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第4部 四神を愛しなさいと言われました
123.いつも通りだけど、少しずつ変化していくみたいです
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夕飯の席で、香子は内心ため息をついた。
先ほどの、延夕玲と白風の言い争いを聞いて、部屋で叫ぶのもままならないのかと考えてしまった。
それもこれも四神が美しすぎ、香子をずっと口説いてくるのがいけないのだと香子は思う。
おかげで香子はせめて部屋に戻ってから叫んでいるのだが、それすらもしてはいけないのだろうかと大好物の春巻を食べながら思った。
『香子、如何した?』
おかげで隣に腰かけている玄武に声をかけられてしまった。
『……なんでもないです。今夜は、その……』
『青龍とであったな。そなたはいつも通り我らに身を委ねていればよい』
『はい……』
そうなのだ。今夜香子は青龍と過ごすことになる。そうして落ち着いてから玄武の領地へ向かうのだ。
(四神宮を離れるのかぁ……)
まだ香子としては実感が湧かない。それよりも今は沢山食べないといけない。青龍と夜を過ごすと伝えてあるからか、今夜並べられた料理の数は尋常ではなかった。どこの大宴会かと聞きたいぐらいである。食べないと困るのは香子なので、どれもおいしくしっかりいただいた。
『すごい……満腹、です……』
食べようと思えばまだ食べられそうだったが、目がおなかいっぱいになってしまった。
見ただけでおなかいっぱいなんてことがあるのかと、香子は感動した。
食休みにお茶を啜る。
『香子』
『はい?』
玄武に声をかけられた。
『なにか困ったことがあれば言うのだぞ』
『? 特にありませんよ?』
玄武は香子の精神的な疲れを察して声をかけてくれたのだろうと香子は思った。こんな素敵な夫たちがいて、それを選ばなければいけないなんて、なんて残酷なのだろう。それは四神に対して、と言うより香子にとってであった。
ようは選べないのだ。
(困ったなぁ……)
そう思いながら、支度をして青龍に抱かれたのだった。
そして翌朝、というか翌夕方はいつも通りである。
『おなか、すいたよぉおお~~~……』
香子はぼろぼろと涙をこぼした。青龍に抱かれる時間はとにかく長いから、毎回抱かれ続けて寝て起きた後はこうなるのだ。
『香子、呼んだ故しばし待て』
青龍にあやすように抱きしめられて口づけを受ける。その唾液すら甘露で、香子は青龍の舌を夢中で吸った。
『……かわいいことを』
色を含んだ目を向けられても香子はもう無理だった。
すぐに食べ物が用意され、青龍の膝の上で肉包(肉まん)にかぶり付いた。色気も何もあったものではないが生命の危機を香子は感じたのだ。実際には、いくらおなかがすいたとしても食べなくても死なないらしいのだが。
まだ先の話ではあるが、妊娠してからはしっかり食べる必要があるそうだ。そして妊娠してからも四神には抱かれ続けなければいけないらしい。そうやって四神の力を胎児に移すのだそうだ。
妊娠なんて、香子はまだ全く考えられない。しかも妊娠は最低でも五十年は抱かれ続けないとできないらしく、それもいったいどういうことなのだと香子は思ってしまう。
いったい天皇は何を考えてこのような神を創造したのだろうと香子は考えてしまう。
いや、神と人とが子を成す場合はやはりその組成上作りにくいのかもしれない。と、そんなとりとめもないことを考えながらごはんをこれでもかと食べて、やっと香子は落ち着いたのだった。
『ホント、この空腹だけはどうにかならないのかと思います……』
『そうだな。我も腹が空くという感覚は新鮮でもあるが不快でもある。そなたにとっては耐えがたいことなのだろう』
青龍に寄り添って、香子はその胸に頬を擦り寄せた。
もうなんというか、四神が愛しくてたまらない。抱かれれば抱かれるほど四神を愛しく思う自分に香子は戸惑った。
こんなに自分は単純なのかと呆れてしまうぐらいである。
『香子、そなにかわいいことをしてくれるな』
髪に口づけられてハッとした。また青龍に抱かれるわけにはいかない。
『玄武様』
共にいてくれた玄武を呼んだ。玄武と朱雀に抱かれた朝は玄武と二人きりということは多いが、白虎や青龍に抱かれた朝は玄武か朱雀が共についていることが多い。香子のことを考えて一緒にいてくれるのだろうと香子は思っている。
『部屋に戻ります』
『香子』
玄武に手を取られた。
『今宵は……わかっているな?』
『えええ……』
言われなくても、香子もわかってはいた。
『もー……手加減してくださいね?』
ここで言い争ってもしかたないので香子は苦笑した。抱かれたくないわけではないのだ。わけがわからないほど感じさせられてしまって、どうしたらいいのかわからなくなるのが嫌なだけで。いつものことではあるが、香子には香子なりの葛藤がある。
青龍に部屋に運んでもらい、一息吐く。
もう夕方というよりは夜だ。だから身支度を整えたら、玄武か朱雀が迎えにくるだろう。
その前にと入浴に向かう。
今日は黒月も一緒に入ってくれた。それだけで香子はとても嬉しくなった。
黒月は香子が叫んでも気にしない。そういうものだと思っているからだ。
「あーーー……」
湯舟に浸かり、香子は声を上げた。お湯の温度がちょうどいいというのもあるが、声を出したかった。浴室では声がよく響く。
『ちょっと歌っていい?』
