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第4部 四神を愛しなさいと言われました
175.報連相は大事だと思います
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(ううう……甘いよ、甘すぎるよ……)
昼になってようやく解放された香子は、玄武に全身余すところなく触れられて蕩けてしまいそうになった。
四神の本気がとても怖い今日この頃である。
誰かの領地へ向かうのは約20日後を予定している。その日その時という決め方はしていないが、もしかしたら香子が知らないうちに勝手に日を定められているかもしれないとも、香子は思った。
先日皇太后とお茶をした際皇帝も顔を出し、その時に一月後と伝えたという記憶が香子にはある。(第四部154話参照)せっかく皇太后、皇后と共に女子会をするはずだったのに、それを邪魔されたから香子はよく覚えていた。
今日もおいしい昼食に舌鼓を打ちながら、
『私がどなたかの領地に行く日って決まっているのでしょうか』
と玄武に聞いてみた。何か式典のようなことをするのかという問いである。
『それは特に決めていないはずだが』
『聞いて参ります』
食堂で控えていた白雲が出て行った。
新鮮な海産物が手に入りやすくなったせいか、今日のお昼には海老餃子が出た。海老が大好きな香子はこれでもかと食べてしまった。
『おいしい……』
ぷりっぷりの海老がふんだんに入った水餃子は絶品である。香子の好物だとわかっているので、出てくる時は大量だ。このままでは海老を食べつくしてしまいそうで、香子自身自重した方がいいのではないかと考えるぐらいである。
しかし出てきた食べ物に罪はないので、香子は今日もしっかり食べてしまった。
そんな香子を四神は微笑ましそうに見守っており、その様子を見ている侍女たちもまた幸せそうであった。
コーンスープを飲んでいると白雲が戻ってきた。
『聞いて参りました。四神と花嫁様はよき日取りとして二十二日後に発たれるのではないかと趙が言っておりました』
『二十二日後、ですか』
日にちが具体的になってきた。
『その際何かするのかしら?』
誰の見送りもなくていいと香子は思っている。そんなことをされたら泣いてしまいそうだからだ。
『皇帝以下百官がお見送りをすると』
『えええ?』
止めてほしいと香子は思う。
『もう結婚したんだから別にそういうのはいらないと思うのだけど……』
『伝えて参りますか?』
『うーん……』
四神宮の主官である趙文英にそう伝えても、趙が困るだけだろうと香子は思う。中書省に勤めている王英明に伝えて、そこからどうにか中書令(宰相)に伝えてなどやっていたら伝達にいくら時間がかかるのかわかったものではない。
『そもそも……それを誰がやりたいのかしらね?』
皇帝はやりたいのだろうか? と香子は疑問に思う。
それとも形式上しないといけないことなのだろうか。
『面倒なことよな』
朱雀が笑んだ。
『香子、聞いて参ろう』
ゆらりと立ち上がった朱雀に、香子はハッとした。
『まだごはん食べ終わってないです!』
そうきっぱりと言えば、朱雀は一瞬きょとんとした。意外なことを言われた風ではあったが、香子にとってはそれぐらい食事が大事なのだった。
『そうだな』
朱雀はおとなしく席についた。
(こんなおいしいコーンスープを放ってまで聞きに行きたくない)
みな無言でコーンスープを啜った。香子は中華コーンスープが大好きなのでとても幸せそうである。
『おいしい……』
そう呟けば、四神だけでなく侍女たちも思わず口元に笑みを浮かべた。
香子は食い意地が張り過ぎなのだが、それはもうしょうがないことだった。
しっかりお昼ごはんを堪能した香子は、朱雀に抱かれて一瞬で皇帝の執務室に運ばれた。
『……何用か?』
中書令の李雲も一緒にいたのでちょうどよかった。
『我らと香子が四神宮を去る予定の日の件だ』
朱雀は淡々と告げる。
『ああ、何日でしたか』
『吉日でございます。本日からであれば二十二日後かと』
李が皇帝に補足した。
『あっという間ではないか。準備はできているか』
『はい』
当たり前のように李は手配したようである。
『あのぅ……私は何も聞いていないんですけど……』
さすがの香子もそれには口を挟んでしまった。李が不思議そうな顔をする。
『なんのことでございましょう?』
『えっと、私が四神のどなたかと四神宮を去る日というのは、私は特に決めていません。だからその吉日に、というのも聞いていません』
『……少々お待ちください』
李は香子の顔をまじまじと見、その後皇帝を見た。皇帝は視線を少し逸らしているように見える。
もしかして、と香子は思った。
『あのぅ……あの時話した内容をそのまま手配だけして、私と四神に伝えるのを忘れたなんてことは、ないですよね?』
香子は目が笑っていない笑顔を李と皇帝に向ける。
『忘れていたようだ』
二人が口を開く前に、朱雀がさらりと答える。四神は香子以外の人の気持ちを察することができることを香子は思い出した。
『へぇー……』
連絡ミスはどうかと香子は思う。
とはいえ怒るようなことでもなかった。
『何をする予定だったのかお聞きしても?』
香子は李に声をかける。
『皇上と我ら官吏一同でお見送りをさせていただく予定でございます……』
『そんなことしなくていいです』
香子は笑顔で即答した。
