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第4部 四神を愛しなさいと言われました
115.白虎の領地から眷属たちが来ました
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その日の夜は、青龍と過ごすことになっている。
白虎が不満そうだったがしかたない。そういう約束だった。
そのせいか、慈寧宮から戻ってきた後白虎は香子を夕飯の時間まで放さなかった。
『もう……』
そんなに胸ばかりいじられたらまた胸が大きく育ってしまう。
香子はそう思ってから、胸の大きさをどこかで固定しなければならないということを思い出した。(第四部94話参照)
胸の大きさは白虎が決めるのだと思い出して、香子はげんなりした。自分の胸だというのに、自分で大きさを決められないというのが解せないが、本来自分の身体のコントロールなどできるはずもない。それこそ整形でもしない限りは。
(胸に関しては豊胸? とかだもんね。それなりに大きい人が羨ましいと思ったこともあったけど……)
『あっ……』
だが白虎に愛でられながらそんなことを考えていられたのはそれまでだった。
白虎は本性を現わさなかったが(がんばって耐えた)、香子はまたへろへろになるまでかわいがられたのだった。
夕飯は多めに用意された。
青龍に抱かれるとなったら一日がかりだからである。
どうしたって、今日は青龍に抱かれたいから気軽に抱かれるというわけにはいかない。
香子の覚悟と準備が必要であった。
色気のない話だが、途中で香子が飢えてしまう可能性もあるので、四神もそこは逆らわなかった。
そうして玄武と朱雀のサポートを経て、翌日の夕飯前に香子はやっと目を覚ました。
「うええええーん、おなかすいたよぉおおお……」
本当に色気もなにもあったものではない。
『何故こなに香子は愛らしいのか……準備はさせている故、そう泣くな』
「うえっ、うええーん……」
人間、空腹もある程度過ぎると泣きたくなるものだ。
玄武と青龍にかいがいしく世話をされ、ものすごい量の夕飯を食べたことで、香子はやっと落ち着いた。
『この空腹は本当にどうにかならないのですか……』
青龍の腕の中で、香子は拗ねたように呟いた。
『そうさな。そなたはすでに人ではないが、我らの子を身の内に宿す準備をしている故そのようになっているのだ。子を一人でも成せば少しは落ち着くのであろうが……』
玄武にそう説明されて、香子はブルリと震えた。
香子が毎晩四神としている行為は子作りである。ただなかなか妊娠するものではないと聞いていたから、香子は考えないようにしていた。
『そ、そうでした、よね……』
『簡単にできるものではないがな。どんなに早くとも、一人子を成すまでに五十年はかかるだろう』
『五十年……』
気の遠くなるような時間だと香子は思った。香子はまだ23歳である。その倍以上の年月をかけないと子が成せないと言われてしまえば、実感など湧くはずもなかった。
夕飯を食べ終え、食休みをしたらもう寝る時間である。
とはいえ入浴をし、寝室に行って「おやすみ~」とできるはずもない。
(青龍様に長く抱かれても、玄武様と朱雀様は放してくれないもんね……)
抱かれることが嫌なわけではないから香子としてもかまわないのだが、恥ずかしさはなかなか払拭できない。
入浴の後は香子の部屋に玄武が迎えにきた。当たり前のように抱き上げられて、香子はそっとその逞しい胸に頬を寄せる。
大分慣れてはきたが、香子はやはり四神に抱かれるという行為が心情的につらかった。
元の世界で培ってきた倫理観というのはなかなかに厄介である。
その二日後、白虎の領地から眷属が三人程やってきた。
謁見の間で、白虎の腕に抱かれたまま、香子は彼らの挨拶を受けた。白虎だけでなく、玄武、朱雀、青龍も同席しているし、その眷属たちも同様だ。当然香子付きの女官たちも、である。そして、四神宮の主官である趙文英と、中書省からの派遣で王英明も来ていた。王の姿を見るのは久しぶりだと香子は思った。彼らは香子の方を見ないようにしていた。
白虎の眷属の二人は厨師で、一人は白風だった。白雲の補佐をする為に来たという。
『白風も来たのね。よろしくね』
香子がそう声をかけると、白風は一瞬頬を緩ませた。
『花嫁様の暮らしを補佐させていただきたく存じます』
そう白風が言うと、延夕玲、楊芳芳、黒月の三人が反応した。その雰囲気が怖いと香子は思う。どうやら白風はある程度洗礼を受けることになりそうだった。
それを香子は感じ取ったが、特に何も言わなかった。
香子は夕玲たちにお世話される側なので、彼女たちの関係に口を出すわけにはいかないのである。
気になるとしたら、厨師たちだろう。
『白雲』
『はい』
『厨房のこと、気にかけるようにしてちょうだい』
『かしこまりました』
白雲であればこの一言で理解するだろうということが香子にはわかっていた。白雲は眷属たちの中でも一番察しがいい。白雲は侍女頭の陳秀美と恋仲である。いろいろな情報を集めて総合的に判断するに違いなかった。
趙をちら、と見て、香子は白虎に抱かれたまま四神宮に戻った。白雲はそのまま残ることにしたらしい。夕玲や楊、黒月は白風と話すことにしたようだ。
『香子、何を考えている?』
『……胸が重いです』
白虎が喉の奥で笑った。
『そろそろ大きさを定着させるか』
『……そうですね』
香子はため息を吐いた。
