の大祭”とやらに出ようと思ったら青龍に抱かれておかなければならないという。
『ううー……』
出たい、というよりも見たいという思いが大きい。”春の大祭”に出る機会というのはきっとこれっきりだろう。年始に王城に滞在することはあっても行事などに参加できるのはこの一年間だけだと思うのだ。
『何をそれほど悩むのか』
香子はギロリと朱雀を睨んだ。将来的に四神全てと関係を持つことが約束されている香子の心理が理解できるはずがないとわかっていても憎らしい。
『だって……大祭が見たいから青龍様に抱かれるって、なんか違うじゃないですか』
『青龍はそれを望んでいるようだが……』
『そういう理由で抱かれるの、私は嫌なんですッ!』
玄武が喉の奥で笑った。
『香子は純粋なのだな。ならば他の理由ではどうだ?』
『他の理由、ですか?』
玄武に瞳を覗き込まれる。
(ええいっ! 心臓ばくばくするからやめてぇっ!!)
至近距離はとにかく精神的にもよくないと香子は思う。香子は無意識で後ずさろうとした。それを背後にいる朱雀が止める。
『確か、青龍に抱かれれば赤子のようなみずみずしい肌を手に入れることができると聞いたことがある』
『みずみずしい肌!?』
香子は自分の手に触れた。最近は白くなり、侍女たちに手入れされているせいかしっとりしている。それで十分といえば十分だが肌の美しさを求めるのは女性の性であると言えよう。香子は赤ちゃんの肌を思い浮かべた。もちもちしているのにしっとりとしたすべすべの肌。
(青龍様に抱かれればそうなる?)
そう考えて、しかし首を振った。
そんな打算的なのはいけない、と思ったがよく考えたら赤い髪でいたいが為に朱雀に抱かれようとしたことを思い出してげんなりした。あの時は朱雀の”熱”をどうやって受け取ろうか本気で悩んでいた。
(なんてちょろいの、私……)
たまらなくなって玄武に縋りつく。
『玄武様、大好きです!』
『我も愛しているぞ』
即答されて嬉しくなった背後から『我もそなたを愛している』と朱雀に言われた。一瞬忘れていたとはとても言えない。
『朱雀様も! 大好きです! んんーっ!!』
もちろんしっかりバレていたらしい。朱雀に唇を奪われて、香子はいつも以上に濃厚な夜を過ごすことになった。
『青龍様、お話! お話がしたいです!』
『床でもできるだろう』
『いーやーでーすっ!!』
青龍は嘆息した。それがわがままをしかたなく聞いてやっている風に見えたので香子はむっとした。
わがままを言っているのはどっちだと思う。とにかく寝室に連れ込まれるわけにはいかない。香子はべちべちと容赦なく青龍の腕を叩き続けた。
『……そんなに嫌か……』
とても残念そうな声に気持ちが揺れそうになるのを香子はどうにかこらえた。ここでほだされようものなら全身余すところなく舐められてしまう。いきなり最後までされることはないだろうが、そんな羞恥プレイは全力でお断りしたい。
『青龍様、お話しましょう。私たち、もっとお互いを知ることが大事だと思うのです』
『ならば床へ……』
『身体は最後ですッ!!』
いいかげんエロい方向へ持っていこうとするのはやめてほしい、切実に。
『そういうものなのか?』
『そういうものなんです!』
本気で不思議そうに言っているから香子は頭痛がしそうである。
(人間の常識に当て嵌められないのはわかってるけど……)
だからこといろいろ話をしてお互いを理解しなければいけないと思う。だが青龍の次の科白は衝撃的だった。
『人間の女性というのはそういうことを喜んでするものではないのか』
『……はい? いったい誰がそんなことを……?』
一瞬何を言われているのかわからなかったが、とりあえずニュースソースの提示を要求する。
『いや……そうだな。香子が違うというのならば、それでかまわぬ』
いつになく言葉を濁す青龍に香子はピンときてしまった。いわゆる女の勘というやつである。
