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第4部 四神を愛しなさいと言われました
125.四神全ての花嫁なのです
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侍女たちがやってきて、嬉々として香子の髪型や衣裳を整えて戻っていった。
居間でお茶を淹れてもらい、ほっと一息ついたところで白虎が迎えにやってきた。
それなりにいいタイミングである。四神間で連絡をしているのか、それとも侍女や眷属が香子の動きをよく見て報告しているのかどうか、香子は知らない。知ったところでどうするのだという思いもあり、香子も特に聞いたりはしなかった。
『白虎様』
『香子』
白虎は一度香子を抱き上げ、そのまま長椅子に腰かけた。
侍女が白虎にも茶を淹れる。白雲は長椅子の脇に控えた。
香子は無意識で白虎の胸に顔を擦り寄せた。
『……そなにかわいいことをすると、襲ってしまうぞ』
『……だめです』
すぐにエロい方向へ持っていこうとする、と香子は膨れた。その頬を白虎が撫でる。
こういう、穏やかな甘い時間が香子は好きだ。四神も香子とくっついていることで満たされるようで、やはり四神と花嫁というのは対なのだなと香子も思う。
(でも四神は四人で、花嫁は一人なんだよねぇ)
花嫁の負担が大きすぎるのではないかと常々香子は思っている。だが香子の身体もまた人ではなくなっているので、四神の愛を存分に受け止めることができてしまう。
それに、四神はまっすぐだ。
本当に香子以外見ていないから、溢れんばかりの愛情で満たされるのがわかってしまう。
(以前は……こんなに素直に受け取れなかったのに……)
お茶を啜りながら、香子はこの一年をぼんやりと振り返った。四神はずっと香子以外見ていない。気持ちが変化したのは香子の方である。
よくわからないまま触れられて、混乱し、元の世界の倫理観に翻弄され、だが香子は四神を受け入れた。
香子はため息を吐いた。
『香子、如何した?』
『……私の身は一つですから悩みが多いのです……』
白虎が喉の奥でクククと笑った。
『ならば……攫ってしまうか』
部屋にいる者たちがぎょっとした顔をする。
香子は笑った。
『白虎様、だめですよ。そんなことをしたら嫌いになってしまいます』
『……それは困るな』
実際には嫌いになどならないだろうと香子は思う。攫われたら攫われたで納得して白虎の領地にいるに違いない。ただ、領地の料理事情だけは改善してもらいたいとは思う。
『……白虎様に攫われたら、花嫁様は白虎様をお嫌いになるのですか!?』
それに反応したのは白風だった。そういえば面倒くさいのがいた、と香子は思い出した。
『白風、控えよ』
白雲が窘める。
『いいえ、黙ってはいられませぬ。花嫁様は白虎様と愛し合っていらっしゃるはずです。なのにどうして……』
『黙れ』
白虎が低い声を発した。
『……白雲、その粗忽者を領地に帰らせろ』
それは眷属にとってクビ宣言に他ならない。白風は青ざめた。
『白虎様』
香子は白虎の腕に触れた。
『白風は白虎様の眷属ですからそう思ってしまうのもしかたありません』
『香子』
『ですが私は四神の花嫁です。私の夫は白虎様だけではないのですよ』
これは白風に伝えた。
『……そ、それは重々承知して……』
『そなたが納得しようがしまいが、私が四神の花嫁であることに代わりはない。これ以上白虎様に恥をかかせるつもりなら領地へ帰りなさい。私にしっかり仕えるつもりなら、その軽率な言動を改めなさい。いいですね?』
『た、たいへん申し訳ありません!』
白風はその場に伏した。
眷属は己の神が一番であるが故に暴走してしまうものである。暴走しなくても己の神をけしかけるようなこともあるので注意が必要だ。
楊芳芳は静かに平伏した。白風を止められなかったことを詫びているのだろう。香子は気にするなと手をひらひらした。
例えここに延夕玲がいたとしても白風を止めることはできなかっただろうと香子は思うのだ。彼女たちはよく白風を教育してくれているようだが、眷属と人というのは違うのである。まして女性の眷属は数が少ないので特に蝶よ花よととても大事に育てられている。
黒月は今でこそ香子の守護であると香子を一番に考えてくれているが、そんなことはめったにないのだ。
『白虎様、室に連れて行ってくださいませ。もふもふしたいです』
『そなたは……』
白虎は苦笑したが、香子を抱いたまま立ち上がり、香子の望むようにした。
白虎の室に移動して、香子は深くため息を吐いた。
『玄武兄を呼んだぞ』
『ありがとうございます』
昼間であっても、白虎がその本性を現わすと理性を保つのが難しい。その為、必ず誰かが側にいるようにしている。その気遣いがありがたいと香子は思っていた。
寝室に移動して、白虎はそっと香子を床に下ろす。そうしてから本性を現わした。
『……素敵です……』
香子はうっとりと呟いて、その美しい真っ白の毛皮にダイブした。
(はー……もふもふ……もふもふー……)
香子にとって至福のひと時である。この姿の白虎に抱かれるのはいつだって怖いが、こうして寄り添ってくっついて撫でさせてもらうのは幸せだった。
『なかなかに複雑ではあるな……』
本性を現わすと白虎の声は更に低くなる。それをうっとりと聞きながら、香子は白虎を堪能した。