『ですが』
『もう結婚したのですから、出て行きたい時に出て行きますね』
香子はそう言って、にっこりしたのだった。
昼になってようやく解放された香子は、玄武に全身余すところなく触れられて蕩けてしまいそうになった。
四神の本気がとても怖い今日この頃である。
誰かの領地へ向かうのは約20日後を予定している。その日その時という決め方はしていないが、もしかしたら香子が知らないうちに勝手に日を定められているかもしれないとも、香子は思った。
先日皇太后とお茶をした際皇帝も顔を出し、その時に一月後と伝えたという記憶が香子にはある。(第四部154話参照)せっかく皇太后、皇后と共に女子会をするはずだったのに、それを邪魔されたから香子はよく覚えていた。
今日もおいしい昼食に舌鼓を打ちながら、
『私がどなたかの領地に行く日って決まっているのでしょうか』
と玄武に聞いてみた。何か式典のようなことをするのかという問いである。
『それは特に決めていないはずだが』
『聞いて参ります』
食堂で控えていた白雲が出て行った。
新鮮な海産物が手に入りやすくなったせいか、今日のお昼には海老餃子が出た。海老が大好きな香子はこれでもかと食べてしまった。
『おいしい……』
ぷりっぷりの海老がふんだんに入った水餃子は絶品である。香子の好物だとわかっているので、出てくる時は大量だ。このままでは海老を食べつくしてしまいそうで、香子自身自重した方がいいのではないかと考えるぐらいである。
しかし出てきた食べ物に罪はないので、香子は今日もしっかり食べてしまった。
そんな香子を四神は微笑ましそうに見守っており、その様子を見ている侍女たちもまた幸せそうであった。
コーンスープを飲んでいると白雲が戻ってきた。
『聞いて参りました。四神と花嫁様はよき日取りとして二十二日後に発たれるのではないかと趙が言っておりました』
『二十二日後、ですか』
日にちが具体的になってきた。
『その際何かするのかしら?』
誰の見送りもなくていいと香子は思っている。そんなことをされたら泣いてしまいそうだからだ。
『皇帝以下百官がお見送りをすると』
『えええ?』
止めてほしいと香子は思う。
『もう結婚したんだから別にそういうのはいらないと思うのだけど……』
『伝えて参りますか?』
『うーん……』
四神宮の主官である趙文英にそう伝えても、趙が困るだけだろうと香子は思う。中書省に勤めている王英明に伝えて、そこからどうにか中書令(宰相)に伝えてなどやっていたら伝達にいくら時間がかかるのかわかったものではない。
『そもそも……それを誰がやりたいのかしらね?』
皇帝はやりたいのだろうか? と香子は疑問に思う。
それとも形式上しないといけないことなのだろうか。
『面倒なことよな』
朱雀が笑んだ。
『香子、聞いて参ろう』
ゆらりと立ち上がった朱雀に、香子はハッとした。
『まだごはん食べ終わってないです!』
そうきっぱりと言えば、朱雀は一瞬きょとんとした。意外なことを言われた風ではあったが、香子にとってはそれぐらい食事が大事なのだった。
『そうだな』
朱雀はおとなしく席についた。
(こんなおいしいコーンスープを放ってまで聞きに行きたくない)
みな無言でコーンスープを啜った。香子は中華コーンスープが大好きなのでとても幸せそうである。
『おいしい……』
そう呟けば、四神だけでなく侍女たちも思わず口元に笑みを浮かべた。
香子は食い意地が張り過ぎなのだが、それはもうしょうがないことだった。
しっかりお昼ごはんを堪能した香子は、朱雀に抱かれて一瞬で皇帝の執務室に運ばれた。
『……何用か?』
中書令の李雲も一緒にいたのでちょうどよかった。
『我らと香子が四神宮を去る予定の日の件だ』
朱雀は淡々と告げる。
『ああ、何日でしたか』
『吉日でございます。本日からであれば二十二日後かと』
李が皇帝に補足した。
『あっという間ではないか。準備はできているか』
『はい』
当たり前のように李は手配したようである。
『あのぅ……私は何も聞いていないんですけど……』
さすがの香子もそれには口を挟んでしまった。李が不思議そうな顔をする。
『なんのことでございましょう?』
『えっと、私が四神のどなたかと四神宮を去る日というのは、私は特に決めていません。だからその吉日に、というのも聞いていません』
『……少々お待ちください』
李は香子の顔をまじまじと見、その後皇帝を見た。皇帝は視線を少し逸らしているように見える。
もしかして、と香子は思った。
『あのぅ……あの時話した内容をそのまま手配だけして、私と四神に伝えるのを忘れたなんてことは、ないですよね?』
香子は目が笑っていない笑顔を李と皇帝に向ける。
『忘れていたようだ』
二人が口を開く前に、朱雀がさらりと答える。四神は香子以外の人の気持ちを察することができることを香子は思い出した。
『へぇー……』
連絡ミスはどうかと香子は思う。
とはいえ怒るようなことでもなかった。
『何をする予定だったのかお聞きしても?』
香子は李に声をかける。
『皇上と我ら官吏一同でお見送りをさせていただく予定でございます……』
『そんなことしなくていいです』
香子は笑顔で即答した。
『ですが』
『もう結婚したのですから、出て行きたい時に出て行きますね』
香子はそう言って、にっこりしたのだった。
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