そういえば四神はそういうことを人間に手ほどきしてもらうのではなかったか。
”四神の花嫁”を傷つけず大事に愛する為に、経験として眷属が手配するようなことを聞いた覚えがあった。
香子はふーっと深く息をついた。この際青龍の経験については考えないことにする。
『青龍様、申し訳ありませんが私はそれほどそういうことが好きなわけではありません。もちろん経験がないとは言いませんし、玄武様、朱雀様と夜を過ごさせていただいてはいますがそれは相思相愛だからです。はっきり言いますが私はまだそこまで青龍様を想っていません。身体から始まる恋がないとはいえませんが、できれば青龍様をよく知りその上でそういう関係になりたいです』
きっぱりはっきり告げると、青龍の瞳に残念そうな色が浮かんだ。目は口ほどに物を言うとはこのことかと香子は感心する。
伝えたことは以前からも言っていることだがそれにしても手を出されすぎている感が否めない。
『どうか大事にしてくださいまし』
小首を傾げてダメ押しをすると何故か口づけられた。
『!?』
『……そなたが愛しすぎる』
至近距離で囁かれて香子は赤くなる。意志を強く持たないと流されてしまう。美貌の主に口説かれているのだ。陥落する日も近い、と香子自身も思った。
そうは言っても香子の葛藤も深い。
一年あるのだと思っていたから青龍と白虎にはもう少し甘えるつもりでいた。けれど”春の大祭”とやらに出ようと思ったら青龍に抱かれておかなければならないという。
『ううー……』
出たい、というよりも見たいという思いが大きい。”春の大祭”に出る機会というのはきっとこれっきりだろう。年始に王城に滞在することはあっても行事などに参加できるのはこの一年間だけだと思うのだ。
『何をそれほど悩むのか』
香子はギロリと朱雀を睨んだ。将来的に四神全てと関係を持つことが約束されている香子の心理が理解できるはずがないとわかっていても憎らしい。
『だって……大祭が見たいから青龍様に抱かれるって、なんか違うじゃないですか』
『青龍はそれを望んでいるようだが……』
『そういう理由で抱かれるの、私は嫌なんですッ!』
玄武が喉の奥で笑った。
『香子は純粋なのだな。ならば他の理由ではどうだ?』
『他の理由、ですか?』
玄武に瞳を覗き込まれる。
(ええいっ! 心臓ばくばくするからやめてぇっ!!)
至近距離はとにかく精神的にもよくないと香子は思う。香子は無意識で後ずさろうとした。それを背後にいる朱雀が止める。
『確か、青龍に抱かれれば赤子のようなみずみずしい肌を手に入れることができると聞いたことがある』
『みずみずしい肌!?』
香子は自分の手に触れた。最近は白くなり、侍女たちに手入れされているせいかしっとりしている。それで十分といえば十分だが肌の美しさを求めるのは女性の性であると言えよう。香子は赤ちゃんの肌を思い浮かべた。もちもちしているのにしっとりとしたすべすべの肌。
(青龍様に抱かれればそうなる?)
そう考えて、しかし首を振った。
そんな打算的なのはいけない、と思ったがよく考えたら赤い髪でいたいが為に朱雀に抱かれようとしたことを思い出してげんなりした。あの時は朱雀の”熱”をどうやって受け取ろうか本気で悩んでいた。
(なんてちょろいの、私……)
たまらなくなって玄武に縋りつく。
『玄武様、大好きです!』
『我も愛しているぞ』
即答されて嬉しくなった背後から『我もそなたを愛している』と朱雀に言われた。一瞬忘れていたとはとても言えない。
『朱雀様も! 大好きです! んんーっ!!』
もちろんしっかりバレていたらしい。朱雀に唇を奪われて、香子はいつも以上に濃厚な夜を過ごすことになった。
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