いつのまにか玄武が来ていたことも気づかなかったほどである。
(最高の癒し……)
だがやはり、白虎の領地に向かう決心はつかなかった。
居間でお茶を淹れてもらい、ほっと一息ついたところで白虎が迎えにやってきた。
それなりにいいタイミングである。四神間で連絡をしているのか、それとも侍女や眷属が香子の動きをよく見て報告しているのかどうか、香子は知らない。知ったところでどうするのだという思いもあり、香子も特に聞いたりはしなかった。
『白虎様』
『香子』
白虎は一度香子を抱き上げ、そのまま長椅子に腰かけた。
侍女が白虎にも茶を淹れる。白雲は長椅子の脇に控えた。
香子は無意識で白虎の胸に顔を擦り寄せた。
『……そなにかわいいことをすると、襲ってしまうぞ』
『……だめです』
すぐにエロい方向へ持っていこうとする、と香子は膨れた。その頬を白虎が撫でる。
こういう、穏やかな甘い時間が香子は好きだ。四神も香子とくっついていることで満たされるようで、やはり四神と花嫁というのは対なのだなと香子も思う。
(でも四神は四人で、花嫁は一人なんだよねぇ)
花嫁の負担が大きすぎるのではないかと常々香子は思っている。だが香子の身体もまた人ではなくなっているので、四神の愛を存分に受け止めることができてしまう。
それに、四神はまっすぐだ。
本当に香子以外見ていないから、溢れんばかりの愛情で満たされるのがわかってしまう。
(以前は……こんなに素直に受け取れなかったのに……)
お茶を啜りながら、香子はこの一年をぼんやりと振り返った。四神はずっと香子以外見ていない。気持ちが変化したのは香子の方である。
よくわからないまま触れられて、混乱し、元の世界の倫理観に翻弄され、だが香子は四神を受け入れた。
香子はため息を吐いた。
『香子、如何した?』
『……私の身は一つですから悩みが多いのです……』
白虎が喉の奥でクククと笑った。
『ならば……攫ってしまうか』
部屋にいる者たちがぎょっとした顔をする。
香子は笑った。
『白虎様、だめですよ。そんなことをしたら嫌いになってしまいます』
『……それは困るな』
実際には嫌いになどならないだろうと香子は思う。攫われたら攫われたで納得して白虎の領地にいるに違いない。ただ、領地の料理事情だけは改善してもらいたいとは思う。
『……白虎様に攫われたら、花嫁様は白虎様をお嫌いになるのですか!?』
それに反応したのは白風だった。そういえば面倒くさいのがいた、と香子は思い出した。
『白風、控えよ』
白雲が窘める。
『いいえ、黙ってはいられませぬ。花嫁様は白虎様と愛し合っていらっしゃるはずです。なのにどうして……』
『黙れ』
白虎が低い声を発した。
『……白雲、その粗忽者を領地に帰らせろ』
それは眷属にとってクビ宣言に他ならない。白風は青ざめた。
『白虎様』
香子は白虎の腕に触れた。
『白風は白虎様の眷属ですからそう思ってしまうのもしかたありません』
『香子』
『ですが私は四神の花嫁です。私の夫は白虎様だけではないのですよ』
これは白風に伝えた。
『……そ、それは重々承知して……』
『そなたが納得しようがしまいが、私が四神の花嫁であることに代わりはない。これ以上白虎様に恥をかかせるつもりなら領地へ帰りなさい。私にしっかり仕えるつもりなら、その軽率な言動を改めなさい。いいですね?』
『た、たいへん申し訳ありません!』
白風はその場に伏した。
眷属は己の神が一番であるが故に暴走してしまうものである。暴走しなくても己の神をけしかけるようなこともあるので注意が必要だ。
楊芳芳は静かに平伏した。白風を止められなかったことを詫びているのだろう。香子は気にするなと手をひらひらした。
例えここに延夕玲がいたとしても白風を止めることはできなかっただろうと香子は思うのだ。彼女たちはよく白風を教育してくれているようだが、眷属と人というのは違うのである。まして女性の眷属は数が少ないので特に蝶よ花よととても大事に育てられている。
黒月は今でこそ香子の守護であると香子を一番に考えてくれているが、そんなことはめったにないのだ。
『白虎様、室に連れて行ってくださいませ。もふもふしたいです』
『そなたは……』
白虎は苦笑したが、香子を抱いたまま立ち上がり、香子の望むようにした。
白虎の室に移動して、香子は深くため息を吐いた。
『玄武兄を呼んだぞ』
『ありがとうございます』
昼間であっても、白虎がその本性を現わすと理性を保つのが難しい。その為、必ず誰かが側にいるようにしている。その気遣いがありがたいと香子は思っていた。
寝室に移動して、白虎はそっと香子を床に下ろす。そうしてから本性を現わした。
『……素敵です……』
香子はうっとりと呟いて、その美しい真っ白の毛皮にダイブした。
(はー……もふもふ……もふもふー……)
香子にとって至福のひと時である。この姿の白虎に抱かれるのはいつだって怖いが、こうして寄り添ってくっついて撫でさせてもらうのは幸せだった。
『なかなかに複雑ではあるな……』
本性を現わすと白虎の声は更に低くなる。それをうっとりと聞きながら、香子は白虎を堪能した。
いつのまにか玄武が来ていたことも気づかなかったほどである。
(最高の癒し……)
だがやはり、白虎の領地に向かう決心はつかなかった。
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