235 / 652
第2部 嫁ぎ先を決めろと言われました
81.もふもふでなければダメなんです ※R13
しおりを挟む
香子はひどく腹を立てていた。あれから朱雀に文字通りかじりついた(物理)が怒りはさっぱり醒めなかった。
『……なんで朱雀様は怒らないんですかっ!?』
朱雀の腕をがじがじしながら叫ぶように香子が言う。朱雀は笑み、後ろからきつく香子を抱きしめた。
『そなたがすでに怒っているだろう。我らの為にそなたが憤ってくれるのは嬉しい。だが、我らにとって譲れぬものは香子、そなただけなのだ』
『……うっ……』
ずるい、と香子は思う。なんというか四神は香子にひどく甘い。花嫁補正だということをその都度思い出さなければぐずぐずと溶けてしまいそうだ。そしてそれは当然言葉だけではなくて。
『……朱雀様、何をしていらっしゃいますか?』
片腕は香子が抱き込んでいるのでそのままだが、もう片方の手の動きがいただけない。さわさわと胸を揉まれるのはいいがそのまま漢服の衿をくつろげようとする動きが気になる。
『こういう時は愛し合うのが一番と聞いたぞ』
『誰からですか……。ちょっ! 手を突っ込まない! 朱雀様っ!!』
あわよくば香子をそのまま押し倒そうとする朱雀。そうはさせじと朱雀の腕に香子ががぶっと容赦なく噛みついたことで攻防は終了した。
もちろん朱雀が痛みなど感じるはずもなく、はあはあと息を荒げている香子に『歯形というのも面白いものだな』とのん気に言って更に怒らせたのは余談である。
さて、押し倒される危険もさることながら怒りがどうしても醒めない状態の為、香子は予定通り白虎に八つ当たりすることにした。朱雀が直接白虎に連絡してくれたのでそう待たされることなく白虎が迎えにきてくれた。四神同士は念話があるのでこういうところは便利だと香子も思う。そうでなければすぐ側の室だというのに先触れを出して……なんて手間がかかるのが普通だ。四神宮の中ぐらい便利でもいいではないかと、四神と一緒の時はそこらへんを省略してもらっている。
だっこされるのも慣れた、というか抱き上げられやすいように自然と体移動しているような気がする。
四神は大体みな体格が似通ってはいるのだが白虎の腕は特に太いという印象だ。筋肉質で太く他の三神より安定感がある。
(虎だもんね。腕っていうより前足?)
『兄から話は聞いたが、そこまで憤ることでもなかろう』
白虎の室に入りなだめるように言われる。香子はむっとした。
『私が、嫌なんです!! 白虎様、元のお姿に戻ってください!』
太い首にぎゅうぎゅう縋りつくと白虎はいたずらっ子のように笑う。
『積極的だな香子。そなに我に抱かれたいとは……』
『ちーがーいーまーすーっ!! 白虎様の毛を堪能したいだけですーっ!!』
『……全く』
白虎は苦笑するとそのまま寝室に移動した。居間もそれなりに広さはあるのだがやはり床の方がいい。香子を床に下ろし、その横に白虎が寝転がる。香子は目を伏せた。
途端パァッと光が生じ、『香子、よいぞ』と唸るような更に低い声に香子は顔を上げた。
(もふもふーーーーー!!)
床に横臥しているのは文字通り美しい大きな白い虎だった。香子は満面の笑みを浮かべ白虎にダイブした。
(はう~はう~もふもふーもふもふーっ!!)
ぎゅうぎゅうと抱きついて白虎の毛皮に顔をぐりぐりとこすりつける。硬そうに見える毛だがそれなりに柔らかいので香子は埋もれながら堪能する。いわゆるアニマルセラピーというやつだろうか、香子はもうご機嫌だった。
白虎はしばらくされるがままでいたが、たまらなくなったのか前足で香子を軽く押さえた。
『香子、我がこの姿になる意味はわかっておるな?』
人型の時よりも低く迫力のあるバス。香子はうっとりとその声にも聞きほれる。しかし香子もそう簡単には流されない。
『だめです。今日の白虎様は私の言いなりになってください。欲情するようなら人型に戻ってくださいね』
『……なんの拷問だ』
『四神相手に拷問なんかできるわけないじゃないですか。今の私には癒しが必要なんですっ!!』
白虎は嘆息した。とんだ災難である。だが怖がられないのは好ましい。
(うーうー……気持ちいいっ!!)