『どうぞ』
黒月に許可を取って、香子は中国で覚えた歌を歌い始めた。よく歌詞を覚えていたものだと香子は自分で感心したのだった。
先ほどの、延夕玲と白風の言い争いを聞いて、部屋で叫ぶのもままならないのかと考えてしまった。
それもこれも四神が美しすぎ、香子をずっと口説いてくるのがいけないのだと香子は思う。
おかげで香子はせめて部屋に戻ってから叫んでいるのだが、それすらもしてはいけないのだろうかと大好物の春巻を食べながら思った。
『香子、如何した?』
おかげで隣に腰かけている玄武に声をかけられてしまった。
『……なんでもないです。今夜は、その……』
『青龍とであったな。そなたはいつも通り我らに身を委ねていればよい』
『はい……』
そうなのだ。今夜香子は青龍と過ごすことになる。そうして落ち着いてから玄武の領地へ向かうのだ。
(四神宮を離れるのかぁ……)
まだ香子としては実感が湧かない。それよりも今は沢山食べないといけない。青龍と夜を過ごすと伝えてあるからか、今夜並べられた料理の数は尋常ではなかった。どこの大宴会かと聞きたいぐらいである。食べないと困るのは香子なので、どれもおいしくしっかりいただいた。
『すごい……満腹、です……』
食べようと思えばまだ食べられそうだったが、目がおなかいっぱいになってしまった。
見ただけでおなかいっぱいなんてことがあるのかと、香子は感動した。
食休みにお茶を啜る。
『香子』
『はい?』
玄武に声をかけられた。
『なにか困ったことがあれば言うのだぞ』
『? 特にありませんよ?』
玄武は香子の精神的な疲れを察して声をかけてくれたのだろうと香子は思った。こんな素敵な夫たちがいて、それを選ばなければいけないなんて、なんて残酷なのだろう。それは四神に対して、と言うより香子にとってであった。
ようは選べないのだ。
(困ったなぁ……)
そう思いながら、支度をして青龍に抱かれたのだった。
そして翌朝、というか翌夕方はいつも通りである。
『おなか、すいたよぉおお~~~……』
香子はぼろぼろと涙をこぼした。青龍に抱かれる時間はとにかく長いから、毎回抱かれ続けて寝て起きた後はこうなるのだ。
『香子、呼んだ故しばし待て』
青龍にあやすように抱きしめられて口づけを受ける。その唾液すら甘露で、香子は青龍の舌を夢中で吸った。
『……かわいいことを』
色を含んだ目を向けられても香子はもう無理だった。
すぐに食べ物が用意され、青龍の膝の上で肉包(肉まん)にかぶり付いた。色気も何もあったものではないが生命の危機を香子は感じたのだ。実際には、いくらおなかがすいたとしても食べなくても死なないらしいのだが。
まだ先の話ではあるが、妊娠してからはしっかり食べる必要があるそうだ。そして妊娠してからも四神には抱かれ続けなければいけないらしい。そうやって四神の力を胎児に移すのだそうだ。
妊娠なんて、香子はまだ全く考えられない。しかも妊娠は最低でも五十年は抱かれ続けないとできないらしく、それもいったいどういうことなのだと香子は思ってしまう。
いったい天皇は何を考えてこのような神を創造したのだろうと香子は考えてしまう。
いや、神と人とが子を成す場合はやはりその組成上作りにくいのかもしれない。と、そんなとりとめもないことを考えながらごはんをこれでもかと食べて、やっと香子は落ち着いたのだった。
『ホント、この空腹だけはどうにかならないのかと思います……』
『そうだな。我も腹が空くという感覚は新鮮でもあるが不快でもある。そなたにとっては耐えがたいことなのだろう』
青龍に寄り添って、香子はその胸に頬を擦り寄せた。
もうなんというか、四神が愛しくてたまらない。抱かれれば抱かれるほど四神を愛しく思う自分に香子は戸惑った。
こんなに自分は単純なのかと呆れてしまうぐらいである。
『香子、そなにかわいいことをしてくれるな』
髪に口づけられてハッとした。また青龍に抱かれるわけにはいかない。
『玄武様』
共にいてくれた玄武を呼んだ。玄武と朱雀に抱かれた朝は玄武と二人きりということは多いが、白虎や青龍に抱かれた朝は玄武か朱雀が共についていることが多い。香子のことを考えて一緒にいてくれるのだろうと香子は思っている。
『部屋に戻ります』
『香子』
玄武に手を取られた。
『今宵は……わかっているな?』
『えええ……』
言われなくても、香子もわかってはいた。
『もー……手加減してくださいね?』
ここで言い争ってもしかたないので香子は苦笑した。抱かれたくないわけではないのだ。わけがわからないほど感じさせられてしまって、どうしたらいいのかわからなくなるのが嫌なだけで。いつものことではあるが、香子には香子なりの葛藤がある。
青龍に部屋に運んでもらい、一息吐く。
もう夕方というよりは夜だ。だから身支度を整えたら、玄武か朱雀が迎えにくるだろう。
その前にと入浴に向かう。
今日は黒月も一緒に入ってくれた。それだけで香子はとても嬉しくなった。
黒月は香子が叫んでも気にしない。そういうものだと思っているからだ。
「あーーー……」
湯舟に浸かり、香子は声を上げた。お湯の温度がちょうどいいというのもあるが、声を出したかった。浴室では声がよく響く。
『ちょっと歌っていい?』
『どうぞ』
黒月に許可を取って、香子は中国で覚えた歌を歌い始めた。よく歌詞を覚えていたものだと香子は自分で感心したのだった。
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