だが胸の大きさを定着させるには、三日三晩白虎に身を任せなければいけないということが、香子にとっては憂鬱だった。
白虎が不満そうだったがしかたない。そういう約束だった。
そのせいか、慈寧宮から戻ってきた後白虎は香子を夕飯の時間まで放さなかった。
『もう……』
そんなに胸ばかりいじられたらまた胸が大きく育ってしまう。
香子はそう思ってから、胸の大きさをどこかで固定しなければならないということを思い出した。(第四部94話参照)
胸の大きさは白虎が決めるのだと思い出して、香子はげんなりした。自分の胸だというのに、自分で大きさを決められないというのが解せないが、本来自分の身体のコントロールなどできるはずもない。それこそ整形でもしない限りは。
(胸に関しては豊胸? とかだもんね。それなりに大きい人が羨ましいと思ったこともあったけど……)
『あっ……』
だが白虎に愛でられながらそんなことを考えていられたのはそれまでだった。
白虎は本性を現わさなかったが(がんばって耐えた)、香子はまたへろへろになるまでかわいがられたのだった。
夕飯は多めに用意された。
青龍に抱かれるとなったら一日がかりだからである。
どうしたって、今日は青龍に抱かれたいから気軽に抱かれるというわけにはいかない。
香子の覚悟と準備が必要であった。
色気のない話だが、途中で香子が飢えてしまう可能性もあるので、四神もそこは逆らわなかった。
そうして玄武と朱雀のサポートを経て、翌日の夕飯前に香子はやっと目を覚ました。
「うええええーん、おなかすいたよぉおおお……」
本当に色気もなにもあったものではない。
『何故こなに香子は愛らしいのか……準備はさせている故、そう泣くな』
「うえっ、うええーん……」
人間、空腹もある程度過ぎると泣きたくなるものだ。
玄武と青龍にかいがいしく世話をされ、ものすごい量の夕飯を食べたことで、香子はやっと落ち着いた。
『この空腹は本当にどうにかならないのですか……』
青龍の腕の中で、香子は拗ねたように呟いた。
『そうさな。そなたはすでに人ではないが、我らの子を身の内に宿す準備をしている故そのようになっているのだ。子を一人でも成せば少しは落ち着くのであろうが……』
玄武にそう説明されて、香子はブルリと震えた。
香子が毎晩四神としている行為は子作りである。ただなかなか妊娠するものではないと聞いていたから、香子は考えないようにしていた。
『そ、そうでした、よね……』
『簡単にできるものではないがな。どんなに早くとも、一人子を成すまでに五十年はかかるだろう』
『五十年……』
気の遠くなるような時間だと香子は思った。香子はまだ23歳である。その倍以上の年月をかけないと子が成せないと言われてしまえば、実感など湧くはずもなかった。
夕飯を食べ終え、食休みをしたらもう寝る時間である。
とはいえ入浴をし、寝室に行って「おやすみ~」とできるはずもない。
(青龍様に長く抱かれても、玄武様と朱雀様は放してくれないもんね……)
抱かれることが嫌なわけではないから香子としてもかまわないのだが、恥ずかしさはなかなか払拭できない。
入浴の後は香子の部屋に玄武が迎えにきた。当たり前のように抱き上げられて、香子はそっとその逞しい胸に頬を寄せる。
大分慣れてはきたが、香子はやはり四神に抱かれるという行為が心情的につらかった。
元の世界で培ってきた倫理観というのはなかなかに厄介である。
その二日後、白虎の領地から眷属が三人程やってきた。
謁見の間で、白虎の腕に抱かれたまま、香子は彼らの挨拶を受けた。白虎だけでなく、玄武、朱雀、青龍も同席しているし、その眷属たちも同様だ。当然香子付きの女官たちも、である。そして、四神宮の主官である趙文英と、中書省からの派遣で王英明も来ていた。王の姿を見るのは久しぶりだと香子は思った。彼らは香子の方を見ないようにしていた。
白虎の眷属の二人は厨師で、一人は白風だった。白雲の補佐をする為に来たという。
『白風も来たのね。よろしくね』
香子がそう声をかけると、白風は一瞬頬を緩ませた。
『花嫁様の暮らしを補佐させていただきたく存じます』
そう白風が言うと、延夕玲、楊芳芳、黒月の三人が反応した。その雰囲気が怖いと香子は思う。どうやら白風はある程度洗礼を受けることになりそうだった。
それを香子は感じ取ったが、特に何も言わなかった。
香子は夕玲たちにお世話される側なので、彼女たちの関係に口を出すわけにはいかないのである。
気になるとしたら、厨師たちだろう。
『白雲』
『はい』
『厨房のこと、気にかけるようにしてちょうだい』
『かしこまりました』
白雲であればこの一言で理解するだろうということが香子にはわかっていた。白雲は眷属たちの中でも一番察しがいい。白雲は侍女頭の陳秀美と恋仲である。いろいろな情報を集めて総合的に判断するに違いなかった。
趙をちら、と見て、香子は白虎に抱かれたまま四神宮に戻った。白雲はそのまま残ることにしたらしい。夕玲や楊、黒月は白風と話すことにしたようだ。
『香子、何を考えている?』
『……胸が重いです』
白虎が喉の奥で笑った。
『そろそろ大きさを定着させるか』
『……そうですね』
香子はため息を吐いた。
だが胸の大きさを定着させるには、三日三晩白虎に身を任せなければいけないということが、香子にとっては憂鬱だった。
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