香子はうっとりと白虎に抱きついてその毛皮に何度も口づけした。好きなのだ。この虎の姿でなくても人型の白虎にも触れたいと思うほどに。
それはもう白虎が好きと言っていいのだがまだそのことに香子は気付いていなかった。けれど白虎はそんな香子の心の動きを悟っていた。ただまだ急いではいない為香子の好きにさせている。いずれそのことに香子が気付けば、もう白虎も我慢はしないだろう。
『……なんだかんだ言って、四神は人に寛容ですよね』
『……そう思うか』
香子は内心嘆息する。神様が人間に寛容なのはいいことだ。だがそれを利用しようとする者がいることがいただけない。
(皇帝はまぁ、しかたないとして……)
認めるわけではないが”四神の花嫁”という立場は利用されやすいと香子は考える。今回の大祭や、中秋節、そして来年の春節などのイベントで国の不穏分子は一掃されるに違いない。
(皇后が愚かな人じゃないといいけど……)
そんなことをつらつら考えながら、香子は白虎が音を上げるまで思う存分もふもふしたのだった。
『……なんで朱雀様は怒らないんですかっ!?』
朱雀の腕をがじがじしながら叫ぶように香子が言う。朱雀は笑み、後ろからきつく香子を抱きしめた。
『そなたがすでに怒っているだろう。我らの為にそなたが憤ってくれるのは嬉しい。だが、我らにとって譲れぬものは香子、そなただけなのだ』
『……うっ……』
ずるい、と香子は思う。なんというか四神は香子にひどく甘い。花嫁補正だということをその都度思い出さなければぐずぐずと溶けてしまいそうだ。そしてそれは当然言葉だけではなくて。
『……朱雀様、何をしていらっしゃいますか?』
片腕は香子が抱き込んでいるのでそのままだが、もう片方の手の動きがいただけない。さわさわと胸を揉まれるのはいいがそのまま漢服の衿をくつろげようとする動きが気になる。
『こういう時は愛し合うのが一番と聞いたぞ』
『誰からですか……。ちょっ! 手を突っ込まない! 朱雀様っ!!』
あわよくば香子をそのまま押し倒そうとする朱雀。そうはさせじと朱雀の腕に香子ががぶっと容赦なく噛みついたことで攻防は終了した。
もちろん朱雀が痛みなど感じるはずもなく、はあはあと息を荒げている香子に『歯形というのも面白いものだな』とのん気に言って更に怒らせたのは余談である。
さて、押し倒される危険もさることながら怒りがどうしても醒めない状態の為、香子は予定通り白虎に八つ当たりすることにした。朱雀が直接白虎に連絡してくれたのでそう待たされることなく白虎が迎えにきてくれた。四神同士は念話があるのでこういうところは便利だと香子も思う。そうでなければすぐ側の室だというのに先触れを出して……なんて手間がかかるのが普通だ。四神宮の中ぐらい便利でもいいではないかと、四神と一緒の時はそこらへんを省略してもらっている。
だっこされるのも慣れた、というか抱き上げられやすいように自然と体移動しているような気がする。
四神は大体みな体格が似通ってはいるのだが白虎の腕は特に太いという印象だ。筋肉質で太く他の三神より安定感がある。
(虎だもんね。腕っていうより前足?)
『兄から話は聞いたが、そこまで憤ることでもなかろう』
白虎の室に入りなだめるように言われる。香子はむっとした。
『私が、嫌なんです!! 白虎様、元のお姿に戻ってください!』
太い首にぎゅうぎゅう縋りつくと白虎はいたずらっ子のように笑う。
『積極的だな香子。そなに我に抱かれたいとは……』
『ちーがーいーまーすーっ!! 白虎様の毛を堪能したいだけですーっ!!』
『……全く』
白虎は苦笑するとそのまま寝室に移動した。居間もそれなりに広さはあるのだがやはり床の方がいい。香子を床に下ろし、その横に白虎が寝転がる。香子は目を伏せた。
途端パァッと光が生じ、『香子、よいぞ』と唸るような更に低い声に香子は顔を上げた。
(もふもふーーーーー!!)
床に横臥しているのは文字通り美しい大きな白い虎だった。香子は満面の笑みを浮かべ白虎にダイブした。
(はう~はう~もふもふーもふもふーっ!!)
ぎゅうぎゅうと抱きついて白虎の毛皮に顔をぐりぐりとこすりつける。硬そうに見える毛だがそれなりに柔らかいので香子は埋もれながら堪能する。いわゆるアニマルセラピーというやつだろうか、香子はもうご機嫌だった。
白虎はしばらくされるがままでいたが、たまらなくなったのか前足で香子を軽く押さえた。
『香子、我がこの姿になる意味はわかっておるな?』
人型の時よりも低く迫力のあるバス。香子はうっとりとその声にも聞きほれる。しかし香子もそう簡単には流されない。
『だめです。今日の白虎様は私の言いなりになってください。欲情するようなら人型に戻ってくださいね』
『……なんの拷問だ』
『四神相手に拷問なんかできるわけないじゃないですか。今の私には癒しが必要なんですっ!!』
白虎は嘆息した。とんだ災難である。だが怖がられないのは好ましい。
(うーうー……気持ちいいっ!!)
香子はうっとりと白虎に抱きついてその毛皮に何度も口づけした。好きなのだ。この虎の姿でなくても人型の白虎にも触れたいと思うほどに。
それはもう白虎が好きと言っていいのだがまだそのことに香子は気付いていなかった。けれど白虎はそんな香子の心の動きを悟っていた。ただまだ急いではいない為香子の好きにさせている。いずれそのことに香子が気付けば、もう白虎も我慢はしないだろう。
『……なんだかんだ言って、四神は人に寛容ですよね』
『……そう思うか』
香子は内心嘆息する。神様が人間に寛容なのはいいことだ。だがそれを利用しようとする者がいることがいただけない。
(皇帝はまぁ、しかたないとして……)
認めるわけではないが”四神の花嫁”という立場は利用されやすいと香子は考える。今回の大祭や、中秋節、そして来年の春節などのイベントで国の不穏分子は一掃されるに違いない。
(皇后が愚かな人じゃないといいけど……)
そんなことをつらつら考えながら、香子は白虎が音を上げるまで思う存分もふもふしたのだった。
26
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
黒騎士団の娼婦
星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた
いに。
恋愛
"佐久良 麗"
これが私の名前。
名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。
両親は他界
好きなものも特にない
将来の夢なんてない
好きな人なんてもっといない
本当になにも持っていない。
0(れい)な人間。
これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。
そんな人生だったはずだ。
「ここ、、どこ?」
瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。
_______________....
「レイ、何をしている早くいくぞ」
「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」
「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」
「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」
えっと……?
なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう?
※ただ主人公が愛でられる物語です
※シリアスたまにあり
※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です
※ど素人作品です、温かい目で見てください
どうぞよろしくお願いします。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる